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金融相場2(2009年05月10日)
まず、是非御覧になってください。
実はかたる君は昨日、「グラン・トリノ」と言う映画を観てきました。日本の若者に欠けている部分が何か? 草食系男子が増える時代だそうですが、男の生き方を魅せられたような気持ちを与えてくれます。
きっと何か得るものがあると思いますので、是非、観て下さい。
さて、昨日はこのような経済環境下で、何故、金融株が上がるのか?
基本的に金融相場の立役者は銀行、証券、不動産などの御三家に加え、今回のように住宅減税などで潤うと思われる住宅関連などが対象になりますね。グローバル規模で考えれば中国で見られるように鉄道建設などの動きも公共事業投資関連の銘柄として買われます。BRICsだけを取り上げれば社会基盤が未整備なので道路や鉄道、電気、水道、更には情報インフラ整備などがその中心セクターになります。今日は銀行を考えてみます。
わが国では1989年の相場を頂点とするバブルが起こりました。当時、日銀の澄田総裁は為替相場を気にするあまり、低金利政策を長く実行し資産インフレを見逃したのです。その為に過剰貸し出しが行われ不良債権の山となりました。その後の三重野総裁も金融政策を失敗します。今度は過剰な反省をして金融を痛めつけます。更に竹下、宮沢などの歴代総理も根性がないのか、失敗の上塗りをするのですね。そうして永遠と金融機関は不良債権の処理が続きます。なんと1989年から2003年まで日本はこの処理に手間取ったのです。この反省があり今回のサブプライム問題などでは痛みが少なかったのです。世界の金融機関の中で日本ぐらいのものでしょう。
日本経済は過剰債務に懲りていますから、基本的に企業は健全です。経営者は積極性に欠けていますね。その為に今回のグローバル競争に遅れたのですが、今回は日本が飛躍するチャンスがあるのです。新日鐵の見られるように90年代の鉄鋼はリストラクチャリングと言う造語が定着するほど、ものすごい人員整理をしました。当たり前です。社会基盤整備が済んだのに高炉をたくさん持っていたのですから…。本来ならグローバル展開すべきだったのですが、島国根性が成長を妨げました。しかし最近の新日鐵はブラジル、タイ、ベトナムなどへ進出しています。日本はある意味で海外展開を計りたくとも出来なかったのです。過剰債務問題に目処が立ったのが2003年ですからね。実際の経済的には2005年に回復し始めます。下のグラフは日銀より…
そもそも日本人は認識を間違えています。日本の銀行は非常に健全です。株式持合いをしているために、保有有価証券の値下がり損が多額に計上されましたが、本業はすこぶる好調です。日本の銀行は2005年からこれまでの痛みを乗り越え、貸し出しを増やし始めています。この傾向はサブプライム問題から金融危機の影響で直接金融が見直され、昨年の秋より貸し出しが大きく増え始めています。足元、中小企業へは融資規制をしているところもありますが、全体的には伸ばしています。その様子が上の日銀の統計から分かります。実際三菱UFJ銀行の貸し出しは3月期末の88兆円より93兆円と大きく伸びていますね。この利益は1兆6540億円もあります。預金利息は4938億円ですから、1兆1602億円の儲けですね。だいたい1.2%程度の利鞘があります。景気が回復すると経済活動が盛んになり貸し出しも増えます。やがて金利が上がり利鞘が膨らみます。だから銀行は儲かりますね。
先回の景気拡大期は戦後最長と言われて宣伝されましたが、実際に金利は上がりませんでした。理由は銀行の不良債権処理が完全に済んでなかったのです。みずほ銀行がいい例ですね。2003年に実施された1兆円増資の優先株式は未だに転換されていません。しかし今回は本当の意味で正常な状態に立ち上がるチャンスですね。
日本株の悲観論がありますが正しい政策実行がなされれば、もともと日本民族は優秀です。先ほどの新日鐵の例で見られるようにグローバル対応がされ一段とスケールアップできるチャンスでもあるのです。だから人口の多いアジア戦略が非常に重要なキーワードになりますね。三菱UFJ銀行は三和銀行のおかげで中国の支店網は充実しています。そうして今回ユニオンバンカルの子会社化、モルガンスタンレーへの出資など着々と戦略化を実施しています。野村證券もリーマンのアジア部門などを買収しました。三井住友は日興証券を…。いいですか、世界のパイは変わりませんが、競争相手の銀行が次々に失敗し力を失っている所に日本は進出しています。残存者利益は計り知れないものがあります。
この金融危機をバネに成長できるかどうか? あまり深く解説する必要もないでしょうが誤解する人がいますからね。…続きはビスタで…。