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正常な価格は何処に消えた(2010年08月15日)

未来かたるは株を買うことしかしません。
多くの投資家が信用取引はできずに現物投資だからです。おそらく8割程度のお客様は買いだけなのでしょう。皆さんには信じられないでしょうね。1989年以降、株式相場は下がり続けています。様々な理由がありますが一番は日本がグローバル対応に弱い島国育ちの国民だということでしょう。根本は教育問題に行きますが、内外価格差などの内部要因も抱えていました。要するに鎖国時代の江戸時代から文明開化で明治時代に移行した時期と同じ構造内容を抱えています。今日はそんな話より、何故、かたる君が最近ショックを受けているかと言う話です。0%と言う金利はありませんが、機関投資家は常識をはずれ株式を売り債券を買っています。10年債の金利が上がると、大きく損失を抱えるのを知っている常識派の機関投資家が1%以下の国債を買い入れています。

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売られる株式が常識的な水準なら構いません。しかし最近は三菱UFJにみられる様に、黒字で配当をしており、尚且つ、資産は都心の一等地なのに…純資産以下に株価が下がる現象が多発しています。銀行は自己資本比率が低く、三菱UFJでも未だに6%台でしょう。だから増資リスクが存在するから、売られると言う常識的な判断があるならわかります。しかし他にも多いですね。この純資産割れの会社。考えられるのは資産デフレ現象です。今回の決算で非常に目立つのが「資産債務除去損失」と言う言葉です。一体どれくらいの金額が資産デフレにより消えているのでしょう。しかし日経さんは書きませんね。書くと都合が悪いのでしょうか? この関連記事を…。

まぁ、それも我慢しましょう。しかしスポットがあたる筈の花形銘柄に育つ会社が沈んでいます。ながくお読みの読者はお分かりかと思いますが、早くから、かたる君は携帯コンテンツ市場に注目していました。携帯電話の会社は、毎月、決まった収入が入ります。しかし既に日本では飽和状態。この市場に魅力を添えるのは携帯コンテンツです。アップルの素晴らしさは土台(プラットホーム)を提供して、サイドパーティーと呼ばれる仲間の企業が共に成長していることです。優秀なコンテンツを提供する会社をユーザーが選択しています。そうです。日本が得意にする分野のゲームなども一例でしょう。

実は最初は携帯コンテンツが有望だろうと考え、サイバードと言う会社を買っていた時期がありました。その後、MBOに遭い仕方なく同業最大手のINDEXに銘柄を切り替えました。その過程でDENAも多少持っていました。そのDENAが昨年から、あれよ、あれよと上がり始め、最初は手持ち株を売ったのです。そうしたら、強いのなんの…。今年の春にあまり強いものだから再び調べたら、ゲームを提供し儲かり始めたことが判明しました。既に高値圏の株です。しかし昨年の8月にサービスを提供したばかりです。まだ成長途上だろうと考え、調べたら成長率鈍化の兆しはありましたが、売り上げは伸びることには違いありません。

更にグリーと違い国際展開も3年前からやっており、そろそろ此方も収益に寄与し始める時期です。DENAは昨年、米国のアップルパーティーのオーロラフェイントと資本提携をしました。儲かり始めたDENAは世界展開の加速を考えています。米国だけなく中国でも「天下網」で布石を打っています。足元の業績は絶好調で、しかも世界展開の夢が広がります。この銘柄がPER10倍台の評価なら、どの株も上がらない。せめてPER20倍から30倍まで…。だって足元の企業業績は成長率が減速はしますが、売上げが1000億円規模の世界の話です。10億円台のレベルではありません。同業のグリーもすごいですね。僅か3年程度で売上げが100倍ですよ。しかし…どの分野もそうですが、伸び率には限度があります。1000億円レベルになれば、国内だけでは、ここから大きな伸びは期待できません。でもこのクラスになると、次のステップの世界展開が見えてきます。任天堂が世界に羽ばたくときPERは50倍程度まで買ったことがあると思います。

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…にも拘らず、PER20倍にも評価しない市場は、極端な買い手不足の現象なのでしょう。日本の新興株が世界へ羽ばたく企業に生まれ変わる瞬間です。嘗てのトヨタやソニーなど、みんなそうでした。しかもこの3Gの世界は技術的にも世界のトップグループの分野です。日本が早くから育ててきた独自の分野です。SNSの世界は日本の得意分野です。最近になって、グーグルやディズニーなどの世界の有力企業が、この分野へのM&Aを加速させ注目している成長分野ですね。この企業を育て1万円台で公募増資を実行させて、世界的な大企業へ育てたい。僕らの力で…証券マンのロマンスです。まだ従業員が624人足らずの弱小企業ですが、やがて努力が実るでしょう。せめてPER20倍台の市場評価を期待するのです。

何故なら、この会社は世界景気の二番底懸念にそんなに影響を受けません。為替にも業績は左右されません。補助金がなくなっても、為替がどんなに円高になっても問題ありませんね。むしろ円高の方が国際展開を考える上で追い風になります。買収資金が少なくて済みますね。会社発表の1株利益は180円程度ですが、馬鹿な広告宣伝費の使い方をしなければ200円以上は確実でしょう。だから新高値を更新できる数少ない銘柄の筈です。

でも元気がないのは、この現象ばかりではありません。
例えば鬼怒川ゴムの決算数字です。下の会社四季報の予測数字と実際の決算数字の推移や最近の決算短信の予想です。この会社の株価が350円台でウロウロしています。日産自動車は、いまやグロ-バル展開を加速させ、販売台数が大きく落ち込むかどうか…。にも拘らずPER6倍台の評価が正しいのでしょうか? こんな例は最近、腐るほどありますね。如何に市場が悲観的になっているか物語る実例です。このような異常な株価水準が長く続くことは市場が機能しなくなっている証拠です。

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何故、市場にお金が入らないのか?
最近は新聞記者やマスコミの影響だろうと考えています。多くの人は現実を分析する能力がありませんから記者の観測予測どおりに受け止めます。しかしいくらなんでもやり過ぎですね。国債金利が0.9%台か…。こんなデフレがいつまでも続くのでしょうか?