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かたるの失敗2(2008年09月07日)

かたる投資の失敗を分析しています。
非常に大切なことなので、恥ずかしいけれど、あえて自己分析をしています。投資家それぞれが今後の投資に役立ててくれればと願っています。
かたるが、何故、相場観を間違い、銘柄選択を誤り、損失を被っているか?
大きな原因の一つに、私の性格があるのだと思います。常に前向きに希望的な観測を元に行動する性格ですね。これはかたる君の信条だから仕方がない。もともと、かたる君は父の死を切っ掛けに、人間の生き方のあるべき姿を考えました。人間、一度はいずれ死が訪れます。故に死ぬ時に悔いが残らないように、精一杯、一生懸命に生きようと心に決めたのです。だから、多少、背伸びをして生きているのですね。

更に、景況感の読み違いに大きな見誤りがありました。長いトンネルを抜けたので、今度は明るい未来が待っていると言う希望的な観測を元に相場観を組み立てていたことです。しかし現実は…いつも語っている通りの失政が続いています。この原因はマスコミの責任が大きいですね。常に視聴率などを意識する為に、間違った方向の報道をし続けています。社会現象を漫才化するので、選挙を意識する政治家や官僚は理想の政策を実施できない有様です。まぁ、これは兎も角…

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通常は景気が低迷すると金融政策と財政政策が実施され景気の浮揚を図ります。金融政策の代表例は金利の引き下げなどです。そうして減税や公共事業投資などの財政出動で需要が喚起され景気が浮揚します。忙しくなった産業界は需要に応える為に増産に走り設備投資をします。そうなると益々需要が大きくなり人材が不足します。人材の不足から賃金が上がり、人々は可処分所得が増えるので消費に走ります。基本的にはこの三つがGDPの主力エンジンですが、これに貿易を加えた外需が影響するわけですね。今回の景気回復はBRICs景気の外需によるものが大きいわけです。ピジョンなどが新高値の現象は日本がグローバル経済の中で生きていることを示しています。他にも沢山ありますね。

かたる君の失敗は設備投資まで火がついた景気から消費と言う主力のGDPのエンジンに火がつくと考えていたことです。ハイリスクを信条としているかたる君は常に株価効率が高い銘柄を選んできました。つまり潜在的な株価成長率が非常に高い会社です。会社の業績の成長率ではありません。株価の変化率の高い会社と言う意味です。
ところが交易利得や企業の海外利益プール、外債投資などの為に、日本に資金還流が起こらずに消費に火が付きませんでした。功を焦った厚生労働省は派遣事業の見直しに着手しました。キャノンの派遣社員論争は経団連会長を輩出する企業として非常に面白い現象でした。企業の税負担はグローバル基準では重く、今日の日経ヴェリタスの報道にあるように「スミダ」と言う企業が日本を脱出する話は興味深いものですね。前から述べているようにHOYAもそうなのです。既にグローバル化が加速している以上、日本独自の基準は意味がありません。国際会計基準の設定などはそのような時代の流れの一環なのです。

話がそれ始めましたが、日本は様々な規制が人間の行動を縛り閉塞感を生んでいます。このような現象の中で日本逃避の動きが続く以上、株価の成長を望むことはかなり難しいわけです。エルピーダをみれば分かります。税負担が小さく優遇処置のある国に工場を作り利益の追求をしていますね。日本の空洞化を防ぐ手段が請負や派遣だったのですが、世論からの批判が厚生労働省の態度を変えさせたのでしょう。時代の逆行は政策だけでなく新日鐵の株式持合いなどに色濃く反映され始めました。少し景気が良くなったので、自分たちが更なる苦労である構造改革を放棄して、楽な選択をし始めたのがライブドアの国策捜査なのでしょう。このような現象を時代の逆転と、当時は読めなかったのですね。日本からの資金流出や政策の転換が行われた為に株は悲鳴をあげはじめます。

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しかし私はそれらの現象は一時的だと考えていたのです。見落としもありました。交易利得や企業の海外資金プールなど…ひどかったのは不動産への総量規制です。地方では今年の4月から始まりました。東京は昨年の夏ですね。株価が新安値に向っているのは海外動向もさることながら国内の固有問題が非常に大きいのでしょう。総務省が発信している街角景気は非常に景況感を上手く捉えています。統計としては意味がありますが、日銀短観は硬直化しているように感じますね。自己主張に固守するあまり相場観の修正が遅れました。ご存知のように「今日の市況」では常にかたる君は強気を堅持しており、トロ君はどちらかと言えば弱気を主張しています。両者は常に対立しているわけです。現実の世界でも、かたる君はある意味で役者なので…演技に染まったように感じますね。有言実行をモットーとして行動していますから現在のかたる君は苦境に陥っているわけです。

しかしIRNETでは株式投資の本来の投資の意味を伝えたいと思っていました。そうして私は現在でもその投資行動が正しいと信じています。育てたい企業を応援するのが株式投資のはずです。世の中に必要な企業が伸びるのが道理でしょう。故にかたる君は企業が裏切らない限り応援するのですね。双日は悲惨でした。企業経営者に株主は裏切られ、証券会社にも裏切られるのです。悲しい事に今の証券界には企業を育てようとする本来の使命感が欠けています。同じことが銀行にも言えますね。悲しいことです。ある意味で社会的使命などの正義感より利益追求に走っている日本の構造はどこか間違っています。別に否定するわけではありませんが、ジェイコム君がもてはやされる現実は何か味気ないものを感じます。負け犬の遠吠えですけれど…私は心が豊かになる生き方をしたいと願っているのです。社会起業家の精神ですね。よくもまぁ、自己弁護していますね。恥ずかしい限りです。敗者には敗者の弁があるのでしょうか?

景況感の読み違いは銘柄選択に影響されます。時間軸がずれるのです。
株価は市場要因と個別株要因に影響を受けていますが、昨今のような流動性不足に陥ると、まともな株価は時価総額30社ぐらいの銘柄でしか付かないのでしょう。後は人気株だけ…その他大勢の株式は残念ながらゴミですね。故に新安値銘柄が430も出るのでしょう。1株純資産を割れる会社が東証一部上場だけで972銘柄(1720銘柄が上場)もあるのは、明らかに異常現象なのでしょうね。景況感の悪化は業績の変動を招きます。日本の景気後退は2006年の失政から始まり、サブプライム問題の影響で加速し始めました。まぁ、三つの課題であるサブプライム問題や中国問題より日本固有の問題の方が厄介ですね。この解決には時間の変遷が不可欠で世代が交代しないと実現しません。明治維新からの日本人の苦労は時代のギャップに苦労したでしょうね。

私は古い世代に近い考え方です。新しい時代はもう少し割り切らないとなりませんね。
かたる君の投資活動を成功させる為に有言実行などの「武士に二言はない」などと言う精神は邪魔になります。「情け」などの武士道の美学を捨てねばならないのでしょうか?
昨日はNHKのBS2で黒澤明監督の「七人の侍」と言う白黒の番組を放映していましたが、見返りを求めずに百姓を助ける為に命を投げ出す武士か…馬鹿な生き方ですね。しかし、何故か好きですね。