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ケネディクスの決算をみて…(2014年05月18日)
先ずは補足から…。007の決算の解説で見るものはないと述べましたが、目に見える成果がないからです。期待した村田のWiFiモジュールは、契約内容が個別数量ではなく総体契約なのかもしれません。昨日、カタルが契約と共に資本参加を述べたのは、村田型が正しいと思うからです。主要納入先に選ぶときに、資本参加も同時にしてもらえば、任天堂のように、簡単に契約を切られる可能性が減るからです。
一つ、この会社が眉唾ではないと言う支援材料に、前期に、開発で失敗したソフト資産の減損処理を行っています。パナソニックとソニーの違いを連想すると良いのでしょう。立て直しには、先ずは膿を出す事です。悪戯に利益を作るべきではありませんね。この辺りをみると、決算を発表したことで「あく抜け」している可能性も非常に高いですね。日産自動車は特損計上と共に、株価が上昇しました。二度も三度も計画を見直すソニーは、サラリーマン経営者の保身でしょう。まぁ、パナソニックは吸収した松電工の好調さが後押しになっていますが…。基本的に悪い面に堂々と向き合い、対処するのが正しい経営です。この点、ソニーは非常に危ういですね。既に手持ち資産を売却し始めているのです。
もう一つ、IVIの話ですが…。決算短信にQBの解説のところで、ルネサスエレクと共にフリースケールの社名が挙がっています。自動車用のマイコンの世界トップシェアはルネサスエレクですが、二番手がフリースケールなのです。これなら、世界で売られる大半の車のIVIに、QBの採用が決まったのではないかと推察しています。一方、アットマーク社の動向は非常に注目されます。車以外の分野に広がるからですね。カタルが007に惹かれた理由の一つは、QBの成長性です。世界の銀行で稼働するCD機、世界のオフィスビルで稼働するコピー機などへの応用は、充分に連想できるからです。
さて今日は「ケネディクス」です。何故、これほど市場評価が低いのか、理解に苦しむのですが…多くの市場参加者の勉強度が低いのでしょう。バックボーンは何度も解説していますが、日本経済は1997年に、一度、資産価格は底入れしたのです。低迷後、立ち上がり始めた2003年から2006年は順調でしたが、福井さんは急騰しはじめた不動産に対し、バブルの失敗に怯えたのでしょう。二度とバブルを発生させないと、2006年にマネタリベースを絞り始めました。マイナスまで転じていますね。此処に米国発の金融危機が重なったために、日本の資産価格(土地など)が二番底を入れたのですね。この揺り戻しで、倒産したと言うか上場廃止になったのがダヴィンチです。ケネディクスは伊藤忠などとの関係があり、辛うじて資産を疎開させることができ、金融庁の査定を逃れたのです。このような歴史的な背景を良く知ってないと、ケネディクスの正しい評価が出来ません。日本の土地はしばらく、上がることはあっても下がりません。追い風が5年から10年は続くのでしょう。現在は流動性の罠を抜け切っておらず、スタートがなだらかなのです。このような基本的な知識が必要です。
さてケネディクスの収益構造の話です。今回の決算説明会資料をみてください。4ページにアセットマネジメントフィー、アクイジションフィー、ディスポジションフィー、インセンティブフィーなどの解説がなされています。つまり、この意味は管理手数料も取るし、成功した場合は特別な利益も貰うと述べています。皆さんがオフィスリートを買ったとしましょう。利回りは4%だとしますね。地価が上がりリートが持っているオフィスビルが20%値上がりし売却したとすると…10%程度はファンドへ利益還元されますが、超過分はケネディクスが搾取するような仕組みになっています。この残高、受託資産残高は(AUM)1兆2710億円あります。現在、日本の地価は底値から、およそ2割から3割程度上昇し、高止まりしているのでしょう。金融庁が厳格な査定を強要したので減損処理がなされています。
昨年末、ケネディクスは含み損失が、およそ71億円あると発表しています。含み利益は41億となっていましたね。1Qでは27億61百万円の特別利益と共に、945百万円の特別損失を計上しています。つまり71億円の内、10億円が消えたのでしょう。おそらく今期中に、この含み損失は消えると思われます。故に通期の予想を引き上げなかったのでしょう。でもおそらく、このペースで行くのでしょう。だから30億円の4倍と評価するのが普通でしょうね。120億です。つまり最終的な一株利益は45円前後なのでしょう。この数字は余裕を持って達成できるのでしょう。だって1兆2710億円もありますからね。
厳格な見方では、アセットマネジメントフィー66億円と、総資産規模2033億円の運用利益10%の203億円を合わせた269億円を、基に利益を計算すると、実効税率を40%として161億が純利益ですから…一株利益が約60円ですね。この10倍程度がケネディクスの現在の妥当な株価水準とも言えます。つまり600円です。しかし現状の地価は上がり続けており、ここ数年はウハウハ状態になる筈ですね。異次元緩和の効果が時間を追うごとに増します。「流動性の罠」から日本経済が抜け出すからですね。この流動性の罠の意味を、良く調べなくてはなりません。長い間、日本はバブル期の清算と、構造改革を同時進行させてきました。これが失われた時代の正体です。後半は竹中改革により清貧思想が生まれました。過剰な恐怖心が蔓延しましたね。だから経済が過剰に委縮しました。この氷河期が包括的な金融政策の採用で緩み、異次元緩和で融け始めています。だからソフトバンクの孫社長が、自らの個人資金で銀座中央通のティファニービルを買ったのです。
つまり一株利益60円の妥当評価は、現在の経済情勢ではPER30倍で1800円程度が正しい経済評価なのでしょう。福井さんがバブルの幻想に怯え、行った引き締めと米国の金融危機が日本の経済に2番底を迫ったのです。その為にダヴィンチは市場から消え、ケネディクスも倒産の危機に陥りました。しかし今の財務状況をみてください。自己資本比率は36.6%で、少数株主分をひいて745億43百万円ですが、有利子負債は1099億28百万円ありますが、ノンリコースが699億7百万もありますから…実質の負担は400億21百万円です。現預金は180億円もありますね。どう見ても健全ですね。ノンリコースの現実を考えれば、一部でアベマゲドンリスクから、資産価格の下落の幻想に怯え、間違った一株利益評価の10円を基に、PER10倍説の株価100円が、あり得ない幻想だと言う事が分かります。
実際に利益を計上してから、相場を立ち上げても仕手化しませんが、今なら一株利益10円との認識を持つ人が居るから、株価は仕手化し、空売りが高値で僕らの売る玉を買ってくれる可能性があるのですね。今、4ケタの株価実現から、2000円、3000円と持って行くと…一大仕手戦相場になりますね。これが「1300兆円の逆襲」の一部です。日本の土地が上がり続け、政策次第で1兆2710億円のAUMは、2000億円も、3000億円も利益を生む卵なのですね。だから株価1万円は妥当な評価とも言えます。後は仕掛け人の実力次第ですよ。ヘッジファンドが、この勝機を見逃す筈がありませんね。故に最近は、1tickあたりの売買高が増えているのです。ステートストリートが500円台で買った評価は、正しかったのだと思いますよ。でも現実はカタルと同じ間違いを彼らも冒しました。
今期の一株利益は45円前後なのでしょが…間もなく減損処理する物件がなくなります。そうすると利益の調整が出来なくなり、一気に100円台の利益計上になりますね。その事は既に確定しています。よく2003年からの利益変化をみておくと良いのです。2003年の利益は8億71百万、04年16億33百万、05年47億57百万、06年90億15百万、2007年には146億62百万と膨らみ続けています。一株利益12円が36円、91円、158円、248円と…大きく伸びるマジックは、これから始まります。全ての利益の源は、AUM残高推移にあるのです。