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コラム

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鉄が出来るまで…(2007年06月10日)

東京は雨が強くなってきました。雷が鳴っています。辺りは暗く夕暮れ模様です。今日は鉄を勉強します。新日鉄の株が上がり鉄鋼産業は空前の好況です。一昨年辺りから社員の人もボーナスが増えウハウハ状態です。しかしこの業界はリストラに明け暮れた業界なので、少しぐらい良い思いをしなくては可愛そうですが、僕はこの不景気にも関わらず、業界の再編成が加速しなかったことを残念に感じています。みんなお山の大将でいたいのでしょうかね? 人間の欲と言うのは…川鉄とNKKが一緒になっただけで業界の再編成は終ったのでしょうか。

鉄は鉄鉱石と石炭(コークス)を一緒に燃やして作ります。写真のような高炉の中は図のようになっており、高炉の最上部から鉄鋼石とコークスを交互の層を作るように装入しその層の状態をなるべく崩さないように炉内を下降させる。炉下部にある送風羽口からは熱風とコークスの補完還元材である微粉炭などを吹き込む。この熱風で微粉炭やコークスが燃焼し、一酸化炭素や水素などの高温ガス(還元ガス)が発生する。そしてその還元ガスが激しい上昇気流となって炉内を吹き昇り、炉内を下降する鉄鉱石を昇温させながら酸素をうばいとっていく。(間接還元)溶けた鉄分はコークス層内を滴下しながらコークスの炭素と接触してさらに還元され(直接還元)、炭素5%弱を含む溶鉄となり炉底の湯留まり部に溜まる。これが銑鉄。そうして製鋼プロセスにいく。

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コークスは石炭の大きさを揃えために粉砕し、コークス炉のなかで石炭は約1200℃で20時間ほど乾留(蒸焼き)し作ります。製鉄用コークスは1kgあたり250000kj~31000kjもの発熱量があります。この高い発熱量を活かして高炉の中の温度を約2200℃まで高めます。もう一つ、コークスには鉄鉱石に含まれる不純物を取り除く役割があります。燃焼して発生したカーボンは、酸化した鉄鉱石の酸素を吸着する還元材として作用し、鉄の酸化を防ぎ、強い鉄を作るのに欠かせない存在なのですね。

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鉄鉱石の2003年度の国別輸出量はオーストラリアが36.1%(1億3000万トン)、ブラジルが34.8%なのだそうです。ブラジルの総合資源開発企業のリオドセ、オーストラリアとイギリスのBHPビリオン、リオ・ティントが鉄鉱石メジャーで世界シェア80%を占めていると言われています。ここ数年の中国の粗鋼生産量増大により、鉄鉱石も石炭の価格も上がっています。

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