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コラム

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流されないで…(2011年11月20日)

最近、五木寛之の「親鸞」を読みました。
なかなか面白かったですね。この作品は実際の親鸞の人生を元に描かれたものかどうか分からないのですが、今ある体制に疑問を覚え、新しい道を探る行動は興味深いものでした。最近は終戦前後の混乱期の小説が面白いですね。佐江衆一さんの「昭和質店の客」もなかなか良かったです。日本人は敗戦を機に米国寄りの画一化教育が実施されます。実にうまく教育されています。所謂、考えることをやめたロボット教育ですね。知識を詰め込み、記憶力を試す入試制度を元に構成された社会構成など…見方は色々あるでしょうが、自由を歪めた見方が定着しているようです。でもマイケル・サンデルの「白熱教室」の考える教育の動きは新しい胎動で新時代の息吹を感じます。

花村萬月の「ワルツ」もなかなかいい作品でした。ただ残念なことに彼の他の作品は、今の所、期待外れのようです。このワルツの中で国民を騙し、米兵相手の売春婦を募集するくだりがあり、日本の政治家もこの選択が正しかったのかどうか? 意見が割れそうですね。常識的には国民をだまし売春婦に仕立てるので国家がすべき行為ではありませんが、当時の社会環境を考えれば、治安を維持するために必要不可欠の選択だったかも知れません。これから日本国は難しい選択を余儀なくされますね。皆がハッピーな時代は終わり、誰かの犠牲で生きる選択を余儀なくされるのでしょう。

TPPが実行され、仮にコメの関税率700%だったかな?…が撤廃され、カルフォニア米とコシヒカリの価格差が歴然としたら、僕もカルフォニア米を選択するかもしれません。その結果、コシヒカリの価格は大幅下落しカルフォニア米は高騰し、世界のコメの価格は何処かで安定します。当然、導入当初は混乱し劇的な転換が起こるかもしれません。しかし証券界はこの劇的な選択を受け入れ、自動車業界も現在受け入れています。その結果、低迷を余儀なくされています。コメ農家だけが国民の犠牲の下で擁護されるなんてありえないですね。消費者の選択肢が増えることは良いことです。証券界は手数料が1/10のものもありますが、概ね半分以下になり淘汰されています。自動車業界は家電業界と違い販売体制を維持できたので価格設定からの値崩れが起きませんが、その分、世界競争は激しいですね。

ただ証券界もそうですが農業は守らねばなりません。その為の準備をして支援する組織づくりが欠かせませんね。農業をやめる人が多くなるでしょうから、受け皿組織の育成が欠かせません。この辺りの政策が見えませんね。先物を導入し株式持ち合い制度を壊し、年功序列や終身雇用のよき仕組みを壊したのはグローバル基準から見て正しいかもしれないが、その後の対策がないから「失われた時代」に突入したのですね。ところが2006年に時代の流れに逆行する行為を選択した日本は再び沈みました。方向転換をするなら新しい流れの道を示すべきなのです。野田総理のTPPの選択や消費税の引き上げは已む得ぬ選択だと思います。だからこそ創造的な新しい日本像を示し行動すべきですね。このような「なし崩し的な」政策選択は及第点でしかありません。なかなか合格点を得ることはできないでしょう。

日経新聞は過度に覇権を煽っていますが間違っていますね。中国や米国の対立を煽るのではなく、中国寄りのアジアの一員の姿勢を忘れないでほしいものです。中国と仲良くしなくてはなりません。先ずはASEANを…そうしてインドを取り入れた自由貿易圏を確立させ、競争に勝つ方法を模索せねばなりません。その為に環境を重視した新社会資本整備の確立は必要です。だからモデル都市として福島の原発汚染区を国が一括買い上げして、未来都市を築く試みは未来の姿を見せることになります。このモデル都市づくりを確立させ、アジアに広げれば日本は世界のリーダーの一員と認識され、関連企業を中心に日本の産業も栄えます。

税制の一体改革の一環で国民総背番号制が、個人情報などと言う「言い訳」で先延ばしする勢力がいますが、キャッシュレス社会を構築し、世界でいち早く、不正のできない公正な競争社会を確立させるべきでしょう。国民一人一人がよく考え行動してほしいと願っています。