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コラム

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時代性(2014年02月09日)

自分だけでデータを集め視野が狭まると、広範囲の分野の検討が出来なくなりますね。昨年末に揉めた米国財政問題の行方は、一体、どうしたのでしょう。記憶によれば2月7日までに纏めないと、27日にも資金ショートを起こすと言うものだった筈ですが、何故か、この関連のニュースが、全く出てこなく話題にもなっていません。ネット上で、ようやくたどり着いた結論が、此方のレポートです。この野村の資料が本当かどうかわかりませんが、この解釈によれば、9月まで話し合いが延期されるようです。

ひょっとすると…僕のように勘違いをしていた市場関係者は多いのではないでしょうか?1月からの調整は奇怪な形で…通常のアノマリーとは違うのです。よって過去の事例を調べてみると…1989年から1月に10%以上下げたのは、2008年と2009年だけでしたね。バブル崩壊の1990年は1月1733円安、2月2651円安、3月4607円安と下げていますが、株価が高く、率にすれば1月の下げ率は僅かに4.6%です。3カ月連続の下げは、1990年、1992年と更に1995年の3回ありました。その表を作ったので見て下さい。下のようなデータでしたね。

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まぁ過度の警戒感なら、それで良いのですが…。合わせて月足推移の日経平均チャートも掲載しておきます。別に楽観主義者のカタル君は、アベノミクスの成功を疑っている訳ではないのです。今回は時間的にも江戸幕府のペリー来航(1853年)から、明治維新の西南の役(1877年)まで…と、体制転換と言うリストラクチャリングの為に、充分な期間(1989年~2014年)を経ていますから、日本村論理も打破できると考えています。何故、このような展開を書くのかと言えば…、現役を離れあらゆる可能性を探っているから、強気一辺倒のカタル君ではなくなったと言う事なのでしょうね。昔のカタル君は、買い一辺倒だったのですが、昨年後半からの論調を見れば分かるように…金融相場から業績相場への移行を見逃し、先物からの演出相場と…断定し、どちらかと言えば…カタル予想が外れている市場の現象に、違和感を持って原稿を書いていたように感じます。だから金融庁の行動にも批判的だったのでしょう。

多くの投資家は、株価の値動きの背景にある時代性を忘れています。…と言うより、全く考えませんね。ただ値動きだけが全ての行動になっています。しかしカタルは違います。どちらかと言えば「理屈屋」です。日本経済が成長するためには、何が必要か? その辺りの時代性を中心に、銘柄を選別しています。だからソニーなどの株価回復には批判的でした。時代性を考えると…長いデフレ状態から価格破壊に挑んできた「ユニクロ」(ファーストリテイリング)は、グローバル化に成功しつつあります。まだ世界トップではありませんが…もう直ぐですね。ソフトバンクも、その方向化にあります。そうしてカタルが期待するニトリも、ようやくグローバル展開を始めました。中国や台湾などはこれまでもしていましたが、昨年10月に米国で実験店舗(2店舗)を開設しています。

基本的にカタルは時代背景に「成長の芽」がなければ、あまり銘柄に注目しませんね。株式投資と言うのは…現実社会と市場の間に生じるギャップを発見し、その修正を行う作業なのですね。現実の企業業績は好調で儲かっているのに…、何故か、株価の回復は遅れている。三菱UFJなどは、その代表的な事例です。何故、都心の一等地に保有する財産評価(純資産)が、日立などの地方にある財産評価より、低く扱われるのか? 日立市にある日立の地価などは…日立が撤退すれば、夕張のような評価で二束三文なのです。ところが都銀が持っている資産価値は、全然違いますね。その純資産価格も回復できない市場価格は、明らかに間違っています。このようなギャップを発見し、それを修正するのが株式投資なのです。

未来技術もそうですよ。007に惚れているのは、ユビキタス社会の進展に欠かす事が出来ないソフト技術に注力しているからですね。バイオも同じです。STAP細胞やIPS細胞の研究は、人類の豊かな未来に貢献しますね。公害を生む企業とは違い、評価が大きく変わります。例えばチッソや足尾鉱毒事件(古河機械金属)などの歴史も、その事例の一つでしょう。此方は駄目な事例ですが…。焦点は会社の存在が、人類の成長にプラスかどうか…。だからグーグルの評価が、非常に高いのですね。儲かるから…と言う基準で選ばれているのではなく…結果として、利益が生まれるのです。だから企業の目指す方向性が非常に大切なのです。カタルがソニーを批判していたのは、折角、利用価値がある経営資源を、充分に活用してないから批判しているのです。007に惚れている理由は…夢があるからですね。IVIも含め、何となく、株主になっていると楽しいですね。

ケネディクスは、日本の土地価格にグローバル基準と大きなギャップを感じているのです。ドイツ証券は、その事を指摘しているレポートを掲げていましたね。39%も過小評価されていると言うレポートを、昨年12月にWSJで掲載されていました。カナダが一番割高で60%も割高なのに、日本は逆に39%も割安だと言うのです。この数字の根拠は何処にあるか…解説されていませんでしたが、この違いは不動産に対する外人投資家への規制だと言うのです。此処で安倍政権の戦略特区構想が、焦点になりますね。その表だけを再び、掲載しておきましょう。

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カタルは金融庁の厳格の減損会計の政策を、2006年の日銀の行動と共に批判しています。この政策の為に、市場からダヴィンチが消えたのです。ライブドアの堀江さんの様なものでしょう。何故、斬新なアイディアを持つ人が、社会から排除されるのか? この日本村論理を、カタルは嫌っています。故に、経団連の製造業重視の会長選出にも、違和感を抱いているのです。長いデフレ環境の中で培われた資産価格の歪な構造が、修正される可能性があるから、ケネディクスの4000円相場を視野に入れているのです。

時代性を考え投資行動すれば…、時間のズレはありますが、必ず市場価格は時代性に呼応して修正を演じる筈です。故に、目先の需給バランスの変化で多少は下がるかもしれない株でも、ずっと買い推奨を続けているのです。長く読んで頂いている読者には、カタルの基本構想はご理解いただいていると考えております。