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夏枯れ相場の可能性(2014年06月08日)

流石、米国ですね。孫さん批判の記事が溢れているようです。まだ買収から僅かな期間ですから成果を求める方がおかしいと思いますが…このスピード感を要求するのが、市場原理主義国の所以でしょう。それに引き換え…日本は、呆れる改革の遅さです。安倍さんは確かに歴代首相から見れば良くやっていますが、100点満点と言えるかどうか…。この村論理は良い面もありますが、弊害も多く保守的ですからね。まるで僕が1998年頃に、日立の社長秘書室長から聞いた「うちは変わらないことが、ポリシーだ」との社風を、自慢げに話していましたからね。この話を聞いて、カタルはこの会社は駄目だな。…と思ったものです。お茶の水の本社まで行ったのです。

今日の日経新聞に、このような社風を変えた中西さんが登場していました。営業利益率を目標に据え、改革した人物ですね。一橋の楠木教授の話しも時代性の追い風を活かせ…と売上高利益率の話をしていました。基本的に資本は限られており、利益率の低い所を切り捨て、高い所を伸ばさねばなりません。総資産経営ではなく、個別に利益率を追求するのです。だからユニリーバは、利益率の低いパスタソース部門を売却したのでしょう。ところが、その儲からない商売を買うミツカングループは、日本企業らしい選択です。これを足場に展開できるかどうか…見ものです。金利が低いから成り立つ買収でしょうが…ROEの観点からみると、どうかな?

さて、また与太を話していると、なかなか本題が進みませんからね。今日は例年、恒例のように起る夏枯れ相場について考えておかないとなりません。市場はようやく立ち上がってきたのに…早すぎるとの指摘はあるでしょうが、カタルは当初から夏は一時的な戻りで、秋口にももう一度下押し、年末高に向かうと言うシナリオを描いていました。この理由は消費税の二段引上げの為の相場演出の可能性、成長戦略の空振りなどが背景にあります。市場には順風満帆のストーリーが溢れていますが…、敢えて、下がるシナリオも想定しておかねばなりません。だから一度、考えておきます。勿論、このシナリオはないかも知れません。仮にあっても休む程度で…大きく下がらずに成長路線に移行できるかもしれませんからね。

さてこのシナリオを考える前に、ECBはマイナス金利を採用したと騒いでいますが、あくまで中央銀行への預託に対する金利の事ですね。日本では当座預金の付利金利0.1%にあたるのでしょう。この金利をマイナスにすると言うものです。つまり銀行は何らかの手段を用いて市場に資金を流通させないと金利が稼げません。「安全は有料だ」と言う事なのですね。日本食への信頼感は、付加価値を有している訳です。カタルは消費者庁が訴えた改正景品表示法は、やり過ぎだと考えていますが…皮肉なことですね。安全が有料だとは…。阪神阪急ホテルズの社長が偽装表示から引責辞任しましたが、僕の倫理観からすれば、辞めることはなかったと思っています。
しかしECBのマイナス金利をみて、安全は有料であり、日本のブランドは、このような厳格な処置があってこそ、価値を帯びるのかも知れません。この判断は難しいですね。全く関係ない事象ですが…ECBは国債を買うと言っても寄せ集めなので、米国や日本のような選択はなかったのでしょう。ただ既にイギリスは利上げを検討する段階ですからね。イタリアを始め、スペインなどの国債金利も落ち着いています。

外部要因は、中国の粛清から生まれている混乱が気になる程度ですが、自動車ローンの採用拡大などがあり、成長率が急落する可能性は低いのでしょう。確かに不動産取引は鈍っています。しかしカタルには順調に、市場原理化が進んでいるように感じています。過度の心配は、必要ないでしょう。一方、国内は建設、サービスなど人材不足が問われるようになり、日増しにこの声が増しています。おそらくベトナムから看護師や介護士を受け入れたように、建設要員も海外から確保するのでしょう。

カタルの構想の一つ「1300兆円の逆襲」の支援材料です。10万人単位での規模採用は必要で、ロンドンの地価上昇は、移民流入の影響が大きいのですね。カタルはロンドンをもイメージしていますね。そこまで拡大するかどうか分かりませんが…、ケネディクスの相場は、非常に息が長いのです。単純に4桁から4000円、1万円と考えないでくださいね。日揮のケースをみれば、分かりますよ。カタル銘柄、第一弾の日揮は、300円割れから最近4000円台に入ったのですね。ただケネディクスは、もっと仕手っぽいですが…。やはり1万円になるとしても…オリンピック辺りで、かなり時間が掛かるでしょう。だって移民の事を考えても、背景が分かりますね。こんな事は常識ですよ。

何か…本題に、なかなか入れませんね。
えぇ~い、面倒だから、結論を先に述べると…。夏枯れ相場で大きく下げる可能性は非常に低いのです。理由はチャートです。既に昨年5月から中段揉み合いを形成しており、実質的には1年も調整を続けています。しかもこの形が横這いのボックスです。そうして、なにより企業経営者が、積極姿勢に転換し始めていますから、設備投資に前向きになっています。溢れるキャッシュの積み上げは、インフレ率が高まりますと、現金より物への投資が進みます。例えば…ソフトバンクのスプリントへの買収をみて、LIXILはグローエGへの買収に動き、サントリーや保守的なミツカンまでもM&Aに出ましたね。最近では東芝やトヨタにパナソニック、イオンも投資額を拡大させています。ここにきて川重のタイからの生産移転は、新しい流れですね。つまり、ようやくデフレマインドが溶解しはじめています。だから仮に夏枯れがあっても、横ばい止まりとの見方が有力ですね。それはロングチャートをみると理解できます。そのチャートを掲げ、今日は此処で打ち止めです。ただ何度も言いますが、株価が上がっており、ブツブツの金言を想い出してくださいね。どんな好材料も、株価が上がれば、やはり売り要因なのです。特に追証を経験した人は安全を優先すべきでしょう。チャンスは何度もやってきます。慌てることはありません。

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