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コラム

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国策逮捕(長銀のケース)(2008年07月21日)

一匹狼の歩合セールスとなって、まもなく20年になります。この間、日本経済の司令塔は不在で何処に国家目標があったのでしょうか? 本来の政治の使命はより良い国民の安全と豊かさを高める為にあると思うのですが…1985年辺りから怪しくなってきました。IRNETの前身であるホームページ「株式市場 日本を考える」のタイトルで始めたネット活動はまもなく10年を迎えますが、辛うじて墜落しない程度で燃料切れが迫っている日本国のイメージに感じられます。日本には江戸時代の鎖国時代から外部に刺激され、改革意識が芽生え明治維新が起こりました。バブル崩壊から、そろそろ20年を越え戦後レジームも脱却を図るべきだと思いますが、なかなか新しい時代に入れません。まだ産みの苦しみは続くわけです。

先日、旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で、旧証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)と旧商法違反(違法配当)の罪に問われた元頭取ら3人に対し、最高裁は1、2審の有罪判決を覆し無罪を言い渡しました。バブル崩壊の幕引きを図った検察当局の国策逮捕(国策捜査)と言われる事件ですね。日本国の政策は大蔵省が作り、背後を固めているのは、国税や検察の組織的な援護射撃のように感じます。だから政治家も役人様に配慮するわけです。このような国策逮捕にはロッキード事件などが過去にあるわけです。

日本の金融機関は長い間、護送船団方式で大蔵省の言いなりの経営をしてきました。その行政指導の政策の失敗が1989年からのバブル崩壊です。残念ながら、失敗元が国の為に延命処置が働き、なかなか後遺症から脱することが出来ないのです。当時の責任者は澄田智、三重野康、宮沢喜一、橋本龍太郎などを筆頭に多くの人間が関与しています。まだ生きている人も多くなかなか政策責任が明らかになっていません。本来なら米国のようにペコラ委員会が設立され実態を解明して厳格な処罰をすることが後世のためになったのでしょうが…何故か、日本は長銀への国策捜査が決定され犠牲者を作る事によって、幕引きを図ろうとしますからね。スケープゴートを求める手法がこれまでのやり方でした。元頭取大野木克信氏も責任はあるでしょうが、明らかに裁かれるべき被告は全てを指揮した大蔵省の幹部の筈です。2006年のライブドアも村上ファンドも似たようなものでしょう。

ここで嘗ての大蔵省事務次官の名前と在任期間を列挙しておきます。全員が戦犯と言うわけではありませんが、金融行政に携わっている人もいますからね。もともと日本の汚職の源を作った財政投融資は理財局が主導権を握ってきたし、無駄な公共事業投資に予算を配分した責任は重いでしょう。

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今回の長銀の無罪判決は、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)が下した判決ですが、最近、私は裁判長の考え方により判決は大きく変わるのでは?との疑念を持っています。ブルドックソースは今井功と言う人でしたね。この人は京大出の裁判官あがりです。今回の国策逮捕に無罪判決を下した中川さんは異色ですね。金沢大学の出身で弁護士あがりです。この裁判が検察官あがりなら間違いなく有罪だったのでしょうか? 調べてみるとこの枠組みが決まっており裁判官から6人、弁護士から4人、検察官から2人、あとは行政官、外交官、大学教授から各1人の合計15人で構成されています。僕らが選挙で信認できるのです。この人たちは内閣が選ぶのです。


国策とは何か?
巨大な組織を動かす法律の立案など確かに難しいですが、誤魔化すやり方に国民はウンザリしているわけで今回の長銀の話など、ほんの一例でしかありません。バブル崩壊の最終処理はまだまだ進んでないのです。大手銀行の「みずほ」さえ、1兆円増資の後始末がついてないのですから…、りそなに至っては話になりませんね。いずれ外銀の傘下になるかどうか…

ところで、今の日本国の目標ってなんなのでしょう? 
サッパリ分かりません。通常は内閣総理大臣が国策の方針を決めるのでしょうが、池田隼人の所得倍増論などの明確な目標が、いつから消えたのでしょうか? いつまで対処療法的な政策を実行するのでしょうか? 考えてみれば、日本にはいつしか「夢」とか、「希望」と言う言葉が消えたように思います。