思わぬ相場の真実が発見できる

コラム

« 軽井沢 | 最新の記事 | 失敗の原因 »

峠は越えた(2008年07月13日)

負け組みの心理と勝ち組の心理を考えてみると、微妙な投資心理が垣間見られます。人間と言う動物は不思議なものです。NY市場は完全に弱き相場に傾いたようにみられます。一度、投資心理が逆転するとなかなか反転させるのは至難の業です。NY市場が2割の下落を持って弱き相場入りしたのは、やはり意味があるのでしょう。

しかし…私はいつも強き相場をイメージしています。少数派に転落した強気派は日本では少なくなりましたね。既に私が証券界に入り強気を演じていた時期より、ずっと、弱気相場の時期が長くなっています。日本には戦後、色んな時期がありました。昭和30年代は希望に満ちた時代です。そうして高度成長時代に入り『JAPAN AS NO1』と言う時代があったのです。この本が出版されたのは1979年です。その後、1989年にバブルが形成され崩壊へ…この10年が私の証券マン時代でした。「ベルリンの壁崩壊」を受けて、日経平均株価10万円へと歩合セールスになってレポートを書いたことがあります。グローバル化の推進は加工貿易立国の活躍時代を迎えると考えたのでした。

事実、あれから19年、共産圏国家の市場経済化により世界貿易は増え続け市場経済は栄えてきました。しかし…日本はバブルの崩壊の処理が上手く行かずに未だに処理に苦しんでいます。19年ですよ。簡単なことなのに…誰も主導力発揮せずに、なるがままに身を任せる政策が続いています。GDPはどんどん衰退し国力は落ちていますがマスコミはこの現実を直視せずに国民を欺いた報道を繰り返しています。インターネットの登場によりかなり真実が伝わるようになり国民にも潜在的な知識が身についてきたように感じます。舞台は整っているのでしょうが、なかなか役者が登場しませんね。

私が新興株派なのは、新しい世代交代が興らないと歴史は変わらないと考えているからです。ビスタニュースで昨年の年初に産業革命と明治維新と比較し株式市場を考えました。しかし所詮は権力者には敵いません。ブルドックソースの最高裁の判決で今井判事は会社の主張を認めました。株式の持ち合いを支持する判決です。しかし今年、アデランスの経営者が交代します。市場経済化が勢力を増している構図です。スティールが大株主になりサッポロビールにTOBを仕掛けましたが、しかし市場は会社側に味方しました。そのサッポロビールは、今年、なんとサントリーに業界3位の地位を抜かれました。

このままの市場軽視の動きはやがて日本の国力を奪い、やがて国民負担率はどんどん上がります。重税に苦しむのですね。後期高齢者医療制度の顛末を見ると、日本の未来が見えます。社会保険庁もしかり…日本の改革ムードは再び訪れるのでしょうか?
市場は常に警告を発しています。54年ぶりの連続安記録は昭和20年代の話です。この現実を真剣に議論しなくてはならないのに…マスコミは視聴率争いの馬鹿番組を報道しています。その結果、景気は悪化し広告収入は減っています。収入のパイを増やすべきなのに、分配の話ししか政治の議論にのぼらない。サミットに日本政府は600億円もかけたそうですが、成果はあったのでしょうか?

議論は既に終ったのです。あとは実効ある政策の実現なのですが、何故か、この段階になると人がいなくなります。投資家はこのような環境の中で米国を憂いでいますが、本質を考えれば米国は峠を越えている筈です。サブプライム問題の金利の改定残は既に峠を越えて少なくなっています。下のグラフを見てよく考えてみてください。

c20080713a.gif