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コラム

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読書(2011年08月28日)

「言葉の魔術」は人々を惹きつける魅力があるかどうか…。

最近、時間がある為に読書の量が増え、多くの知らない作家を読み始めました。基本的に最近、感じることはやはり直木賞や芥川賞、山本周五郎とか…出版社の戦略でしょうが、一応、候補対象になる作品はマズマズのレベルですね。ただ心を感じる作品の少ない事…有名な作家になるどうしても手抜きが否めません。昔の作品は面白かったのに、新作は全く読むに値しないものが多くあります。逆に有名じゃないのに、意外に面白いと思って読んだ作家が、先日は直木賞に選ばれました。偶然、手にした本が面白くて、その作家の本を次々に読んでいくわけです。そうすると傾向が分かり、同じ人間が書いているからやはりパターンがある訳です。通常は時代背景を考え候補作品に選ばれるのでしょう。今年、直木賞を受賞された池井戸潤さんは三菱銀行出身で不良債権処理の裏面を捉え、大銀行出身らしく行内派閥の生き様などの小説を数多く書いていますね。

白石一文さんも、最近、知ったばかりです。彼の「永遠のとなり」などは、現代社会のリストラ中年の心情が捉えてあり挫折しているカタル君の心に残り、「一瞬のひかり」や「私と言う運命について」は女性的な一面を感じさせる作品で意外な面を感じました。最近のヒットですね。素晴らしい作品が多いと思います。挫折と言えば…まだほとんど読んでいませんが、笹本稜平さんが描いた「春を背負って」と言う山小屋の話はゴロさんと自分の環境を比べ共感を覚えた次第です。残念ながら、論評するほど他の作品を読んでいませんが、現在は2冊目の「太平洋の薔薇」を読み始めたところです。かなり当たりの感覚です。

この当たりを引くのは難しいのです。株の銘柄発掘ほどじゃないですが…。心に残る作家と言うのはなかなか居ませんね。売れっ子になっても、依然、心に一定の「ほんわり」感を与えてくれるのは、時代劇の山本一力さんですね。人情を題材にしているのか…いつも心が安らぐ作品が多いようです。折角、賞をもらっても残る作家は少ないのでしょう。最近は読書をする人も少なくなったようで…家に帰ればゲームと言う人も多いのでしょう。無駄な時間ですが、精神面を支える一定の効果はあるのでしょう。そんな僕もセガサミーの運営している777の会員で麻雀をしています。

自分で色んな職業経験を積むことは困難で、簡単に違う世界を味わうことが出来るのが小説の良い所でしょう。作家は自分の体験談を元に作品を作るケースが多いですから…。知らない世界を少しだけ覗くことが、読書を通して可能になります。この事を覚えておくと、なかなか、いい教育が出来るのでしょう。私が現役時代、市場が低迷するときに小川是さんが証券局長に就任した時に、数冊の株屋をテーマにした小説を読んで事前準備したそうです。この話を聞いて、株屋だった私は小説などで自分たちの気持ちが分かるものか…と反感を抱いたことを覚えています。しかし彼はその後、証券局長から異例の出世をして事務次官から国税局長官、JT会長、そうして横浜銀行の頭取と歴任され、官僚としてはエリート人生を謳歌していますね。

ただしいのか分かりませんが、学生時代のお子さんに色んな業界を体験させるためにアルバイトなどの実地教育と共に読書もお勧めですね。間違っても白川通さんのような小説は読ませない方が良いでしょう。彼の「終着駅」、「天国への階段」などは問題ありません。素晴らしい作品です。あれほどの感動を味わせてくるのです。一流でしょう。しかし「病葉流れて」(わくらばながれて)などは自分自身の人生観が変わります。彼の自伝小説だそうですが、心が疲れたカタル君が読むと彼の人生と比較すれば、まだまだ足りないな。…と思ってしまうのです。挫折の人生にも色んな形がありますね。

移民をテーマにした垣根涼介さんの「ワイルドスワン」や「君たちに明日はない」などの取り合わせから、「ヒートアイランド」などの渋谷のチーマーを題材にした作品など、幅広いジャングルでなかなかのものです。大藪晴彦さんがなくなってこの手の作家が居ませんからね。ストーリーもそうですが、株と同じで上昇過程、下降過程でそれぞれドラマがある訳です。その中で人間的な内部の心情を描く作品は面白いですね。「病葉流れて」で一橋大学の先輩がストリッパーを女房にする心情の描写は痛いほど伝わってきます。あの部分は天国の階段などの作品に繋がり、切ない人間の心をテーマにしているから、白川通は魅力的なのでしょうね。山本一力さんも女房に食わせてもらっていたとか…白川さんに似ていますね。

グリーンスパンは金融危機で汚点を残しましたが、在職中は神様のように持て囃されていました。市場は人間心理の駆け引きで価格が形成され、情報化が進み世界のニュースが瞬時に分かるようになり、市場に伝わります。バーナンキ議長の言葉の魔術で困難な時期を耐え忍び、市場が暴走しないように希望を与え続けないとなりません。先進国の次のステップはインターネットと言うツールを駆使した情報化社会の推進ですね。その共通認識は省エネであり環境などの問題なのでしょう。方向性は見えているわけで、あとはどうやって推進させ世界中の人達に希望を与えることが出来るかどうか…。今こそ、希望と言う光が大切なことはありません。民主党の代表選から希望が見えてくればいいのですが…