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コラム

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中央銀行と相場解説(2012年02月12日)

市場の事は市場に聞け」と昔からよく言われます。
私は世界の中央銀行の協調姿勢やECBのクリスマスプレゼントを見て流動性が充分に供給され、ギリシャに端を発する欧州危機は峠を越えたと判断していましたが、なかなか市場は明確に転換せず1月12日頃が一般認識の転換点だったようです。しかし私が東京エレクトロンを指標銘柄として掲げている様にこの銘柄は独自転換しましたね。エレクは半導体の製造装置を作り世界的な競争力も保持していますから、ファナックと同様に世界景気のリード役の会社です。世界景気のバロメーターとして海運もそうなのですが、過剰船舶問題からふるいませんが商船三井もよく引き合いに出されます。世界の構造を考えれば其々の業種のなかでリーディングカンパニーは存在します。

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先ほど述べた事例の様に、認知を受けなかった過剰流動性が市場に認識され始め、相場は上がってきましたが、当然、乖離調整はどんな局面でも避けられません。乖離調整とは下値で買った人が利食いを入れる場面で投資層が変化する時間ですね。新たな買い参加者が事態の変化で現れるかどうか…。市場が強ければどんどん新規の参加者が相場に参加し押しが小さく、調整期間も短く上に行きますね。短期調整で直ぐに再び上昇を開始するわけです。2000年のITバブル時は押し目買いに押し目なし、一気に連騰に次ぐ連騰でソフトバンクが急騰して行ったのは記憶に新しいところです。既に12年前の話しですが…。

ギリシャ危機のクライマックス、株価上昇を受け相場は休みを欲する局面。どの程度休み、どの程度、下押すのか? 様々に流れる市場ニュースと需給バランスです。当初の読みはもっと早く一旦相場が上がり、調整を迎え再び上がると言う認識でした。でも現実は1月12日でしたね。そうして一巡したのが先週だったようです。ここ1週間以上200日線に絡む動きを多くの銘柄は続けています。なかには過剰な期待感がはく落し東京エレクの様に下押しました。しかし…今回の長引く欧州危機の調整で強気の人も投げを入れさせられています。つまり参加者が少ないから、当然、調整も短いと考えるべきでしょう。やはり月末に予定されるECBの2回目のオペの総額は興味のあるイベントですね。

もう一つが米国の流動性供給の記事「2011年末の米国世帯の借入残高が大幅に増加した。信用の凍結状態がいわば雪解けの兆しをみせている表れだ」とWSJでは報じています。この記事の意味はFRBのQE2がようやく金融機関から市場に流れ始めていることを物語っています。つまり中央銀行から一時的に金融機関に資金が供給されましたが、あまりの痛みに銀行はリスクを取れず、貸し出しが伸びなかったので、折角のFRBの資金供給が空回りし絵に描いた餅になっていましたが、ようやく雪解けだと言う兆候と見ているのでしょう。でも当然、逆の見方もありますよ。民間の借入余裕は乏しく再び消費が落ち込む可能性もありますね。そうすると景気回復の循環が動きません。個人消費が拡大し続けるほど、個人に余裕はないことは統計上分かっています。未だに諸刃の剣の上を歩いている状況ですが、ここは好意的に考えておきましょう。FRBの時間的な対応が早かったので経済の循環回復が動き始めているようです。

ところが日本は政策の失敗を民間銀行に背負わせ、明治以来の蓄積を吐き出させ強烈に痛めつけたところに、強烈なコンプライアンス規制を引いた清貧思想の為にいくら日銀が緩和政策を取り続けても、市場に資金が流れないのですね。それが貸し出しのグラフです。しかし最近はようやく改善し始めているようです。今、ECBはいくら資金を供給しても翌日物に銀行は資金をプールし、市場になかなか還流させませんね。この状態が「流動性の罠」の状態です。

本当に久しぶり昨年辺りから、私は雪解けを感じ始めています。なかなか僕の感覚と市場の動きは一致しませんが…震災以降、企業が目覚め積極的にアジア展開を図り始めています。日本、FRB、ECBと世界の中央銀行が流動性を投じ、まもなく人民銀行も参加しそうですね。その割に三菱UFJの上げ方はゆっくりでしたが…でも3割も短期間に上がったのだからソコソコのラインかも知れません。ギリシャ危機は流動性の罠を増長させる材料ですが、中央銀行の政策との綱引きですね。世界の流れを理解できれば多少買った株がひかされても…そのリスクに耐えることが出来ますね。

ただ個人の場合は現物ならともかく、信用の場合は追証と時間があります。この点のテクニカルが難しい問題ですね。