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理想買いと現実買い(2013年12月23日)
ホドルコフスキー氏の釈放など…興味深いテーマは進展しています。重要な話で触れたいのですが…今日は約束通り「見えない利益と相場観」の話を展開しましょう。カタルのホームページを見ていると、平日との土日の差が2000人程あります。おそらく証券マンなどの現場の人間が閲覧している可能性があるのでしょう。考えてみると「失われた時代」は長く、現場に熟練工が育ってないのは、何も製造業だけではなく、証券界も同じなのでしょう。今ではイチジクの制癌剤開発の科研製薬の相場や仕手株の誠備の宮地鉄工などの相場を知る人は少ないのでしょう。ひょっとすれば、ITバブルの光通信を知らない人も多いかもしれません。だから過剰流動性相場のバブル相場も、過去の話ですね。NTTの上場が引き金になり、この馬鹿相場が演出されました。通常は知識の伝達の為にリストラなどを避けて、目に見えないこのような内部留保(人材確保)が積み上げられ、技術の伝承が続くのですが、長い不況が続きリストラが当たり前になり、日本の良さが消えたのですね。無駄に思える中高年の雇用も、若い人材形成には欠かせなかったのですが…。日本にはその余裕も奪った「失われた時代」が続いたのです。カタルは現役時代、小さな証券会社だったために、株式部長からの直伝で、相場のイロハを教えて頂きました。新聞の読み方から…どのような記事が相場に響くかまで…。
例えば増産投資の記事、今日の日経新聞にはカタル銘柄の古河電工のワイヤハーネス工場新設の記事が掲載されています。この記事は一見すると、日産と古河電工だけを連想します。カタルは自動車産業全般について相場としての峠を既に越え上昇確度が鈍ると述べていますが、同時に中国との関係改善が、来年のキーポイントになると述べています。つまり間接的に円安効果と、マツダの中国工場の出来、如何では、2010年に述べた500円~4桁への相場を語ったマツダの相場が、来年、実現するかもしれませんね。為替が115円程度まで円安に振れ、中国のマツダ工場が順調に利益を計上出来れば…の話ですが…。古河電工の工場新設の記事は、このような連想も働くのです。新聞記事も表面だけでは駄目ですね。同じく日経新聞の一面トップには、HEMSを応用した電力データの活用が報道されています。知っている人は「007」の記事だと分かりますが、一般の知識だけでは分かりません。だから、ここに小さくユビキタスと記者に書かせると…月曜日の007はストップ高します。プロは日経の記者に、さりげなくヒントを与え、無意識のうちに記者に応援記事を書かせるのですね。実話ですよ。和光証券のTさんは日経新聞に出向き、さりげなく自分の知識を披露し、その関連記事が新聞に載る時に相場を煽り、自分達が抜けていました。日経新聞は非常に効率的な仕掛けですね。
蛇の目の時は、経理部長だったかな?地位のある内部人物に罠を仕掛け、酒と女や博打などに溺れさせ、仕手筋の言いなりに誘導します。そうして乗っ取りましたね。資産価値があったからですね。まぁ、裏の世界には裏のやり方がたくさん存在し、チャートなどは意識的に創られている面もある訳です。一応、歩合の世界はアングラな部分も多く…自殺した同僚もたくさんいるわけです。やくざ屋さんも絡みますから…綺麗なものばかりではありません。しかしそのような面も消え、今では過去の遺物になっています。金融屋さんも居なくなりましたからね。アイチなどの存在は過去の産物です。カタルは当初、誠備の加藤さんに憧れていましたが…現場を知れば知るほど、厭になり、昨日、登場させた岡三のKさんからの注文も断わった程です。彼はカタルの上京に際し、収入を保証していました。月給50万ぐらいあれば、食えるだろうと言い、彼の配下に置こうとしたのです。でもカタルは断りました。あの時に注文を受けていたら…きっと大変だったでしょう。年収で1億も3億と稼ぐ人は、顧客筋も大物が多いですからね。武富士やサンリオ、マクドナルドに、すかいらーくと…新興財閥の一代目は、みんな相場が好きなのですね。ABCマートの三木谷さんも好きですよ。昔なら松下幸之助が、信用取引をして追証になっています。実話ですね。まぁ、昔話は兎も角、そろそろ本題に入らないとスペースがありません。
昨日掲げた「相場サイクルの見分け方」浦上さんの書かれた理論は素晴らしく、参考になります。今でも基本は一緒です。ただ時代が変わり応用できない部分も多くあります。相場には「金融相場」に「業績相場」があります。喩えて言うなら「理想買い」と「現実買い」ですね。前者は利益が見えない時に、相場がスタートします。故に強弱感が対立して仕手化します。仕手化とは…先行きの見通しに対立が生まれ、こんな赤字の会社がこんな株価などおかしいと思うのですね。一方、買い方は時代の変遷を考えれば、この会社の製品は一般化して、やがて大きく伸びると思う訳ですね。この未来の「見えない利益」を巡り対立が生まれます。赤字なのにこんな株価はおかしいと…空売りが入り、相場が仕手化して行きます。あるいは、先ほど述べた科研製薬のケースは制癌剤の是非を巡り論争が起こるのです。意見の対立から、生まれる相場ですね。だから「知ったら終い」と、結果が分かると相場が終るのですね。意見の対立に決着がつくからですね。これが金融相場で理想買いの段階です。007もそうでしょう。ユビキタス社会を迎え、KDDIと共同でソラテナなどに参画していますから、日経新聞の一面の材料が、直接、響くと見る人も大勢存在するわけです。カタルが時代性の重要度を述べるのは、こういう事なのです。
一方、マツダのケースが良いですかね。既に利益が見えて増額修正をして、株価が反応しています。カタルが推奨した時は、2010年の春で株価は200円台でした。あの当時、中国の生産が伸び、マツダは仕手性の真価を発揮すると考えていましたが、結局は円安効果でしたね。この段階になると、既に理想買いではなく現実買いになります。更にカタルは世界で飛行機が売れていることを知っており、大阪チタンに惚れていた時代があります。しかし時代の変化で炭素繊維に流れ、東レが上がっています。この背景は加工技術の進化ですね。三菱重工と共同作業の中で、例のMRJですね。この開発過程で東レは炭素繊維の加工技術を進化させました。最近では高級車にも使用され始めています。やがて大衆車利用まで広がるでしょう。そうなると汎用化され利益が爆発しますね。東レは故に有望なのですよ。
話しはそれましたが…飛行機のトイレなどを製造する会社のジャムコですが、世界ではドイツと日本だけが抜けています。…が数量は売れていましたが、単価が厳しく円高の為に利益が出なかったのです。先日、参考に掲げましたが過小資本銘柄で株価が飛ぶので公開は控えてきました。実は1000円割れの400円~500円の時から、カタルのお気に入りの銘柄だったのです。お客様の中には買った人も居られるでしょう。でも相場になったのは円安の今回でしたね。マツダと同じ理屈です。でも既に利益も膨らんでおり、相場としては6合目を過ぎているのでしょう。ひょっとすれば、8合目かも知れません。マツダと五十歩百歩ですね。でも今回は上場来高値は抜けるでしょう。それほど飛行機は好調なのですね。結果論を解説していますが、それが業績相場なのです。理屈と株価が合い割安に見えるのです。
しかし株と言うのは、金融相場の段階、所謂、理想買いが一番面白く、ワクワクして夢が膨らむのですね。皆が、未来が分からないからです。007は村田の意向次第で売り上げは50億、100億と膨らみます。採用単価を高くしても良い訳です。村田にとって50億や100億など鼻紙代程度です。ユビキタス時代を迎え、QBの価値はエネルギー価格が上昇し更に高まりますね。待機電力が必要ないからです。テレビにプリンターにCD機など…様々な製品は稼働してないのに、待機電力が使われています。カタルを2010年に魅了した焦点は此処でした。もし一般化した時に、どれだけの需要が発生するか…世界の消費電力は、どれだけ効率化されるか? やはり証券マンとしては、育てたい銘柄の一つです。2010年の段階では本物かどうか、分かりませんでした。しかし今では、数社がカーナビに応用し、QBが眉唾の技術でないことが証明されていますね。開発期間の2年も待たされましたが…。
科研製薬は大相場になりましたが…実際はイチジクからの制癌剤開発は、偽物に終わりました。しかし相場になったのですよ。たしか200円ぐらいから4000円程まで…買われたのかな? 持田製薬のスタートは、OH1という制癌剤を材料にして、当時の株価は1000円台だったと思いますが、16000円まで育ちました。両者とも偽物でしたが相場になりました。小野薬のプロスタグランジンは800円台から15350円まで…育ちました。これは本物で、その後もこの物質の発見で小野薬は食っています。住友鉱山の相場も金が発見されたとか、偽物だったとか…の対立で相場になり、この話は本物でしたね。100円台の株が2000円まで行きますが、熱狂的だったのは1981年から1982年でしょう。最近では、ITバブルですね。光通信は偽物、ソフトバンクも偽物でしたが…今は本物になりつつあります。ITバブルは、ある意味で理想買いなのでしょう。故に、これから現実買いが訪れるから、ナスダックの上昇に絡み、カタルは好業績に移行している光通信も参考銘柄として、時々掲げています。
何故、カタルは好みでもない古河電工を、カタル銘柄に採用したか? それは1999年から2000年にかけた相場の中で、光通信の技術買収に多額の資金を投じ、一旦は失敗しましたが…ようやく、あの理想買いの相場が、現実買いの業績相場に移る可能性があるからです。その理想買いの株価のスタートは300円台の株価でしたが…2000年に古河電工は最終的に3600円台に、仕手化してなりました。理想買いの相場は大相場なのです。カタルが007に拘る理由も、なんとなく理解されるかと思います。
更に大切なことを最後に書きます。株価の上昇が企業を育てるのです。株価が上昇すると社会的な信頼が増し、やがて好循環が生まれます。任天堂の世界的な成功を支えたのは、野村証券の営業部隊です。資金面でフォローしました。あの当時、おもちゃだったファミコンを、世界的な一大産業に育て上げた功績は大きいのです。カタルが新潟支店を挙げて取り組んだ任天堂、あまり市場から買うもので…野村証券からストップがかかりました。値決めの期間中だったのです。いくらでも必要なだけ、公募株を分けますから、市場から値決めが済むまで株を買わないでほしい…との協力要請が掛かったのです。昔は「公募が買い」だったのです。今は、公募は希薄化という事で、売りに変化していますが、実際は違いますね。公募は買いですよ。ケネディクスの公募は、財務内容の保全の意味もありましたが、これから資産を買い揃え、更に利益を膨らます道具になります。前向きな増資だったのですね。株価を高値にして資金面などでバックアップすれば、日本にも未来型の産業がたくさん育つでしょう。「共有する理念」が市場を育て、日本を豊かにするのです。なかなか理想買いの見えない利益の話を、理解されるのは難しいでしょうが、障りだけでも感じて貰えれば…と考えています。007…。
