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コラム

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整合性とカケラ(2011年07月31日)

決算数字が続々発表されていますが、決算数字で面白いのは3-4Qですね。日本は3月決算が多いから秋から春にかけての話になります。通常、1Qの数字が良くても、通期を増額修正するケースは稀で、慎重な見通し述べるからですね。タツタ電線のように…。今年は震災の影響があり、その関連経費があるので決算数字も読みづらいのです。この影響は2Qまで7―9月期も持ち越されますね。更に中国が引き締めを継続させており成長率が落ち込み、米国も金融規制の影響が色濃く出ているようです。

GDP数字の結果は通常の経済状態なら、ありえない現象ですね。明らかに金融機関を痛めつけているので、いくら金融・財政でカンフル剤を打っても効かない現象のようです。米国はフレディーマックやファニーメイなどのGSEの処理が進んでいません。シティーバンクは株式の併合をしたように傷ついています。実体経済と金融経済は経済活動における車の両輪です。日本が長いデフレを味わっているのも、明治から培ってきた蓄えを一気にバブル崩壊の後処理に費やされました。考えてみれば原発の処理も東京電力に責任を押し付けて、政府は責任を逃れましたしバブル崩壊もそうですね。同じ選択です。政策責任なのに責任を取らない結果が続いています。そのツケが国民生活にしわ寄せしているのでしょう。

若者はデフレ時代を味わい、うつ病に罹り、中高年は諦めと失意のドン底かな?ただ時代の変遷の波に乗っている人たちは、一握りですが居るわけで…いつの時代も努力と運が結果を決めるのでしょう。

テレビ番組を見ていると…最近は変わってきましたね。1億総クレイマー増産番組の人気は少し減り(ニュースステーションからみのもんたの番組など)、代わりに政治もの(プライムニュース)や旅行、自然番組など、個性に配慮した専門性と言うか…深く掘り下げた内容が好まれるようです。今までの薄っぺらの知識ではなく、個人のニーズに沿ったものが製作されているようですね。日経新聞は「さまよう個人投資家」を掲載し、北沢千秋さんは説明責任を掲げていましたが難しいですからね。IRNETではカタル銘柄を掲げ、何故、その会社の株が上がるか説明しています。しかしその上がる前提の環境が変化するわけで必ず当たるわけではありません。

一昨年から昨年は自動車だと思い、何度か特集を組んでいます。背景は中国の成長から米国の回復でしたが、実際はここに来て中国はペースダウン、米国の伸び率も落ちています。日産のマーチの移転から円高修正から円安方向を想定していました。貿易黒字が減れば円が修正されると思ったのですね。しかしQE2などの政策により通貨の需給バランスが崩れ今も円高が進んでいます。世界は時間を優先する金融政策により、カンフル剤を打ち続けています。しかし日本はデフレ政策を堅持しています。市場経済は相対論ですからね。日銀は、自分たちは一所懸命に努力をしていると言っているのでしょうが、他国がそれ以上にばら撒いているから、相対効果は発揮されず成果が薄れています。

だからマツダの読みが間違いましたね。先日、野村を中心とするあるグループがマツダに介入しましたが成功するわけがないですね。僕と同じ間違いをやっています。しかし何れこの流れは来るのですね。トヨタはカローラの生産を移転させると思っています。まだ頑張っていますが…ね。でも貿易収支だけで為替が動く訳じゃないし…この点の読みが外れマツダは撃沈です。良い会社だけれどね。沈んだ三菱の自動車は頑張っていますね。日産と同様にロシアなど政治リスクを冒しながらシェアを伸ばしています。

最近、思うのは三菱と言うのは、すごいグループだと感じています。おそらく背景に政府内部と同様の仲間が居るのじゃないのでしょうか? 株式投資で頑張っているのは三菱UFJですね。戦略投資を出来るほど、ゆとりが出てきたようです。通常、バーゼルの自己資本比率を守る為に、総資産を圧縮し危険資産を減らしますが、三菱UFJだけが傾向として株式投資を実践しているようです。つまり内部的なゆとりが生まれつつあるのでしょう。

三菱地所の先行投資の話を先日しましたね。丸の内だけでなく手を広げていますね。そこに日銀の変化です。昨年の10月から資産デフレ対策を実施しました。6月には金融庁が「規制から振興へ」基本方針を転換させると報道されています。全ての流れが整合していますね。事象の欠片を集めて考えてみれば株式相場もようやく転換するのでしょう。単純平均株価はまだ横ばいを続けていますが、いくらなんでも下がりようがない株価位置で、これ以下の株価はないのですね。かなり僕らは歴史的な位置で生活をしているのでしょう。

きっと皆さんには理解されないでしょうが、5年後から10年後にはかなり修正されている筈ですね。国家体制の変革と言うのは、このぐらいのスパンなのかもしれません。そう眺めると震災から原発の混迷する政治の姿も頷けますね。最初はゆっくりとした歩みで変革の輪が広がるのでしょう。まだ三菱グループだけの現象で、それも余程良く見てないと変化を感じません。僕は長年この動きを願っていたので敏感なだけなのでしょう。

年功序列の仕組み社会から実力が重要視される本物の展開に歩みだし(ジャスミン革命)少しずつ変革しているのでしょう。分からないのが自然サイクルの動きですね。考えすぎかもしれませんが地震だけでなく天候地変の周期と言うのは重なりますからね。これから数十年間は地震が多発したり、異常気象現象が増える地球的な周期なのかもしれません。先日の進路が異常だった台風6号の為に冷夏現象が続いています。景気に響きますね。

簡単に理解できるとは思わなかったけれど…やはり株の世界は奥が深く難しいな。もう少し観察できる時間が残されていればよかったのに…シューベルトの未完成みたいだな。まぁ、これもベートベンの運命だね。ハハハ…。