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コラム

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光と影(2006年02月05日)

社会主義と資本主義の決着は、既にグローバル時代において、明暗を分けました。ある雑誌で中国とインドの投資価値を論じているのを興味深く読みました。現在、中国はインドより一人当たりのGDPは勝っています。共に人口は10億人台と巨大な国です。その雑誌にはインドの方が英語を話せる人が多く、法の支配があり、民主主義だという利点を挙げていました。中国には、共産主義の恐さがある点がマイナスになるのでしょう。

わが国の政策官僚の多くは理想の国を創ろうと努力してきました。戦後の復興から今日の日本の繁栄を考えれば、その目的は達成され、彼らの功績は大きなものがあります。まさに世界から賞賛され、一時は「日本は一番」と言われた時期があったことも納得できます。1985年のプラザ合意頃から、日本の凋落は始まりました。自己改革と言うのは、なかなかできないものです。当時は中曽根内閣の時期でしょうか? 前川レポートなどが世に出てきて、改革の糸口が見えていたのです。国鉄やNTTの民営化など、官から民への流れが出てきた時期ですが、その後の架空の繁栄(資産インフレ・バブル)に溺れ、政策を見失ったのが1985年からの空白の時代でしょう。

この20年間、日本は三大過剰(借り入れ、人員、設備)の解消を迫られ、空洞化現象が起こりました。安い人経費を求め中国への投資が加速したのです。鄧小平が「富めるものから豊かになれ」と言った政策転換に乗った形で、中国への投資が始まったのです。この投資は日本をグローバル基準の国へ変革させる切っ掛けになりました。国際競争に勝つ為に、リストラクチャリング(Restructuring)が鉄鋼産業中心に始まりました。企業の再構築ですね。その成果のおかげで、今日の日本の株高は始まったのです。

しかし、その影で消費税の値上げ論争に見られるように、旧体制派の官僚は、巧妙に国民を騙し続けています。三位一体の成果により、地方行政はようやく民に遅れること15年、改革が始まりました。北海道などを中心に組織改革が行われつつあります。しかし中央政府は、昨日の株式教室の貸借対照表を見ればわかるように、負債を、消費税の引き上げで乗り切ろうとしています。本来は過剰な資産を切り、そのお金を負債(国債)の返済に当て、負債を削減するのが筋なのです。企業のリストラは全て痛みを伴っています。三洋電機では1万5千人の社員が解雇されます。そうして不必要な部門は売却の対象になっているのです。政策官僚は頭が良いから、報道をコントロールして国民を欺いているのです。

ワイルドスワンを読んでください。マオーを読んで下さい。共産主義社会がどんなものか理解できるでしょう。多くの国民は勉強しなくてはなりません。テレビで報道されるお笑い番組に汚染されるている場合ではないのです。ライブドア事件の報道のやり方を見ていると、何故かしら、違和感を覚えるのは、私だけなのでしょうか? 何故、漏れないはずの情報が、新聞やテレビに出てくるのでしょう? 明らかに情報操作されている表れなのでしょう。自分達に有利な情報が、何処かで意図的に流されているのでしょう。現在の報道では、ライブドアのやり方は許されるものではなく、上場廃止も当たり前でしょう。

これに係わり、投資組合が規制され、証取法が強化され、自由なお金の流れは束縛され、お金を自分達の手でコントロールする手法の復活を望む旧体制派の陰謀だという意図を考えるのは、私の窺った見方でしょうか? 官製談合の法令強化の声は上がらず、証取法の罰則強化は当然の空気になっています。何か事件が起こると、継ぎ接ぎだらけの処置でごまかす手法がいつも行われます。何処に問題点があり、その問題が何故生じたのか? 改善策にはどうしたら良いのか? そのような検証は、なかなかされません。一例を挙げれば、東証のシステム不安ですね。ジェイコム事件も売買単位の違いが、問題の切っ掛けなのに…根本問題を早急に解決せずに先送りする。2009年だって、馬鹿じゃないのかな? 経団連が自分達の負担ばかり考え文句を言っている。それならば商法を改正した連中の責任を問えば良い。全てが、ご都合主義で決められていく矛盾が露呈したに過ぎないのに…

日本の不良債権問題で政策官僚は責任を取ったのでしょうか?あれだけ世間を混乱させ、自殺者を、大勢、出したのに…。自分達の責任を、銀行や企業に押し付けて、自分達は渡り鳥で、のうのうと退職金をせしめている。姉歯問題も同じ土壌です。許認可権を振り回すには、その責任が生じて当然でしょう。私はヒューザーの小島社長の訴訟は、かなり理解できます。アメリカでは銀行が倒産したときに、ペコラ委員会は設立され、問題点が明らかにされ、関係者は処分されました。日本では対処療法で、民間の自助努力を過剰に強いて、政策官僚の失敗は問われませんでした。現在も銀行はそのツケを払い続けています。

債権放棄を行ったダイエーの株価は上がり、自助努力だけで頑張る双日は、未だに評価されていません。何故、かたるが双日に拘り続けるのか? 実は大きな意味があるのです。長年続いた悪政の象徴だった双日が、正当な評価を受けたときに、日本は完全に再生するのです。正当に生きる企業を応援するのが市場経済です。双日の優先株負担は重く、自助努力だけでは、残念ながら、その負担を負いきれません。だから豊かな市場が、正当に生きてきた会社を助けなければならないのです。それが市場経済なのだと、かたるは思っています。ダイエーも本来は官の力を借りずに、自助再生できる企業だったのです。しかし官は強引に割り込んできたのです。双日に拘り続けるのは、単に儲かるからとか…そんな小さな話しではないのです。正当に頑張った企業への褒美は、必ずあるのが自然の摂理でしょう。

日本の復活は官の力ではないのです。彼らは自分達の失政のツケを民間に押し付けた輩なのです。のうのうとよく言うわ。消費税の値上げ? それは必要でしょう。しかし順番が違いますね。先ず、自助努力して、それから援助を願うのが筋でしょうに…