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異次元緩和の効果(2014年05月04日)

今日の日経新聞は「追加緩和に足かせ」となっていますね。大塚さんの発想は実に貧困ですね。この程度のレポートはレベルが低く見えます。例えば…日銀の当座預金には、2010年10月の包括的金融政策採用時の残高は17兆円でしたが、黒田さんの異次元緩和の実施で、それまで40兆円程度だったものが、毎月、大幅に増え続けています。2014年4月現在で、当座預金残には128兆円の資金が眠り、これに0.1%の付利金利が付いています。これを撤廃すると、銀行は市中での運用を余儀なくされると思いますが…どうでしょう。他にもETFの買い入れ増額など…日銀は国債買い入れ以外でも、何でも出来るのです。カタルは以前、述べたメザニンローンの投入構想を述べたことがあります。100兆円規模のファンドで、スマート都市のモデル建設ですね。エクイティーは無理ですがメザニンなら…常識が通るでしょう。黒田さんが物価目標だけに「拘り」を抱いているように見えるので、金融関係者は不安を感じ、海外のヘッジファンドは、スタグフレーションを懸念するわけです。アベマゲドンの主要論です。

現状は官が民を食べている姿が、垣間に観られます。日本は民間の活性力を無視していますね。誰が書いた小説だったか…。官僚が国家の戦略を練って予算を決めていく姿に憧れ、多くの人間が正義感に燃え、官僚組織を築いていきましたが、いつしか弊害の素に成り下がりました。僕の知り合いに高級官僚が一人おり、彼は地方政府に出向く期間がありました。この時期に人脈が形成されるので、官僚出身の政治家が誕生するのでしょう。毎年、多くのお中元やお歳暮が彼の元に届いていました。(官官接待)その理由は、中央に戻ると地方の予算を左右する立場になるからですね。よく国家予算を貰いに地方から、政治家に陳情に行きます。ついでに過去出向してきた官僚にも、根回しをしますね。所詮、最後の裁量は、人間が決めるのです。

関連団体もみんな同じ仕組みです。民間企業に協賛金を求め、○○協会とか作りますね。今では資格を持たないと仕事も出来ません。昔は国家資格なんか…必要なかったのです。でも今は、資格基準が、どの業界にもあります。この制度を維持する事で、何人かの役人様が食えるようになります。ユニセフの理事長に、元日銀総裁の澄田さんが長く居られたので、僕はあの団体に、一度、10万円を寄付したことがありましたが、翌年から寄付先を変えました。澄田さんはバブルを創った罪悪人ですからね。僕の寄付金が、彼の給料になると思うと…反吐が出ます。

韓国の修学旅行の生徒が多く亡くなり、船長の過失が問われています。澄田さんに悪意はなかったのでしょうが…あの金融政策の結果、日本はバブルを抱え、その後処理の影響から25年近くも沈んでいます。もう多くの失政した罪悪人は亡くなっているので…、一度、過去を検証し、間違いを正した方が良いと思います。当然、要因は一つだけではありません。でも現場で生活し、考え続けたおかげで、誰が悪いのか? 色んなことを考えるようになりましたね。人間の根性が曲がりましたね。こんな経験はしたくなかったのです。カタルは、良く単純平均株価を話題にします。僕が上京した時は1579円だったのです。今の単純平均株価は283円です。デフレ社会の現実ですね。カタルが上京してから、一度も、上昇波動に移ったことがありません。2006年の時は、579円だったのです。その前は1999年7月のITバブル時の724円ですね。その前は1996年4月の991円です。たまにチャートを載せないと…認識がぶれるので、再び掲げておきます。

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時代に責任を転嫁するのは、負け組のやることですが…ようやく、日本は転換期に入ったと思っています。異次元緩和は間違いなく効きますね。地方銀行はリートを買い始めています。一度、具合的な資金移動の動きを数字で捉えないとなりませんね。残念ながら日銀のデータも金融庁のデータも調べましたが、良いものが見つかりませんでした。そこで先ほど批判した一般社団法人不動産証券化協会の出している資料から、抜粋すると今の金融界の構図が見えるので、こちらを代用します。資料の元は此方から…

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グラフは二つですね。解説するまでもありませんが、国債を売り不動産投信を買うと緑のスプレッドが得られます。0.6%で運用する彼らにとって、この3%の違いは大きいのです。ここに国債を売った地方銀行の資金の何割かが流れますから、当然、その需要を賄うために、リートの運営会社は物件の開発をします。底地を買って建物を造ったり、全体の建設需要が膨らむ訳です。需給関係が長いデフレ低迷で、固く引き締まっているので、僅かな量でも、市場全体に大きな影響を与えます。これが、カタルが述べている1300兆円の逆襲です。バブル期より非常に長い時間をかけて、大幅な地価下落が定着していたのです。

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カタルが述べているダヴィンチの創設が1997年ですから、この時分に不動産の投資に対し採算利回りが均等化したのでしょう。つまり調達した金利で、そのお金を不動産に投じると、収益が得られる状態になったわけです。ところが…カタルがよく批判する日銀のマネタリベースを絞る金融政策(2006年)や、厳格な金融庁の融資先査定が原因で、ダヴィンチが上場廃止に追い込まれた行動が、「行き過ぎ」だとカタルは言っているのです。日本の出口戦略を遅らせた、原因の一つです。利回り採算に合い、いつか借入返済が出来る取引を、米国発の金融危機と言う一時的な原因なのに、厳格な減損会計を強いた行動が、日本を更に叩いたのですね。それを証明するデータがありましたから、そのグラフを見てください。

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確かに金融庁様の主張のように、トータルリターンはマイナスなのです。このグラフでは2009年3月がボトムになっていますね。当たり前ですね。世界中の金融機関が持ち高の圧縮に動き、資産を絞りキャッシュに変えたのです。この最後の叩きが反動に繋がると考えているのです。1300兆円の逆襲ですね。実に25年ぶりの反転です。おそらく「流動性の罠」と言う理屈が働ない世界が長く続いたので、その修正期間は相当長く、目指す山の頂上は、非常に高いと考えています。富士山も超えてエベレストかな? だって世界は、1989年の時点から成長を続け、日本だけが…東西冷戦崩壊の後遺症に苦しみ、1997年に実質的に正常化になったのに…。尚且つ、その後も清貧思想を強いられたのです。理屈上、相当規模の復元力が、生まれると考えていますね。東北の大震災規模ですね。何百年に一度の噴火するマグマが、水面下に貯まっているのでしょう。300円のケネディクスが1万円になる仕組みは、いろんな点からも推察できるわけです。

カタルは政策には、裁量が必要だと述べているのです。ライブドアの堀江さんやダヴィンチの金子さんらは雪山をラッセルする先駆者です。ソフトバンクの孫さんやファーストリテイリングの柳内さんなども、そうですね。彼らの背中を見て多くの人が追随するのです。多少のやんちゃぶりを、許容できる社会構造が必要だと考えています。大岡裁きがあるから日本村論理が成り立ち、村社会の協調性などの良い面が浮かび上がるのでしょう。厳格な清貧思想を貫くなら、もっとフェアな基準にすべきですね。石川島やオリンパスを上場廃止にすべきなのです。この辺りのさじ加減は、人により価値観が違います。今日はテクニカル分析の続きを書く予定でしたが、新聞を見て違う話題になりました。まぁ、良いでしょう。日銀の異次元緩和が効いている構造を、お分かり頂けると思います。先駆者は慎重に行動し、最初は打診程度を繰り返すのです。やがて、その行動が成功体験を経て、大胆になってきます。そうなると…その動きを見て、それまでの観戦者が、参加者に変化しますね。これが自然の法則です。今の日本経済は、最初にラッセルする人が、打診を繰り返している段階なのでしょう。