サブプライムローンを考える。(2007年08月05日)
NY市場が急落し心配の人も多いでしょう。本来ならビスタニュースの原稿は有料のために公開はしませんが、全文ではなく前半の部分だけ公開する事にしました。NY市場は下げているようでそう下げているわけではありませんね。下のチャートを見てください。

そこで今回の急落の原因の一因と思われるサブプライム問題を中心に考えて見ました。サブプライムローンの住宅ローンに対する比率はおよそ昨年末では13.6%と言われます。
この融資額は1兆3千億ドルでおよそ155兆円です。このローンに対する延滞率が昨年後半から高くなっています。
この延滞率は今年1-3月期では13.77%だそうです。つまり21兆円ほどの融資が焦げ付き始めているわけです。
しかしサブプライムローンと言っても、住宅を担保としたローンですから融資額がまるまる損失になるわけではありません。アメリカの住宅価格は近年低迷していますが、未だに上昇しています。一部地域、サブプライムローン利用者の多いカルフォルニアやフロリダでは下落しているようですが、全体的に見れば取り立てて騒ぎ立てるほどではないと思います。週末のNY市場は引け間際に下げたといいます。故にパニック売りが入っているのでしょうね。

アメリカンホームモゲージの話題を良く引き合いに出されるようですが、この会社の規模は10位程度の会社だそうです。債券で言えばBBBクラスなのでしょう。しかし安心しているわけではありません。ABX指標(サブ・プライム住宅ローン抵当証券に対するクレジット・デフォルト・スワップ)をみるとAAAクラスも、最近売られ始めました。この現象を波及拡大のシグナルと見るのか? それとも最終局面とみるのか? 意見は分かれます。私は一時的に行き過ぎていると思いますが、再び問題化されるのだろうと思っています。理由はサブプライムローンの性質と残高の推移です。

サブプライムローンは最初の2年間は金利(5~6%)が低いのですが、その後、金利が上がる構造(7~15%)になっています。その為に住宅価格の上昇が見込めないとサブプライムローンは焦げ付く可能性が高いからです。因みにプライムローンは6~8%の固定です。
この問題は2008年の半ばまで続くという一般的な指摘がありますが、私はローンの残高がピークを迎える来年の1-3月期より前に、山場を迎えると推測しています。サブプライム問題はFRBのバーナンキ議長が指摘しているように、それほど大きな問題ではありませんが、複合的な問題が波及し始めており、株式相場に影響を与えると思っています。(こちらの解説は前回のビスタニュースで解説済み)
ここ1~2週間の株式市場の日本、および、アメリカの株価の下げは当然の調整局面で、そう取り立てて騒ぐほどの事態ではないと思っています。理由は懸念が広がっているとはいえ、実際の企業業績は好調だからです。来期予想PERは18.36倍です。4-6月期の企業業績は新興国の需要や為替差益により19%増となったようです。しかしPER18.3倍の背景にある企業の通期予想は据え置きが多く、4.2%の増益しか見込んでいません。のりしろ部分が多く存在するわけです。
8月は総じて相場が弱い時期ですが、これより大きな下げはないと思っています。ただ調整局面には違いなく、今までのような大型株式がガンガン上がる構図を望むのは無理でしょうね。部分物色に留まることでしょう。相場の流れを見極める必要がありますね。さて我々は今後どのような対策で望むべきか? BRICs相場を全面に捉え、ビスタニュースでは数回にわたり特集を組んできました。今こそ、その前に調べた新興株グループの動向が注目されます。
しかしインドの安倍首相訪問にあわせ、経団連が使節団を派遣する構図は、「アジアの隆盛」が消えたものではありません。ようやく日本企業はこの流れに乗ろうとして投資をし始めましたね。グローバル競争を念頭に置き競争に向かったようです。先日の川重、今日の住友化学など…今のところ前向きに考えています。
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