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コラム

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出世株の研究(日本通信)(2014年07月20日)

今日は、今年の出世株の日本通信を題材にして、株価の動きを解説しようと思います。このケースは、一般的な株価の動きが、凝縮されているように感じられますので…取り上げるわけです。株価が大きく上がるためには…様々な要素が必要です。相場環境により、市場での資金流入額が違いますから、物色銘柄も変わる訳です。市場に大量の資金が流入しているときに、このような過小資本の銘柄を人気にしても、株価だけが飛ぶだけで商売になりません。この株は今年前半の全体の株が調整している最中に生まれています。つまり買うための資金流入が、殆どないのですね。

最初の仕掛けは、昨年10月17日のようです。31日の段階では出来高が82280株とこれまでの10倍以上に膨らんでいますから…この辺りから、筋の介入が開始されたのでしょう。当時の株価は5千台ですから、今の株価に変更すると50円台と言うことになります。11月下旬より一気に出来高が膨らみ、12月2日には38万株を記録しています。ここで序盤の仕掛けはピークを迎え休みに入ります。日経新聞一面に、材料が表面化したのは1月28日ですね。たしか…。この時に流石、日経新聞ですね。一気に市場の注目を浴び、出来高は45万株と膨らみますね。おそらく…仕掛け筋の意向でしょう。

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この時期の全体市況は、正月気分も冷め一気に下落している最中です。全体相場は2月4日に最初のボトムを形成します。全体が下がっているときに孤軍奮闘している姿が分かりますね。此処が大切なのです。この1月28日の記事から、一連の動きをみて、カタルは株式教室で「分岐点で人気株は生まれる」とのレポートを、3月1日に掲載しております。この時は「ミクシィ」を中心に取り上げ、「日本通信」と…2銘柄を掲げています。この中の最後に、「むしろ日本通信の政策関連で生まれる利益の質はゲームより良く、チャート面からも期待されるように感じています。」と述べていますね。証券マンなら取り上げる場面ですね。1月28日の材料発表から、「じり高」を続けているのです。玉が吸い上がっています。しかも全体市況が下げている最中の出来事です。まさに題材の「分岐点で人気株は生まれる」という名言の実証ですね。

一番不思議だったのが…売買単位の変更で、一気に1/100にしたことですね。だって人気のない時には、株価は5000円台の訳ですから…通常は1/10にして500円台にすべきなのに一気に1/100ですからね。おそらく背景に何かあったのでしょうね。売買単位の変更から、一気に人気が沸騰し、株価はこれまでの1万円台(100円台)から400円台まで、入りますね。いよいよ第一ステージが終了して、第二ラウンドの始まりです。カタルは当時の一株利益予想が571円、つまり5円台でしたからPER100倍で500円程度が限度だろうと考えて居ました。しかし期が変わり、新しい四季報では12.6円の予想に変わりましたね。でも全体市況が回復し始めた5月下旬には、役目を終えるかと考えて居ました。事実、5月28日は出来高が8千万株「C」に大きく膨らんでいます。この時の高値は737円で引け値は720円です。

しかしすごいですね。通常は全体市況が回復し始めれば「お役目御免」となるものですが…6月24日に出来高が1億株を超えて第三ステージに入ります。まさにエリオット様さまです。株価のチャート論を勉強された方は分かると思いますが、エリオットが様々なチャートを勉強した結果、エリオットの株価波動論と言うものが一般化しています。上昇相場は通常3つの波を迎え、下降相場は2つの波で、ワンセットと考える株価波動論は有名です。日本通信は、見事にその形を形成しています。おそらく七夕の7月7日に出来高1億4千万株で1268円を付けて休んでいますから…、このエリオットの第三波で相場は終了したのでしょう。しかし同時にエリオットは時々、延長波と言うイレギュラー波動があるとも述べていますから、絶対ではないでしょうが…、非常に綺麗な形で上昇相場が形成されたパターンです。

最初に仕掛けた筋が、最後まで関与していたかどうかわかりません。通常、このような相場の場合、次々に別の仕掛けグループの参入があるからですね。大きくなる相場のパターンは、新規の参入者が次々に現れるパターンです。そうしてカタルのように500円を超えた段階でやり過ぎを感じていましたから…最初に仕掛けた連中が、こんなバカな…と、空売りに回るパターンが、最も大相場に突入するパターンです。だって考えてください。50円の株が、短期間で5倍や10倍になれば…行き過ぎだと感じますからね。この株は現物株ですから、一般の人は空売りに参入できませんが、ヘッジファンドは色んな伝手がありますから、売ることもできるでしょう。まだ完全に終わったと…断言はできませんが、ほぼ終了でしょうね。仮に新高値をイレギュラーで付けたとしても、最後のあがきでしょう。

でも綺麗な上昇パターンですね。カタルは日経報道の1面をみて、行けると考えて居た訳ですが…それにしても、ここまで成長するとは…驚きです。全体市況が低迷していたから生まれた株とも言えます。この辺りの空気は、相場を知っている人しか理解できないと思いますが…様々な要因が重なり、このような結果が生まれるわけですね。この辺りの観測は、日々変化しています。だからカタルは日々、自分の相場観も修正している訳です。何も慌てることはないのですね。素質のある株は、必ず狙う人が出てきます。潜在的な魅力を抱えている銘柄をウォッチして、継続的にデータを取っておきます。そうすると変化が現れれば、必ず分かりますから、その変化を待って自分も参入すればいいのです。だから素質のある株を継続的に観察しておくことが大切なのですね。さて今日は今年の出世株、日本通信を題材にして、これからの投資の参考に活かそうと思い、少し振り返ってみました。それでは、また明日。