思わぬ相場の真実が発見できる

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司馬遼太郎(2014年07月27日)

カタルは自分達の立ち位置を知るためには、いつも時間軸を変化させて観てみると良いと述べています。人間はどうしても短絡的に目先の動きに左右されます。人生80年とすれば、生きている中で5年、10年は大きな時間ではありません。でも僅か3年程度でも、置かれた環境に於いては…我慢がきかないものです。人間は目先で行動する動物なのですね。一時的な感情で己の立ち位置を見失います。

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昨日、司馬遼太郎さんの番組を、NHKで取り上げていました。司馬さんは近代史の英雄を数多く採り上げ、小説として世に送っています。しかし昭和という時代の小説を書こうとしますが…真実を知るに至って、彼はだんだん書けなくなるのでしょうね。真実を知れば、知るほど…小説が書けなくなり、晩年は「この国のかたち」と言う随筆を残されています。更に「21世紀に生きる君たちへ」と言う本を残され、「いたわり」「他人の痛みを感じること」「やさしさ」と言う心を、訓練して身に付けねばならないと結んでいます。

彼は実際に戦車部隊に配属されソ連と戦い、圧倒的に劣勢な装備で無駄死を強いる軍部の作戦を強く批判していました。きっとノモハン事件などを小説にしようと思い、実際の資料集めをして、関係者に実話を聴いて回っていたのでしょう。しかし…。彼の気持ちの変化は良く分かります。歴史は繰り返すと言いますが…「失われた時代」を歩合セールスとして、証券マン時代を過ごしたカタルは、きっと司馬さんと同じような挫折感を覚えているのでしょう。彼は独走する関東軍を追っていました。太平洋戦争の口火を切った参謀本部の実態です。司馬さんの一兵卒ですが、カタルも末端の歩合セールスです。株の事だけを考えれば良かったのに…最後に行きつく所は、「政策の選択」に行きます。司馬さんは「作戦の選択」ですかね。

罪悪人の三重野さんや宮沢さんは、既に亡くなりましたが…間違った政策選択をした歴史は繰り返されますからね。関東軍の服部卓四郎や辻正信達は、まさに日本人を貶めた、切っ掛けを作った人達です。半藤さんなどは、辻正信を極悪人として描いていますね。辻の最後は失踪し、家族の失踪宣告請求で死亡とされたものですが…真相は分かりません。司馬さんは、自分が味わった苦汁を…どうして、あんなバカな事が起ったのか? 自分なりに調べ、最初は小説にしようと思ったのでしょうが…。最後になると、書けなくなったと言うのが真相なのでしょう。

現代の世も一緒です。確かに元日銀総裁の白川さん達が述べている論法は、正論に聞こえます。日銀の役割は充分に果たしていたとも言えますが…それは時代が、後で決めることです。ハッキリ言って、市場が政策の真価を決めるのです。自己評価をして…自分達を正当化させているようにカタルには思えますね。今回の黒田さんはどうなのでしょう。インフレターゲット論を掲げ、自信を持って運用しているように見えますが…結果が伴わなければ…いくら自らを正当化しても無駄です。カタルのベンチャリのようなものですね。なかなか客観評価は難しいものです。

株式の選択や相場の選択を考える段階で…、このような歴史観は非常に大切です。カタルは歩合セールスとして第一線を戦い、「この国のかたち」を考えるようになりました。既得権力者の村意識は、グローバル化の進展を大きく遅らせたのです。それを可能にしたのがメディアの間違った誘導です。太平洋戦争に突入した時も朝日新聞は交戦論を掲げていたと言います。その陰で動いていた人物が辻などの…輩なのでしょう。日本の失われた時代の自殺者の数などをみれば…政策の選択の失敗は、殺人行為と同じですね。

安倍さんは、中韓との関係の修復にあたり、司馬さんが書かれた「21世紀を生きる君たちへ」と言う本を、もう一度、読み直すべきかもしれませんね。戦争を知らない僕たちは過去の日本人が犯した過ちに対し、もう少し、謙虚になるべきかもしれません。卑屈になる必要はないでしょうが…傷ついた人達への思いやりの心は、やはり必要なのでしょう。靖国参拝か…難しい問題ですね。