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ケネディクスの魅力(2013年12月15日)

最近発表されている報道傾向を注意して観ていると、あらゆる方向でカタルの信用創造機能回復期待が、現実化しているように感じています。この信用創造機能とは、土地や株の価格上昇ですね。失われた資本財の価値を取り戻す揺り戻し現象が始まります。例えば先日、カタルはREITによる取得総額のグラフを含めたレポートにリンクをはりました。そのグラフは此方です。今年の異次元緩和から、新規不動産の取得が活発に始まっていますね。実は2010年10月の日銀が行った包括的金融政策の採用から、流れは既に変化していますが、インパクトが弱く、充分なアナウンスメント効果が得られませんでした。白川さんは、政治家に背中を押されたポーズと…市場は判断したのでしょう。しかし黒田さんの異次元緩和は、アベノミクス効果と重なり成果をあげています。リートの市場利回りが低下すれば、採算の合う物件開発範囲は大きく膨らみます。だから裁定効果が出て、一気に新規取得が2兆円を超えたのです。この現象だけなく、海外からも新規の不動産マネーが投入され、日本の首都圏の地価が、底値圏から2割ほど上がっている現象が確認されています。

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カタルの基本的な構想は、これから加速します。例えば、本日の15面の日経新聞の求人欄には「住友不動」や「東急リバブル」などの積極的な会社が、人材募集を始めています。オリンピックを控えた首都圏の地価は、当分、右肩上がりでしょう。カタルが日本全体の土地資産の話をよくします。2400兆円もあったのに…半分以下の1100兆円まで富を失ったのがデフレの元凶の一つです。古き良き時代では、事業で失敗したら土地を売り借金を返済できましたが、現在の首都圏は、兎も角、田舎の土地などは全く買い手がありません。どんなに安くても…。まったく信用創造機能が機能してないのです。だから日銀が異次元緩和を実施しても、流動性の罠に嵌り、マネーサプライが伸びないのです。一度、火を落とした高炉を、再び稼働させるのは大変なのですね。余程のエネルギーが必要です。此処に「相場の芽」が存在します。明治以来、蓄えた土地資産の含み利益を、一気に吐き出した三菱グループまでも、ユトリがないです。だから東京駅、丸の内側に資本の集中投資をして付加価値を創造している訳です。あの狭いエリアだけの投資なのですね。

この揺り戻しは、相当なスケールで起こりますね。先頃、ドイツ銀行が世界の不動産市場の分析をしたそうです。その中で、カナダがもっと割高で、日本はもっと割安だったそうです。このレポートは投資規制のハードルが高い為に、起っていると結んでいるようです。このレポートは此方ですね。無料会員向けかどうか…分かりませんが、一応リンクしておきます。異次元緩和から、ものである土地と言う資産価格が上昇する背景を十分に理解して置いて下さい。時代背景が大切なのです。さてここまでは、これまでに何度も述べてきたことなので、概ね、読者の方は概略を理解されている事と思います。さてそこで、何故、カタルがケネディクスを選んでいるか? 本当は、上場されていればダヴィンチを選んだのです。金子さんの構想は正しかったのでしょうが、時代が味方しなかった。金融庁の方針が本来は変わらなければならない時に変わらないから…日本は狂って居るのですね。半沢直樹のようなドラマが誕生するのは、松平定信の「寛政の改革」への批判で生まれた川柳のようなものです。「白河の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき」賄賂政治の田沼政権への郷愁は、バブル時代にディスコで騒いだ、お立ち台ガールの姿を彷彿させます。

ダヴィンチの金子さんの論理は正しいのです。それを偽物と決めつけ、権力を行使して上場廃止に追い込んだ清貧思想が、これから打破されていきますね。あの三菱が、明治からの蓄えを飛ばした政策が、どうして正しいのでしょう。秀和や桃源社レベルではないのです。その政策の結果、中国に馬鹿にされ、うつ病患者を増やし、ブラック企業を生んでいる社会を構成している訳ですね。絶対に揺り戻しが始まるのが、自然の論理ですよ。その現象が「倍返し」の流行語を生んだのです。残念ながら、核となるダヴィンチには投資が出来ません。故に、二番手銘柄のケネディクスをターゲットに選んだ次第です。幸い、ケネディクスは、米国金融を駆使した不動産投資会社です。レバレッジを掛けており、効率的な資産運用を行っています。

此処までは前座です。さてここから、ケネディクスと言う会社の解剖を始めます。不動産会社の収益源は何か? 不動産の組成から管理、運営、そうしてキャピタルゲイン、つまり値上がり益ですね。証券会社の仕組みに似ています。証券会社は株ですが、不動産会社は土地ですね。此処でマジックが存在します。不動産とは一般認識では自前のお金で100%分を持つ事と考えている人が多いでしょうが…違いますね。森ビルの創設者の森泰吉郎氏は平成5年になくなりましたが、彼が一代で、あの財産を作ったのはレバレッジを活用したからです。親父さんは港区で米屋と僅かな貸家業を営んでいたのですが、転機は戦後の預金封鎖でした。その直前にどういう情報網があったのか知りませんが、預金の引き出した成功しそのお金をレーヨンに投資して成功したのです。その成果を、今度は全て、虎の門周辺の土地にぶっこんだのが始まりでしたね。今回も危なかったのです。ギリギリのところまで追い込まれました。初代の金子さんは沈み、二代目の森さんは生き延びる。

もともと、金融レバレッジの仕組みを使えば、5%の利回り採算なら、およそ4倍の20%程度の利回りは確保できるのです。これが不動産の運用管理から上がる利益です。そうして一番おいしいのはキャピタルゲインですね。カタルがこれから起こると予測している2400兆円の奪回です。実は不動産会社の儲けは、このキャピタルゲインの方が大きいのですね。だから受託資産規模が問題になります。自分達の決定権が活きる、縄張りと言うか…勢力範囲をどれだけ持っているかが、これからの利益のタカを決めるのです。ケネディクスの投資で注目すべきは、この受託資産規模なのです。

この受託資産はリートや私募債ファンドで構成されており、ファンドを直接、買った投資した人がキャピタルゲインも享受できるんじゃないの? だからケネディクスは持っている土地も少ないし…カタルの倫理は違うんじゃない?と、多くの人は思いますが…、貴方の持っているリートが、何処のビルを所有していて、その取得価格などの情報をいちいち調べますか? 多くの投資家は配当利回りや純資産程度しか見ませんね。此処にマジックがあります。だから不動産価格が2倍になると、30%程度が何らかの理由で、利益を搾取するのでしょう。もともとエクイティー部分を、自ら10%、20%と握っていることもあるでしょう。故にカタルの目安は、おそらく30%と睨んでいます。

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今期の決算でケネディクスの負の遺産は、おそらく後処理を完了したのでしょう。負の遺産と言うのは、高値で買った2007年、2008年の不動産価格と、時価との差額ですね。既に2009年からの3年程度は減損処理に追われ、新規の物件取得などのユトリはなかったですからね。それでもケネディクスは受託資産残高を伸ばしているから立派です。ダヴィンチなどの同業の躓きもあり、シェアが伸ばせたのでしょう。その受託資産残高の推移が、此方のグラフです。2007年以降、受託資産残高の伸びが悪くなります。そうして、一旦、回復傾向になりますが。2011年、2012年と再び落ち込みますね。この過程でダヴィンチがパンクします。過剰な金融庁の独自認識の押し付けが、信用創造機能回復を拒んでいます。だからドイツ銀行のレポートが生まれる背景があります。

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さて受託資産が元になりケネディクスの会社の業績が決まっていきます。ここで3Qの会社説明会資料から収益構造を考えてみましょう。現状のアセットマネジメント事業のアセットマネジメントフィーは、受託資産規模が増えれば増えるほど、増える不動産の運用管理による報酬で、安定化して増えて行きます。アクイジションフィーと言うのは、不動産の取得価格に対する所得報酬です。つまり不動産ファンドに組み入れる時に手数料を取り、運用しているときも、毎年、報酬を取り、そうして売却するとも手数料を抜くのですね。この売却の時に発生するのがディスポジションフィー(売却報酬)です。さらに、この売却報酬とは別に、インセンティブフィーと言う項目があり、当初予定する以上の想定外の高値で不動産が売れた時に生じる成功報酬制度もあります。今回の決算では売却に生じる業績数字高はほとんどありませんが、現状の受託資産残高は減損会計が強いられており、安値で評価されているとすれば、およそ2割の含み利益が発生していることは、容易に想像が付きますから、これから年を重ねるに従い、不動産のキャピタルゲインが得られることは容易に想像ができます。オリンピックが控え、開発が加速されますし、日銀を始め、政策筋は容積率の緩和などもスタートさせますからね。1兆2000億円は、まさに宝の山です。カタルが何故、自信を持って4桁から、最高値4000円の奪回を目指しているか?その背景がわかるかと思います。

それで四季報を見て下さい。先ずは需給面の解説です。春先の株価高騰で多くのヘッジファンドが利食いをしています。残存玉の整理もあるのでしょう。注目するのは、新規のファンドなどの介入があるかどうか…今回の移動で目を引くのは、ゴールドマンサックスが名前を連ねていますね。この8か月間の株価の保ち合いは、株主の手替わりによる移動の為に生じた時間なのでしょう。007の企業業績の読みは、契約内容は秘密だし突然の部品採用などもあり、予測が難しいのですが、ケネディクスの業績の読みは、世間の常識で容易に判断が付きます。受託資産の含み利益の読みなどは、実際の不動産市況の取引価格推移などを見れば、予測は可能です。ただ詳細に調べるには、かなりの時間と調査が必要で…お金が掛かる話です。だからアナリストは、先日のティファニービルの売却事例や長銀本社の売買、軍艦ビルの売買にメザニンローンが活用されたと言う事例などを参考に、現状を推察するわけですね。実にいい加減でしょう。

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その四季報予想が劇的に変化しています。本当は実際の取引は年初から始まったのですよ。しかし数字に変化を及ぼすのがこの辺りから…、一般の認識に変化が生じ始めます。ほら、四季報第4集と、今回の新春号の数字と比較して見て下さい。直近の2013年12月予想の変化を…。3か月前の認識は、今期の売り上げが182億円で、営業利益は58億円、利息を加味した経常利益が37億円で、最終利益は15億円なのです。ところが今回の新春号では同じ決算期なのに、売り上げが254億になっており、営業利益は70億円で経常利益は49億円で、最終利益は変わらずの15億ですよ。おかしなマジックですね。12億の利益が何処かに消えていますね。これが利益の先送り分ですね。

更に、今回の四季報の2014年12月期の売り上げが、2013年に比べ、僅か16億円しか増えないと…四季報の編集者は読んでいますね。直近の金融緩和時代をまったく見ていませんね。2003年は50億だったのですが、2004年は60億円、そうして2005年は139億円になり、2006年は270億円で、ピークに近い時は1380億円も売り上げが大幅に増えます。この構図は不動産のキャピタルゲインが増えるからです。そうしてディスポジションフィーや、インセンティブフィーが大きく膨らむのです。だから最終利益が、前回は8億7百万円から17倍の146億62百万円に変化したのですね。今2013年は、前回の2004年近辺に発生した時代変化に位置しているのでしょう。おそらく2014年の売り上げ規模は、倍増の500億ラインと言う読みが自然でしょうね。四季報予想は、ある意味で間違って当然です。ケネディクスも、007同様に「見えない利益」の対立が背景にあり、強弱感が対立しやすい銘柄です。

仮に、本当に日本の土地資産が以前のピークである最高水準の2400兆円まで復帰するなら、何もせずに居ても、現在の受託資産規模の1兆2000億円は、5兆ほどまで膨らむのでしょう。首都圏周辺の利回り採算に合うビルはそれほど貴重な宝物なのですね。ケネディクスの多くは、首都圏の物件でオフィスビルなどが中心になっています。これに加え、PFIの概念からリートの変化と言う夢が加わりますから、この理念は我が国の財政状況から共有されますから、介護リートなどは膨らみ、ケネディクスの成長度が増しますね。見えない利益ばかりか、見えない成長度が、サスティナブル成長率も加味されるので、株価は4桁から4000円、場合によれば政策次第で1万円も可能になる夢があります。

最後は長くなり、端を折っての解説になりましたが、読者の方は、ご自身でカタルの原稿を元に自分自身で調べることをお奨めします。ドイツ銀行のレポートは、出遅れている日本投資を加速させますね。決算期が変化する来年は、ケネディクスの株価が走り出す年になります。だから仕掛けが入って、株価が走り出してからでも、充分に間に合います。僅かな値幅の鞘取りでは、自分のお金は増えません。大きく増やすにはリスクを取り、果敢に挑戦するわけです。

通常はレーヨンの投資で儲けたお金で、森さんのように六本木周辺の土地を買い漁るなんてしませんね。成功に胡坐をかくのでしょう。孫さんもソフトバンクの成功だけで…普通の人間ならスプリントの買収などしませんよ。事実、NTTはグローバル展開を積極的にしていませんし、新日鉄も最近グローバル展開を始めましたが、遊びの程度で小さいですね。しかし理念は人を動かします。故にスプリントの買収だけに留まらず、米国トップのベライゾンに対抗するために、Tモバイルの買収まで、アリババを原資にして孫さんは取り組むのでしょう。AT&Tでは独禁法が足かせになりましたが、スプリントとでは、仮に合併が実現しても、AT&Tの売上高にも及ばず、おそらく合併が認められるでしょう。面白いグローバル時代になってきましたね。日本企業を総体的に元気にするために、信用創造機能の復活は、絶対に必要条件のパーツです。続々と退職する団塊の世代の未来のインフラ整備には、介護リートの実現は必要不可欠です。

お金は溜める事ではなく、活かす事で価値が生まれるのですね。澱んだ日本の金融市場の水を浄化させ、魚が活発に行動できるような環境を整備することが…政策官僚の役目の筈です。金融庁の幹部さん、違いますか? 若い人の行動を阻害するのではなく、後押しできる政策を、是非に実現してほしいものです。容積率を上げれば付加価値が生まれます。様々な規制を撤廃すれば、外人資本は大挙して日本の不動産に参入しますね。ゴールドマンサックスが、ケネディクスの株主に登場したのは、その期待なのかもしれません。未来は誰も分からないから、強弱感が対立し大相場が生まれるのでしょう。