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コラム

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次なる行動は…(2011年08月21日)

しかし、いつも後になって結果を知らされ、なるほど…こういう経過を歩むのか…と反省させられることがある。この点が一流の証券マンに成れなかった理由の一因だろうが、果たして市場関係者の中で、事前にこの結果を予想していた人が何人居るのだろう?

未来かたるの証券マン人生の10年間は右肩上がりの上昇で幕を終え、続いて独立してからの歩合生活では、困難な下降波動で20年間を過ごした。もともと株屋の仕組みでは空売りは考慮されておらず、空売りなどは少数派の手段に過ぎなかったが、長い混迷するデフレ時代から脱することが出来ないのは、55年体制の歪みを自ら是正できない日本人の性格によるのだろう。追い込まれなければ変革が出来ない。この20年の中で一度だけ、自らの体制批判を続け、政権を担った小泉内閣の時だけ、世界は日本に期待を抱き株価は上昇したが、その流れを継続させることが出来なかった。きっと日本国民自らの認識がグローバル変化に付いて行けなかったのだろう。ジャスミン革命は、何もチェニジニアなどの対岸の火ではないのに…。メディアの認識の低さと島国根性が日本をデフレ脱却のグローバル競争を拒否し続けているのだろう。通貨高を嘆くメディアの姿勢や体制は哀しい認識だ。

さて冒頭の認識、証券マンは常に半年先を睨んで行動するが…3月の大震災は天災などので予期できないにしても、休みなく慌てたように高値を維持していた価格形成に不自然さは残っていたはずだが…やはり3月の震災を読むことは困難なのだろう。しかし今回の米国の凋落はオバマ大統領が就任した当初から予期は出来る。実体経済と金融経済は表裏一体の関係なのに、実体経済の低迷を、過剰な金融経済の仕業と決めつけ、高給をせしめるウォール街を敵視する姿勢は前から続いている。過剰な金融規制は金融の元気を奪い、やがて実体経済に波及する。バンカメは3500人の解雇に踏み切るが、過去の歴史の中では金融が栄えない国は必ず滅びている。

それにしても予定されていたQE2の終了。QE2は実体経済を支えるはずだったが、目に見えた効果が上げられず、このような結末を迎えるとは…。もともとQE1からの行動は期待インフレ率を上げるものだったが、リーマンショックの落ち込み分が勝り、QE2が敗北した姿が雇用情勢や住宅価格動向。つまり新興国の成長が先進国の富を奪い、先進国が新興国の成長に負けている姿がデフレ現象なのだろう。このギャップを埋めるのは新興国の成長の加速とインフレが、先進国との差を埋めるのだろうが、中国は激しく米国のQE2の政策を批判した。中国は何とか耐えているが、QE2の終了でブラジルは餌食になっている様子で、新体制が確立されるまでの揺れが、米国債の格下げ、ギリシャなどの財政赤字問題となって表れているのだろう。

とうとう、ギリシャからスペイン、イタリアまで波及し、最近はフランスまで市場経済は問題を拡大させている。バイデン副大統領の訪中は非常に興味深いタイミングで、既に次の準備が行われているのだろう。一方、米国では大統領が、この困難な時期に10日間の休暇に入ったことを、共和党の次期大統領候補ミット・ロムニーは攻撃しているとCNNは報じている。来年の大統領選を踏まえた駆け引きが米国債の格下げを生み、市場にドルの凋落を感じさせ、世界の株価は下げているが…このタイミングは実に面白いね。何故かと言えば、6月と7月にCPIを重視する中国は、短期金融市場に大量の資金を流し、9%にも及んでいた金利を3%台まで引き下げている。その前には地方政府のノンバンクが資金繰りで破たんしており、中国は物価重視の姿勢を緩和している行動とも見受けられるから…。

このような一連の流れは、次にどんな展開を見せるのだろう。
残念ながら、かたるはQE2後の市場が明確に見えてなかった。その為に日立から銀行の流れに整合性を感じ行動したが、思うような展開を見せないから日立を投げた。その後に選んだ行動は、世界の流れに影響を受けにくいDENAを選択したが、これも走ると思ったタイミングでモタツキ、この路線を諦めたわけだが、ひょっとすれば南場さんの玉の放出が市場に影響を与えただけかもしれない。その後の225の採用で需給面ではきっと綱引き状態なのだろう。次のアイディアが浮かばずに、いくつかの可能性のあるシナリオに、現在は分散させているが…果たして世界経済は次にどんな展開を見せるのだろう。

考えられるのは、やはりバイデン副大統領の訪中はキーワードで、QE3への布石と言う読みが一般的。米国は失った期待インフレ率を高めないとならない。時間をおけばおくほど、デフレ心理は進み人々の心を蝕む。一度、豹変した投資心理を転換させるのは難しいから、間もなくQE3を含む米国の新政策が発表され、株価はかなり下げているから、その政策を評価するのだろうが…今度は劇薬、おそらく米国は物価高の中の不況と言うスタグフレーションの状態になるかも知れない。何しろ、ドルの価値を失墜させており産業構造の転換から本来は省エネ政策が主眼になる筈なのに、京都議定書などへの認識が甘いから。
カタルの3つのアイディア以外の選択はあるのだろうか?

そうか…ひょっとすれば、技術革新に関する法律が制定され、あの銘柄が人気株に育つかもしれないな…。自分のとりとめない考えを文章にしてアイディアが思い浮かぶこともある。まるで記者人生みたいだな。