思わぬ相場の真実が発見できる

コラム

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新聞記事から…(2009年12月20日)

日本経済の今の事情は、どんなイメージなのか?
色んな現象から垣間見られます。昨年、2008年8月にアーバンコーポレーションが倒産しました。黒字だったのですが資金繰り倒産と言われていましたが、実際は投資物件が値下がりして、かなりの含み損を抱え銀行が警戒したのでしょう。20年前なら間違いなく延命処置が適用され、銀行は追い貸しをしていたのでしょうが最近は容赦なく切られます。その後、10月に新井組、ニューシティが倒産しました。リートのニューシティが倒産するとは…。今年は3月に大和生命が倒産して11月は穴吹工務店と続きます。

c20091220a.jpg一方、今年3月に朝日生命大手町ビルを800億円で地所が買収し、5月に丸の内のAIGを1100億円で日本生命が、6月に錦糸町のオリナスタワーを日本プライムリアルティ投資法人が239億円で、7月に豊洲のビルに対し韓国の年金とカーライルが共同で350億円の投資をそれぞれしています。最近ではダヴィンチがノンリコースで保有していた丸の内のPCPを1400億円でセキュアードが買収したと伝わっています。この物件は興味深く2006年9月に香港のPCCWが2001年に建てたものを2000億円で買ったものを1400億円で売ったそうですね。600億円の損失です。

ここで調べました。
このPCCWと言う会社は長江グループを率いる李嘉誠の二男である李沢楷(リチャード・リー)が主席を務める会社だそうです。香港の通信会社なのですがPCCWが一躍有名になるのは、2000年8月17日のケーブル・アンド・ワイヤレス香港テレコムの買収である。シンガポール国有企業であるシンガポール・テレコムも買収を試みていた。しかし、中華人民共和国政府は外資による買収を嫌いPCCWによる買収を支持した。その結果、PCCWは中国銀行から買収資金を調達することが可能となったのである。香港テレコムの買収により、PCCWは香港最大の電話会社となり、またISP事業も可能となった。さらに、香港テレコムの資産を手に入れたことで、資金調達も容易になり、香港だけでなくアジアでも最大級のIT・通信系企業になることができたのだとか…親父の七光りです。

まぁ、そんなことより1997年に国鉄から869億円で買収した土地で、ビルの工事費は280億円。その後、隣接地を含め、合計で1300億円をかけて開発したといわれています。この物件を2000億円と言う過去最高価格で買収したのがダヴィンチです。この手法は、自己資金は僅かで銀行借り入れでノンリコースとして資金調達しました。ダヴィンチは137億円の棚卸し資産を評価減しています。2006年の9月の話しですね。まさに金子マジックです。よくこの融資に乗った銀行マンが居たものです。当時、アメリカでは既にサブプライム問題が噂になっている段階ですね。情報を正しく分析出来れば600億円の損失はなかったでしょう。

逆に長江グループを率いる李嘉誠の二男であるPCCWの李沢楷は、流石に香港だけあってたいしたものです。神業ですね。今、何を物色しているのでしょう。

更にこの記事から…
金子さんは金融機関を説得できる背景が当然あったのでしょう。つまり利回り採算です。国債金利を下回ることはないから、おそらく3%程度の確定利付きだったわけですね。だから銀行も融資に乗ったのでしょう。そうして600億円も損失を被ったということは、2000億円で30%の損失ですから10年なら3%ですが…おそらく20年で1.5%なのでしょう。つまり現在の東京の優良物件の投資利回りは4.5%程度だと推測されます。

新聞記事はヒントです。このヒントで何を考え、どうやって相場に生かすか?
おそらく、あの日経新聞の記事を読んで、ここまで調べる人は何人居るのでしょうか? 今はインターネット時代なので、自分が努力すれば情報の真偽は分かりませんが、ある程度の状況を把握できますね。情報とはこのように自分で考えるものなのでしょう。見方が正しいかどうかは、時代の流れで変わります。時代が変化すれば、当然、当初の見込みも変わります。株式投資をして思う事は、多くの情報ソースの中で、何を選択するかと言う決断ですね。

最近、かたるの失敗を通して色々考えるわけです。この40億円を何とか生かさないとなりません。40億の損失を400億の利益に変えることが出来るかどうか…それだけの話しですね。そんな観点から、最近は再びチャレンジです。まだ分かりませんが、ようやく相場のほうも変化が見えるかもしれません。これから銘柄検討を含めたビスタの原稿を書くわけです。

PS
その後、日経ヴェリタスをを読んで、ダヴィンチのエクイティは286億円と判明。買い手のセキュアードの出資金は100億から200億と言う話しです。新生銀行が主だった資金の出し手で1140億円の貸し出しを振り替えたのだそうです。ダヴィンチからセキュアードに…。この仕組みでメザニンローンの損失はいくらなのでしょう。普通なら600億円から286億円を引いた残りがそうなりますが…?
記事はその点、詳細に伝えていませんね。川崎さん、もう少し突っ込んだ作成をお願いします。