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ケネディクス2(2013年09月16日)

株が上がるためには、いくつかの条件が整わないと上がりません。単純に業績が良くなるだけでは駄目なのです。それは企業業績が5倍、10倍となるようなら注目され上がりますが、多くの場合は2倍や3倍程度、Dガレージはいつも利用される銘柄です。昨日はツイッターの株式公開と言う事実が水面下で進んでいるから、それに合わせて仕掛け筋が参入していると推察しました。だから5月以降の全体株が調整期に入っても逆行高していたわけです。そうして材料の表面化で…おそらく今回のお祭りは基本的に終了でしょう。今日はDガレージの話ではないですよ。

基本的に仕掛け人がいないと株価は上がらないと言う事実を知って欲しいのです。これを組織的にやっていたのが過去の野村証券でした。野村の組織を地域分割し、順番に株価を高値に放り上げて行きます。加藤あきらと言う歩合セールスは、その仕組みを自分で作り上げました。彼のセールスは、大物の資産投資家のところに出向き、「20日にAと言う株がストップ高します」…と事前に投資家に伝え顧客化して行き、高値でAと言う株をプルーさせるわけです。だから必ず株価が2倍になっても、半分しか利食いをさせませんでした。つまり元金だけ回収させ、後の半分は売れない株としてプールして行き、市場から浮動株を減らして行ったのです。野村証券が戦後に進めたお仲間クラブの株式持ち合いの仕組みを、上手く利用したわけですね。有名なのは兼松日産と言う兼松という商社の子会社の株を放り上げたのは、記憶に新しいかもしれません。彼を有名にしたのは宮地鉄工なのですが…最後は経営権を握りましたが、もともと買収した価値に見合う資産も技術もなく最後は失敗するわけです。経営権を握って再生できれば、それに越したことはありません。市場には、加藤氏のように株価をおもちゃにするのではなく、経営権を握り経営を再生させようとするファンドも、現在は多数、存在します。

今日はMBOの話をしましょう。経営陣が自社株にTOBを掛けて全ての株を買い上げ、株式の非公開化をして、通常は経営改革を実施して、会社を立て直した後に再上場させます。日本で話題になっているのは、すかいらーくや西武など…でしょうか? ケンウッドの場合は、上場したまま再生ファンドが動いています。ただあまり上手く行ってないようですが…。米国で話題になったのは、最近ではパソコンのデルでしょう。通常は経営陣の仕掛けるMBOに対し、取引価格が安いとすればTOBを掛けます。デルのケースは話し合いにより議決権の争いになったようですが…。以前、TOCに創業者が1株800円でMBOを仕掛けました。ところが株主のダヴィンチは安過ぎるとして、逆に敵対的のTOBを1100円で仕掛けたのです。最後にダヴィンチは1308円まで…この価格を引き上げるのですね。この騒動が2007年にあり、ダヴィンチの金子さんにカタルは興味を覚えたのでした。この背景はTOCが持つ五反田の本社ビルの価値でしたね。その当時の経緯を…カタルは、以前書いていました。此方です。

この話は株式が公開されており、持っている不動産の価値が明らかなので、このようなケースが生じました。実際の価値が2000億円を超えるのに、1000億円での買収は安過ぎると金子さんは文句を言ったのでしたね。論理的には金子さんに「歩」がありますが、日本の社会は、このような異分子の動きを嫌います。村論理が働きライブドアは消えましたね。カタルがこれから話すことは、推察の域を出ませんが、実際に起りえる話しだろうと思っています。特に不動産取引は市場がある訳ではなく、相対売買なので、密室で話が進行します。脱税も絡み…色んな思惑が働きますので、仕組みは個別のケース・バイ・ケースなのでしょう。

今日はケネディクスの解説の下準備をここまでしてきました。ケネディクスは米国生まれの不動産会社で、米国資本が絡む会社です。カタルはヘッジファンドが相場に絡むのではないかと推察している根拠の一つは、ゴールドマンサックスなどの金融筋も顔をだしており、このような背景があるからですね。そうして企業業績が急増する社会環境になっており、安倍政権がデフレ脱却をメインテーマにしているからです。昨日も少し話しましたが…税制を変えたりして応援するからですね。ケネディクスは大手とは違い、100億円を超える大型買収物件は少ないのでしょう。多くは20億、30億クラスの小さな寄せ集め物件をまとめてファンドとして、私募債やリートに組成して売っているのでしょう。その物件の管理費を貰い、本業が営まれている企業なのでしょう。…が、失われた時代からの出口に現在に位置しており、これから過剰に減損会計を積んだ分が、噴き上げてきます。概算で、ざっと500億円を超える規模をこれまで償却してきたようです。

何しろ設立が1995年で1998年頃から本格的に不動産受託を開始、リートの上場は2012年です。株式公開は2002年に株式上場し、東証2部へ2003年に、そうして1部は2004年ですからね。完全に不動産市況が落ち着いた時に、資産を拡大させています。…が、しかし、金融危機の影響でこれらの不動産が値下がりし、その減損会計分の償却を迫られました。その為に近年は赤字続きです。おかしいですね。本業では儲かっているのに、減損会計を強要され最終赤字が続きます。しかし昨日の報道でも明らかなように…、今はこの時期に資産を拡大させた物件が動き始めています。動くという事は…採算に合うから動くのですよ。つまり時価が簿価を上回って来ており、儲かり始めているのです。

不動産は再生すると、高く売れます。例えば小さな事例では、中古のマンションを買ってリホームすれば新築の物件より2割から3割安くなるとされています。昨日の渋谷ハンズのケースは、既存のビルを壊し新築するのでしょう。そうすると容積率などの観点から床面積が増え、採算に合うから再開発するのでしょう。耐震性が問題にされ、何れ条例で規制を受けます。小さなビルはあまりコストに合わないので、これまでは建て替えは進みませんでしたが、中には再構築によりソロバンが合う物件が多く出てくるでしょう。一度、ファンドに資産を移してあるとはいえ、ファンドの実体はなかなか分かりません。不動産取引は相対の闇の中にあります。故にここで色んなマジックが生まれますね。ファンドからケネディクスの子会社に物件を移し売却するケース、物件を等価交換するケース、1兆円を超える不動産ですから、全体は1割も上がると1000億円規模で含み利益が誕生します。その中から搾取するのは簡単ですね。

事実、ケネディクスの最終利益は2003年の8億71百万円が、2007年には17倍の146億62百万円まで膨らみます。先ほどのTOCのMBOに絡むTOBは有価証券報告書が整備されており、非常に分かりやすいケースですら…、時価の半額のMBOが起こるのです。私募債などは完全なブラックボックスでしょう。いくらでも利益操作が可能になっていますね。更に、これまで500億円以上も減損処理をしてきた会社です。今の現実は2006年や2007年の高値当時の不動産が動き始めているのですね。重要な点は2003年のケネディクスの利益8億71百万円を生み出す元になった、受託資産残高は当時2500円規模でしたが、今はこの残高が1兆1600億円です。誰が考えても、壮大な相場がスタートしますね。ここで日銀の不動産向け融資残高数字の推移を客観的に見て…あとは自分で考えてください。安倍政権のデフレ脱却推進は、昭和の時代の不動産融資が復活し、信用創造機能が回復するのです。2003年からの僅かな不動産融資残の伸びで、ケネディクスの株価は、増資から10倍以上になったのです。今回はスケールが更にあの当時より更に大きくなるのは当たり前ですね。何しろ元になる受託資産高が4倍以上もあるのです。4000円の高値は「指呼の間」

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