思わぬ相場の真実が発見できる

コラム

« リベンジ | 最新の記事 | ケネディクスの魅力 »

市場原理(2013年12月08日)

市場経済って…一体どんな仕組みなのでしょう。
戦後、多くの識者と呼ばれる人達が、社会主義に魅了された時代があります。日本の歴史を考えれば社会主義の形態が理想的な社会に見えます。しかし東西冷戦の崩壊は、その理想が破れた現実を示しています。イラクのフセイン政権崩壊からの再生過程をみると、理想を貫いたはずですが、混乱は続き安定は容易ではないですね。一つのパワーバランスを歪めると、混乱は周辺国へ波及し「アラブの春」が、本当に美化されるべきなのかどうか…。現在のシリアの混乱なども、イラク崩壊の影響が大きいのでしょう。「自由と平等」のお題目が、何故か霞んで見えます。日本は、この「自由で平等」な社会環境が確立されていると一般的には考えられていますが、恣意的な報道形態、1票の格差問題など考えると…分からなくなりますね。歪んだ妥協の産物がコメ問題に集約されています。

EUの誕生からTPP問題も、明らかにグローバル論理で、国際会計基準の確立からIFRS採用の企業も増え始め、BIS規制からバーゼル3の流れも地球連邦の方向性を示しています。先日、触れたハレーすい星の探査衛星協力が東西冷戦の崩壊に繋がった流れ、現在の国際宇宙ステーションの誕生なども時代の流れの一環なのでしょう。

1989年からの株価崩壊を考えると…、歪みを取り繕ってきた日本村の見せかけの形態がどんどん崩壊し、グローバル基準に集約されています。日本株の水準は、国際基準に収斂されました。バブル期、高いPERなどを肯定するために、様々な仮説が語られてきましたが、結局はグローバル基準に収斂されましたね。株式持ち合いなどは、野村証券を中心とする官僚論理が生んだ副産物だったのでしょう。「失われた時代」と言うのは、この日本村論理から脱皮する時間だったのですね。

昨日は企業業績と株価の基本的な考え方を述べました。市場には「潮流」があります。この流れを見極め、この流れの本流に付くのが、筋論なのでしょう。企業業績の源は、時代の流れが生んだ利潤なのですね。スマフォの誕生は2007年1月に、アップルがアイフォンを最初に発表し6月から米国で売り出されますが、2004年には構想が練られ、開発されていたと言います。そうしてグーグルがアンドロイドを発表するのは2007年11月です。この端末が発売されるのは2008年10月ですね。着想段階から見れば、既に10年近い歳月が流れていますが、一般化してから、僅かに5年程度しか経ってないわけです。携帯端末の誕生は、革新を世界に与えています。アリババのネット通販が、たった1日で、いくらセールとは言え5700億円ですからね。TSMCやサムソンの設備投資金額は、今では兆円単位の段階になっているのです。日本で何社の企業が、このグローバル競争を勝ち抜くことが出来るのでしょうか? この考え方が古いかもしれませんね。日本で…と言う発想が貧困な源かもしれません。

市場原理は、儲かるものに資金を集中させる仕組みで、投資家の夢、人類の夢を実現させるために資金を提供する場です。だから本来は割安株投資をする場ではないのです。配当利回りなどの安全を求めるなら、銀行預金や債券投資をすべきなのでしょう。市場には様々なリスクレベルの商品が用意されています。CDSなどの開発は、博打を増長させる仕組みですね。5年以内にトヨタが倒産すると考える人は、おそらく居ないでしょう。そのようなパッケージ商品を開発し、その中にBBBランクの企業を数社混ぜ、パッケージとして販売するわけですね。色んなリスクバランスの商品を提供することで、危険とされる融資や投資が起り、新興国の発展が促進されました。この博打に成功したなら高いリターンが得られるわけです。

昨日のリポートの中で、カタルは非常に重要な文言を盛り込んだのですが、お気づきの読者は居られたでしょうか? トヨタなどの企業業績のいい優良企業を買うのが、株式投資ではないのですね。常に高い「変化率」を追い求めるのが株式投資の神髄なのです。カタルはこの事を理解するまでに、どれだけの時間が掛かり、多くの資金を飛ばしてきたか…。この神髄を理解されれば、かなりのレベルにまで、自分の投資技術を高める事が出来ます。カタルはこの変化の大きな企業ばかり追っている為に、数々の失敗もしてきました。市場はある意味で、公正で公平なのです。だから誰にでもチャンスはありますね。自分がどのレベルのリスクを共有できるかでリターンも決まる訳です。だから投資家それぞれが、独自の判断で、自分のリスク許容度と闘う訳ですね。