思わぬ相場の真実が発見できる

コラム

« 峠は越えた | 最新の記事 | 国策逮捕(長銀のケース) »

失敗の原因(2008年07月20日)

私はこれまで企業業績が赤字から黒字に転換する瞬間の株価が一番良く上がることから、業績が赤字から黒字に転換する企業を狙い続けてきました。以前にも解説したことがある景気循環と株価の特徴を掴んで売り買いをする方法を応用したものです。具体的には金融相場には銀行、証券、不動産と言う業種の銘柄を、そうして業績相場には素材から製造業を…そうして消費関連などに繋がるはずだったのですが…近年はグローバル化により別な力が大きく影響し完全に相場観を読み間違った結果、大きな損失を受けました。その原因を探っていたのですが…最近、明らかになった交易損失などの影響も相場観を読み間違った原因の一因と考えています。本来の景気の循環パターンでは、金融政策、財政政策により景気が持ち直し、設備投資が始まり景気が良くなると労働分配率が上がり消費が盛り上がる筈だったのですが、今回は設備投資まで火がついたのに、一番、金額の大きなパイである消費が空振りのうちにインフレが始まりました。この理由の一つがグローバル化により日本の税率が高い為に企業が利益を海外にプールしたこと。そうして交易損失が膨らんだので労働分配率の上昇に繋がらなかったのでしょう。

c20080720a.gif
c20080720b.gif


この失敗の反省を見るグラフが日銀短観や鉱工業生産指数はかなり良いのに、街角景気は下向いています。既に街角景気は最低水準になりますね。まるで日経平均株価と単純平均株価の差異を見ているようです。我々は国内で生活しているわけで、海外で生活しているわけじゃないですからね。悔しいけれど、完全に相場の読み違いが続いていたわけです。もう一つ、下のグラフは景気の実態により株価と業績の関係がずれるのですね。景気の上昇期には株価の動きは先取りしますが、景気の下降期には株価は弱くなり遅れるのです。此方は当たり前の現象ですが、ディフェンシブストックが活躍する現象と同じです。更に大型株が小型株より有利になるのが景気後退期ですね。投資家は損失を抱え慎重になるわけです。この二つの現象を基本に捉えこらからの相場観を組み立てねばなりません。

c20080720c.gif