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アルゼンチンの混乱(2014年01月26日)
実は本日の原稿は「ケネディクス」の株価が4000円を目指す理由を書こうと考えていましたが、どうも318ドル安のNY市場の下げを見て、現状の市場解説を優先した方がよさそうなので、予定を変更して、こちらを中心に話を展開します。
新興国経済の混乱は利用されているのですが、一般の人には分かりにくいですからね。市場経済と言うのは、常に実体経済の動向を踏まえ市場価格を修正します。ダボス会議の安倍首相の「ドリル発言」は、ある意味で国際公約です。非常に重要なのですよ。この真意は法人税引き下げにあるのでしょう。米国も財政難ですが、アップルのアイルランドを巡る税金逃れの議会証言を、ティム・クック氏が求められたのは昨年の5月の話です。アイルランドは法人税率が12.5%なのだそうです。だから欧州で活動する法人は本社機能をアイルランドに置く訳です。アップルは多額の利益を上げている米国法人なのに…税金逃れの行為はおかしいと批判をされ、米国で政治問題に発展し、議会証言を求められたのです。
世界には様々な会計基準があり、これを統一しようとして国際会計基準が創られました。ようやく合意し米国基準もIASと言う国際会計基準に移行する過程下にあります。日本でも同様ですね。その為に板硝子は、買収資金ののれん代を変更したために、四季報で利益余剰金とされている項目は大幅赤字になっています。所謂、企業買収のプラミアム部分ですね。この価格認定は難しいのです。カタルもよく知りません。売り手と買い手のある話で、実際は高く買ったのに…その実際の価格は「のれん代」として経費扱いされる訳ですね。この辺りの感覚はIASの会議においても、議論の対象になり揉めた経緯があります。ただ言えることは、銀行を管理するBIS基準にしてもそうですが、現状は国際ルールを一本化しようと試みられている訳です。カタルが批判している、使いにくい「XBRL」なども、その流れにあります。
最近ではG8などのサミットの議題にも上がるようになっています。TPP交渉もこういう背景があるのですね。所謂、地球連邦化運動の一環です。その過渡期に我々は生きている訳です。イランやシリアの問題も、この延長線に位置しています。問題とされるアルゼンチンは2002年にデフォルト宣言をしました。当時の未解決問題は、13億ドルの債権の内9割の債権放棄を債権者に迫りましたが、債権者の内、7割は同意しましたがヘッジファンドなのが反対したために、未だに米国で係争中なのですね。傷を抱えたアルゼンチンでは通貨安の物価高や、金利高になり経済が混乱しているのです。
此処でアルゼンチンの経済のお勉強です。ジェトロのホームページは便利ですからね。あとは外務省かな? 此処では外務省の数字を用いましょう。GDPは4749億ドルと言いますから、およそ50兆円弱で日本の1/10と覚えておきましょう。一人あたりのGNIは11576ドルなので年収は120万円ほどですね。日本の1/3程度かな?人口は4100万人ほどで日本の国土の7.5倍だそうです。意外にも、貿易収支は黒字ですね。ただギリギリの状態で、経常収支は若干の赤字のようです。日本との取引は日本が銅やとうもろこしを輸入し、自動車部品などを輸出しています。金額は僅かで1000億円に満たない輸出入額です。基本的に政情の問題から、資本取引が不安定なのでしょう。ブラジルの輸入規制なども影響しているのでしょうね。2012年のGDPは、それまでの8%前後から1.9%と落ち込んでいます。昨年11月末の外貨準備高は307億ドルと言いますからね。
事の発端は2002年の債務問題で、米国の最高裁がアルゼンチンの上告を拒否したことに端を発しているようです。2013年10月7日に上訴の審理拒否をして、13億3000万ドルのもめごとが尾を引いていますね。ヘッジファンドへの僅かな支払いを渋ったのでアルゼンチン国債の信用が下がったのですね。外貨準備が307億ドルもあるのだから…、一時的に返済するか預託して裁判をすれば、全体の信用問題に波及するように見えませんね。問題の根は、物価高から起こる庶民の反乱ですね。政策に一度不信感を抱くと国内資金は海外逃避が加速します。一度、このようになると手が付けられません。現状は車などの資産物へ換金するために、ペソを売る動揺が起っているのでしょう。カタルが懸念する日本のガラガラポンのリスクと同じ構図です。日本も危ういのですよ。そうですね、金融庁さん。頭のいい高級官僚なら容易に理解できる背景ですね。「流動性の罠」などを長引かせると…最後は爆発しますよ。地下にはエネルギーが貯まっているのですね。この発想が理解されないと「ケネディクス」を、何故、カタルが薦めているか? 理解されないと思います。
まぁ、アルゼンチンのお勉強は、この辺で良いですね。あっ、大切なことを忘れていました。対外債務問題ですね。この残高は2011年の数字で1293億ドルとなっています。現状の外界準備が307億ドルですから3年近い猶予がありますね。GDPは4749億ドルで27%ですから、やはり高いですね。20%程度が妥当な水準なのでしょう。日本は200%を、超えているのかな? ただ個人の金融資産が1600兆円で1000兆円程度の公的債務は消化されています。でも教育により大きく変化しますよ。資本収支はあっという間に変化します。三菱商事の金属部門の本社移転は非常に大きな事なのです。2012年12月に発表しています。だから安倍首相のダボスでのドリル発言に繋がっているのですね。カタルが何度も日産自動車のマーチの生産移転を語った2010年の変化と同様に、大きなポイントです。
さて話が飛ぶと、ややこしくなりますから…あまり関連付けないで現状を分析しないとなりません。NY市場が下がったのは背景があります。FRBの金融緩和縮小懸念が現実化していると…市場関係者が演出している訳です。複合的な懸念として、米国の財政問題やシリアやイランなどにみられるように、米国の覇権力低下があります。勿論、中国のシャドー・バンキング問題からタイやウクライナのデモなどまで…トルコもそうですね。様々な国で、政情が不安定な状態が続いていますね。理由は米国金融危機ですね。その後遺症です。基本的に経済が弱くなると不満が生まれます。日本も同じなのですよ。マルハ・ニチロの社長が引責辞任を発表しましたが、あの農薬混入事件の背景には、きっと生活感の不満があるのでしょう。最近はブラック企業がメディアで取り上げられ、問題化していますね。カタルが何故、ガラガラポンと言う表現でリスクを説いて、日銀の黒田さんや金融庁の麻生さんを批判しているか? 正しい政策を実現すれば、今なら簡単に健全化の道を歩めるのですね。三菱UFJの株価が純資産以下に放置されている原因は、フジテレビの買収で頭にきた日本村の権力者が、ライブドアを地検逮捕に追い込んだ背景があるのです。みんな繋がっているのですね。
市場経済の今日の混乱は、みんな背景が存在します。アルゼンチンの問題も2002年のデフォルト問題で揉めている係争が切っ掛けになっているのですね。このようなものが底流に流れており、何かの切っ掛けで再熱し、表面化するのですね。日本にはブラック企業問題などが存在します。中国のシャドー・バンキングと同じようなリスクですよ。日本の場合は厄介ですよ。個人の金融資産により公的債務が支えられています。共産党の言う金持ちと大企業から税金を取り、弱者救済など出来る訳がありません。消費税の引き上げは、ある意味で個人から政府に資産を移動させるので健全化の動きなのですね。1600兆円の資産を1000兆円の赤字に移動させるわけです。毎年、すこしずつ…。
問題は、頭の良い官僚が消費税の引き上げにより、時間が稼げたことにあります。だからカタルは清貧思想を何度も批判しています。みずほのやくざ融資で、親会社の頭取が、たかが総額2億で…厳密に言えば100万円程度の事で引責させられる強権発動が、「流動性の罠」を増長させるのですね。お金が動いてバブル期のように、タガが外れているときに強権発動により、権力を行使して引き締めるなら分かるのです。それを…。証券マンが悔し涙に暮れる毎日が分かりますか? 働きたくても…無駄な人生を歩む悔しさが、金融庁などの幹部職員に分かるのでしょうか? 何故、正しい選択が出来ないのでしょう。日本株が長年、低迷しているのは、政策の選択が悪いからですね。
NY株は僕が入社した時は800ドルで日本株は8000円だったのです。富士通は500円でした。ところが今は完全に並んでおり、富士通の価格は30年経っても、株価は変わりませんね。この馬鹿げた政策に呆れて…日産はマーチまで海外に生産を移転させたのです。利幅が低いマーチを移転させ、タイから移送し日本で販売するという事は…かなり日本の労働生産効率が悪化しています。今度は、あの三菱商事がシンガポールに本社を移転させるのです。金属部門は、商社の稼ぎ頭ですね。みんな右に倣いです。かたるは何度も時間がないと…言っている意味を理解して欲しいものです。
少し日本の現状を交えた為に、長くなってきました。読む方も大変でしょう。
結論を書きますね。みんな、大したことがなく、すでに予行練習を終えています。FRBの金融緩和縮小も…昨年5月からで練習済です。市場経済の中では、織り込み済みの問題で予想される事態だったのですね。つまりこの下げは演出なのですよ。そうです。買うための演出が、行われているのですね。市場経済の中で、一番のリスクは予期せぬ事態の発生です。3.11のような大震災とか、9.11のテロとか…ですね。その為のパラダイム・ショック(枠組みの変更)が一番怖いのです。日本は歴史的な構造変化に直面しています。しかし日本は伸び盛りである人口の多い、有望な市場近くに位置し地理的優位にあります。欧州や米国と比較になりませんね。そうして米国よりも金融機関は健全です。過剰な清貧思想を、金融庁が行ってきたおかげです。この清貧思想の目に見えないマグマが市場に貯まっています。だから「ケネディクス」なのですね。この辺りの解説は、次回にしましょう。要するに…演出による下げなので、あまり心配はなく、むしろチャンスなのです。カタルは何度も述べていました。カタルなら一度、株価を下に振ると…。資金があるなら、歴史的なチャンスになるでしょう。でもカタルの原稿を読んでいる人は、かたると五十歩百歩の資金力でしょう。故に619円を抜いてから参戦すれば良いと、前から述べています。でも…。カタルは変化が見られたら公言しますから、余裕のある人はその時から参戦しても良いでしょう。
問題は時間猶予を与えられた官僚様ですね。金融庁の強権発動は、通常、誰かが歯止めをかけないと、どんどんエスカレートしますね。UFjが餌食になり、今度はみずほですね。被害の規模は違うけれど、根底に流れている概念は一緒です。清貧思想など…大嫌いです。