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証券マンの資質(2014年05月05日)
今日はテクニカル分析の前に、二つの日経新聞の記事の解説を…。一つは18面の景気指標の解説で、お金の面から企業が海外投資を優先させている一面が描かれています。昨日の大塚さんのレポートは3流域と批判しましたが、今日の滝田さんのこの着眼点は、良い記事でしたね。この裏に、たくさんのヒントがあります。皆さんは、そのヒントが新聞を読んで感じましたか?
ここでヒントです。この記事と合わせて…3面の『「高齢」設備、成長の足かせ』を読むと時代を感じることが出来ますね。とくに松尾さんのレポートの中で、黒田日銀総裁の「需給ギャップは、ほとんどゼロに近い」とのコメントを紹介しています。実は近年、我が国の石油コンビナートなどで、事故が多発しており、原因の一つが老朽化なのですね。死亡者も出ています。メンテナンスを繰り返し、使い続けるのも限度があります。
さて証券マンの人は、カタルがこの二つの事象から、真っ先に恩恵を受ける銘柄を思いついたのが、何か分かるでしょうか? 証券マンは、先ずは新聞や雑誌、テレビのニュースなどから時代の流れを感じることです。そうしてその流れの中で、一番、恩恵を受ける銘柄を選択しなくてはなりません。問題は、関連銘柄は幾つも上がってきます。何を選ぶかですね。これが「キャリア」なのでしょう。
カタルは「三菱化工機」6331を連想しています。現状は赤字で、株価は低迷していますからね。この水準から株を集めれば確実に儲かります。年金基金の運用担当者向きの銘柄です。保守的な投資家にも向いていますね。ただ化工機は大型株の部類で、個人向きではありません。だからカタルは、別の視点で○○製作所を選ぶかもしれませんね。今日は証券マンの人なら、常識程度の知識を持っているかどうかの話しなのです。自分の給料に見合う仕事をして下さいね。まさか管理職の人で、カタルの問題が理解できないレベルの人は居ませんよね。もし居るとしたら、もっと勉強しないとなりません。
このように、一つの記事から発想はどんどん広がります。問題はカタルがいつも述べている清貧思想の広がりで、ここから原発廃止論が生まれ割高な電力料金になっています。雇用制度の混迷も同じですね。経営者は常識的な選択をします。だから海外投資が増え、国内投資が減っているのです。滝田さんの記事は、2009年から2010年の円高の環境下で日本政府は対策を足らずに、自然に任せました。日産自動車のマーチの生産移転が代表的な事例なのですね。その事を資金面で解説しているに過ぎません。でも未来予測は此処に書かれていませんね。基本的にメディアがこのような記事を報じると言う事は、時代の流れが、反転する兆しなのです。だから三菱化工機を買えばいいのですよ。
他にも事例を示しましょうか…。2012年10月8日に、山中教授がIPS細胞の研究でノーベル賞の受賞が決まりました。しかしバイオ関連株は当時、まったく動きませんでしたね。ナノキャリアなどは…実に魅力的な会社です。それにも拘わらず、年々も低迷していました。プロが狙っていたところに、話題と量的緩和の二つの流れが生まれ、ナノキャリアは相場になりました。時代が選別される銘柄を決めているのです。市場原理主義では、お金は限られるもので…そのお金は高利回りに流れるのです。日本国債よりイタリア国債へ、だから利回りギャップが、埋まりました。乖離が生じているときは、当然、リスクが存在します。だからギャップが生まれますね。1300兆円の逆襲は、1989年から25年も土地が下げ続け、その間、世界は成長を続け、米国の不動産も中国の不動産も上げ続けて来たのです。このギャップが拡大し続けていることは、容易に想像がつきます。だってダヴィンチは1997年に創設されたのです。そこから17年も経っています。おかしいですね。ケネディクスの株が上がる筈です。
金融取引の基本は、時代を感じ、ギャップを探す事です。老朽化する生産設備で死亡事故が日本で起きている現象は、きっと限界点に来ていますね。経済産業省のレポートで、平成25年3月に産業構造審議会保安分科会が、「産業事故の撲滅に向けて…」のレポートを出しています。これを読むと、平成13年から平成22年までに化学工業と石油精製等において11件の事故が発生し、2名が死亡しているとなっています。原因に人的な要因もありますが、設備が老朽化していることも事実です。改善ばかりを繰り返していると、だんだんと、こんがらがってきます。

さて、問題はテクニカルです。株式教室で使ったグラフを、もう少し手を加え見やすくしました。問題も1年も、あの時は待たされたのです。何故でしょうね。実際の企業業績の推移を掲げておきましょう。企業は、きっと最初は損失を隠そうと努力するのですね。ソニーが儲かる資産を売却している構図と似ています。何とかして黒字を演出しようとしていますね。パナソニックはテレビの損失を認め、一気に膿を出したのにソニーの対応は違いました。そうして黒字化した後も、内部に溜まった負の遺産を整理するのに、1年から2年程度はかかるのでしょう。此処にマジックがあります。JVCケンウッドは一旦黒字転換したのに…再び赤字転落ですね。

あまり色んな事例を出すと頭が混沌としますから、ケネディクスにしましょう。ケネディクスの今期の一株利益は、2006年から2007年に掛け高値掴みで取得した不動産の損失を抱き合わせで売却して、利益を調整していますね。いつまでも含み損失を抱える物件は続きませんね。おそらく今期には、なくなるのでしょう。このタガは黒田日銀緩和のスピード感に大きな影響を受けます。しかし仮にスピードが上がらなくても、異次元緩和の継続から不動産開発投資は、容積率緩和の追い風もあり進みます。オリンピックもあります。問題は「変化率」なのです。
ここで「1300兆円の逆襲」が登場します。非常に魅力的です。欧州危機時に野村の仕事が出来る社員は、イタリア国債投資を進言しましたが、役員に一蹴されました。その社員は辞めて、外資に移ったそうですが…野村も当時は、自己資本比率の関係で苦しかったので、仕方がないかも知れませんが、サムライが居なくなりましたね。でも今の日本の不動産は、当時のイタリア国債に似ています。2年程度、待てばいいのです。この1300兆円の損失がなければ、ケネディクスの変化率は知れており、カタルは惹かれなかったでしょうね。ダヴィンチの金子さんの弔い合戦です。武富士の弔いでJトラストを掲げておきながら…熱を入れませんでした。ついでにケネディクスの最近の5AB率の変化も見ておきましょう。あとは出来高の増加を待つだけなのでしょう。
