混乱の構図(2011年09月25日)
先週末の相場は、一気に国際金融のバランスが大きく変化しているような現象が至る所で見られています。「リーマンショック第二幕の開演」と言うイメージのようです。一次的な安全性への逃避は、二次に波及したようにも感じますね。何と言っても一番怖いのが基軸通貨ドルへの波及ですね。ギリシャ危機はドンドン飛び火します。今日の日経新聞にはブラジルレアルの買い支えが載っていましたね。0.62から0.54と…かなり急激に動いているようです。新興国からの資金の引き上げが始まっているようです。これでは唯一の望みの「デカップリング現象」も望めなくなりますね。先進国は「流動性の罠」に陥り、新興国は資金の引き上げにあい、経済が縮小するパターンになりますね。
ただギリシャ危機の発展形の根源であるパリバの株価は週末に大きく上がりました。通常は一日だけの戻り相場と思われますが…。ニュースを総合するとIMFへの期待が膨らんでいるようです。要するに米国がIMFへ問題の解決を振ったのは、基軸通貨の崩壊と言う問題も孕みはじめていますね。この行動は最悪の事態を迎える示唆かも知れません。私の読みはよく外れますから…単なる空想で、これからの最悪論を語っておきます。
今日の市況に掲げた21日の輸出入の依存度とGDPに対する債務比率の表を、ここでもう一度見てください。ギリシャは基本的に輸出比率が低く産業基盤が希薄な国ですから、外貨が流出しやすい体質ですね。よって為替の安全装置がありませんから、実質的な借り入れは増えていき、節約では乗り切れないことが明白です。だから債務のカットしか正常化への道はないですね。ユーロからの離脱も選択の一つです。おそらくこの可能性が最も高い。オランダやドイツなどは混乱が自国の利益になるから、ギリシャ危機は「他人の不幸は蜜の味」の状態です。そこで国際金融はフランスのパリバから、ドイツの銀行も叩き始めています。40ユーロだった株価は23ユーロへこの1か月で大きく下がっています。下はドイツ銀行の株価推移です。
でもドイツはなかなか動きませんね。業を煮やした米国は、自国への波及を恐れ欧州に働きかけたが失敗し、今度はIMFへ圧力をかけ始めたようです。つまりグローバル化の進展が始まっていますね。FRB、ECB、日銀などの中央銀行の世界から、IMFへの時代へ流れが動いているようにも感じますね。当然、ドルと言う基軸通貨の地位は下落します。そうなると長引く空洞化で輸出依存度の減っている日本の銀行は、先ずはドル債の減損を迫られ、体力のないところに日本国債の減損処理が一気に広がる可能性が出てきましたね。日本国債は、間違いなく世界から見向きもされません。安全弁の産業は長引く空洞化で崩壊しており輸出依存度は低いから、世界第一位の債権大国は、富を一気に吐き出す構図が見えてきますね。
考えてみれば当事者能力のない人間が、権力の座に就き、混乱を止めることが出来ないのでしょう。ロシア、プーチンの復帰も嫌なイメージです。いくら優秀でも権力に長くとどまれば腐敗は免れません。日本人の資質を問う日本化現象の広がりは、世界経済の仕組みを問うパラダイムショックの意味合いが強くなってきましたね。新しい芽吹きは世界のあらしの中で確実に育って行くと良いですね。小さな行動は、やがてうねりに変化し潮流を興す。この変化があたらしい流れを世界に示す日が楽しみです。