二つの経済(2011年06月19日)

今日はグラフを見ながら現在の世界情勢について考えます。
上の図を見てください。経済活動は実体経済と金融経済が存在し、両社は相互作用を有しています。金融経済が膨らむと実体経済は時を経て成長して行きます。逆に金融経済が縮小すれば、やがて実体経済も減速します。
経済は金融機能を伴わないで発展してきました。最初は物々交換です。やがて貨幣が生まれ、為替が生まれ、どんどん実体経済を金融機能が支えて成長してきました。最近の現象は米国で発展した金融デリバティブ機能の発展により、世界経済が大きく発展しました。まぁ、金融界の産業革命です。リスクを転嫁する手段がCDSなどに代表される保険機能です。この保険機能に歪みが生じたのがリーマンショックです。
規制が発展に追いつかなかったので、金融拡大機能が、がん細胞のように増殖しました。元FRB議長グリーンスパンの失政ですね。彼だけの責任ではありませんが…。そうして現在は自己資本比率規制などの金融規制を導入し、金融機関は当局の監視下に置かれています。背景の説明は要りませんね。サブプライムローンのように信用力のない人間にまで過剰貸し付けしたのです。実体経済の成長が続けば、その行為に整合性はあるのですが、微妙なバランスが崩れました。住宅価格の上昇以上に貸し出しが増え、住宅価格の上昇を支える人が居なくなったのです。つまり金融の欲が実体経済を超えて進んだのですね。このように常に両者の関係は行き過ぎが生まれます。リーマンショックは金融が実体経済の許容限度を超えた要求を満たすために、無理なサブプライムローンやCDSを発展させた結果、実体経済の成長スピードが金融経済の拡大に追い付けずに調整したのです。
かつて日本も実態は違いますが、土地担保融資の過剰貸し付けがバブルの崩壊を生んでいます。しかし日本の現状は過剰な清貧思想が蔓延し、金融機能が異常なほどに縮小しています。まったく米国の構図と逆の相関関係にあります。米国は実体経済が100の所、金融経済は130程度まで膨らみ調整しましたが、日本は既に実体経済が100なら、金融経済は60程度のイメージですね。一例を掲げると三菱UFJの純資産価値は600円なのに株価は362円です。本来、日銀は早めに手を打たねばなりませんが、金融経済を無視しているから、実体経済だけの片肺飛行を長く続けています。ここで先ほどの石器時代の物々交換を連想してください。じつに非効率な社会ですね。
昨日、株価と業績の関係を述べ、任天堂を例に解説しました。
任天堂はファミコンの開発当時、野村証券が高値で公募増資を成功させました。業績が伸びる背景があり組織力を使い高株価政策を野村が採用して、(悪く言えば株価操作です。)高値で公募増資を成功させ、その資金で世界にゲームを広げました。そうして任天堂は世界的な企業になったのです。京都の薄汚れたトランプとカルタしか作ってなかった会社が世界に羽ばたいたのは、企業努力と直接金融のお蔭なのです。
わかりますか?
金融機能が育てば実体経済が伸びるのです。そうして国民は可処分所得が増え豊かになります。結果、GDPは伸びるのですね。税収も増え、財政も安定します。しかし日本のトップは金融の経験がないから…日本はモノづくりの国だと…金融の原則を歪めたのです。ブルドックソースの判決ですね。豊かな金融市場を育成するためには、フェアな条件を確保しなくてはなりません。イカサマを実施する賭場に誰も足を踏み入れませんね。
現在の中国はこのバランスが微妙な状態ですが、金融機能が発展し実体経済が反映しています。しかし為替操作や会計ルールの無視など…最近、歪みが生じているようです。アリババとヤフー、ソフトバンクの問題は文化の違いと言うか…注意を要するようです。最近米国では中国企業の不正会計を問題にし始めています。
さて…日本ですね。
今、ご説明したように日本は実体経済がオレンジですが、金融経済は青の状態から赤の状態へ、20年以上もかかって、ようやく日銀は昨年の10月に資産デフレ対策を実施しました。恐々と僅かな変身です。最近も僅か5000億円の規模で子供の遊び程度ですが、貸し出しを促す窓口政策を実施しました。明らかにスタンスを変えましたね。FRBは100兆円規模で政策をしていますが、日本は1兆円にも満たないのです。でも大きな一歩ですね。何故なら、20年もかけて調整を果たし、既にこれ以上、下がないような状態だから僅かな風でも効きますね。デフレの均衡バランスが世界経済のインフレも加味され、日本経済に効きます。日産のマーチのタイへの生産移転を始め、日立の変化など条件は揃ってきました。トヨタは、いつカローラの生産移転を発表するのでしょう。
昨日、私は、汎用品は必要ないと述べました。ピカ一とは何か…を解説しました。日本は北欧のように人口形態に合わせ、産業を淘汰すべきでしょう。そうして汎用品の価格競争のエネルギーを未来都市の情報と社会基盤作りに充てて、世界一の効率化社会の構築に努めるべきです。例えば…何度も述べていますが、キャッシュレス社会を構築すれば、税務署員も地方自治体職員も削減できますね。警察機能などの安全にかかわる組織も縮小できます。何故なら、スマートフォンなどのお財布携帯しか利用できませんし、全てのこれらの機器にはGPS機能が付いており、正確な位置情報が分かりますから、犯罪が発生しても直ぐに捕まりますね。主要な交通機関にカメラをセッテングすればいいのです。お金がないから、キャッシュレス社会はデータのやり取りですから、売り上げを誤魔化す脱税も出来ません。最近の技術進化はすごく、TDKの技術は空間検知も可能にしています。高層ビルの何階にその人が居るかも分かるそうです。
循環型のエネルギー政策が進み、新社会資本整備が進むと、世界中の優秀な企業が日本に来ます。企業の税金も所得税もゼロにして、消費税だけの体系にすれば良いのです。高度情報交通システム(ITS)を推し進めれば、時間が縮まります。世界中の金持ちが日本に住みたいと言う環境が実現できますね。だって情報は既に、言語の壁を超えています。地デジ放送は新しい可能性を秘めていますね。既に光の環境も整っており、未来社会の構築を世界で最初に実現するのです。だから金融経済の飛躍的な発展が望まれますね。もうすぐ夜明け。震災を契機に目覚めよ、日本人。情報に踊らされず、自らコントロールできるように自分自身を高めねばなりません。