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コラム

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失われた時代の出口(2014年08月31日)

昨日は「希望」をテーマに原稿を書きました。デフレ社会の失われた時代である「日本化現象」、それを生んだのは生産移転による空洞化ですが…。これは2008年から始まる円高推移で峠を超えます。これまで110円から120円前後で推移していた相場が2008年に100円を割れ、2011年8月には75円台に入ります。この過程で行き過ぎた生産移転が起こっていますね。この事は、なかなか戻らない国内生産回帰と貿易赤字をみれば明らかです。


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2009年1月に日産のマーチの生産移転が報道されています。常識で考えて…僅かな利幅しか生まれない量産車までもが、タイから日本へ輸送費をかけて逆輸入しても採算に合うと言うのですね。この動きからタイは一気に自動車の下請け体制が整い、各社が入り乱れて生産移転をします。カタルはこの動きをみて…日本の長い構造調整が、完全に終わったと思ったのです。グローバル価格への転換、所謂、失われた時代の終了ですね。

同時に…カタルは2010年から中国の自動車生産に絡み、国内生産に依存しているマツダに、この時期から注目し始めます。当時の株価は200円台だったと思います。でも間違いでしたね。やはり為替の転換なくして、マツダの回復はなく、結局、異次元緩和実現までの2年以上も、本格的な上昇相場を待たされたのです。相場の素質の芽はあるが、条件が整うかどうか…の選択ミスです。あまり早くに、先回りして待つのもどうかと言う実例ですね。日揮の時もそうでしたね。石油価格上昇を見て、日揮のリストラからの一連の行動は成功すると読んだのですが、あの時は1年間、待たされました。

今日の原稿は、昨日からの続きを書いていますが、既に日本は完全に新しい時代へ突入していると思っています。ただ今回、指摘されている様に、消費増税による反動減から生まれるデフレマインドの復活(アベマゲドンリスク)ですが、これはおそらく消費税の3%と言う、いきなりの引上げへの選択が、きっと間違っていたのでしょう。あの時、カタルは1%ずつ、毎年、引き上げる、段階的な引き上げを主張していました。もしその選択なら…と、今では思います。(まだ、結果は分かりませんが…)菅政権が原発事故の責任を、自然災害によるものと処理し、東電には1兆~2兆円程度の有限責任にして、あとは国家責任と…位置づけなかった選択と、同じような間違いをしたのかも知れません。政策の選択も、なかなか難しいものです。

日本は大丈夫なのですが…。カタルが一番恐れているのは、皆さんは意外に思うでしょうが米国ですね。未だに金融界に制裁を科し、課徴金を巻き上げています。今の回復は「見せかけの回復」なのですね。仮にFRBが正常化を急ぐと…日本と同じ間違いを犯すことになります。日本はマネタリベースを、一気に前年度でマイナス圏まで絞ったのですね。通常の金融界の体力なら耐えられたと思いますが、ユトリがない時に間違った選択をすると二番底を叩くのですね。2003年に一度立ち上がったのに…、再び日本経済は2012年の異次元緩和まで、待たされました。カタルが投資で一本立ちしようと…証券マンを辞めたのは、2010年11月です。2010年10月の包括的金融政策の採用で…相場は立ち上がると思っていたのですが…、翌年3月の大震災、続く欧州危機…などの動きを読み間違いましたね。

今こそ、何らかの政策支援が必要ですね。一番効果があるのは、当座預金に対する付利金利0.1%の撤廃と、ETFの買い入れ額の増額でしょう。特にETFの買い入れ増額はかなりインパクトがあります。安倍政権の生命線は、株価ですからね。ここで一気に消費税の反動減からデフレマインドが復活すると、折角、無理して賃金の引き上げに動いた行動などが無駄になりますね。天候不順など…明らかにマイナス要因が見えている訳で、組閣後すぐに、日銀と共に動く対策が、何かしら必要に感じます。でも…ね。もう既に景気は浮上しているのです。それはPDPや雅叙園などの動きが証明しています。おそらく資産価格の実態は、2006年から2007年のピーク当時の相場に戻っているのでしょうね。

さてお約束のケネディクスの説明会ですが…基本的な収益構造が説明されていますから、良く見ておいてくださいね。基本的にケネディクスの収益は、二本立てです。受託資産(AUM)管理で得られる安定的な管理手数料が、AUMの0.5%と説明されていますが…もう少し高いのでしょうね。仮に今期末の1兆4000億円が達成されると、およそ70億円がこの安定収益になります。実効税率40%とすれば、42億円が最終利益として計上され、一株利益は15.8円です。

さて問題は不動産の値上がり益なのですが…。2007年から始まった不動産の下落による減損分が…どの程度あるのでしょう。細かく分析せねばなりませんが…概算で見る為に営業利益と最終利益の差を見てみましょう。2008年の営業利益は162億67百万円ですが、最終利益は108億50百万円の赤字です。つまりこの合計額271億17百万円が、減損処理で蓄積された見えない利益ですね。このように集計していくと…2009年は268億71百万円、2010年は98億73百万円、2011年は56億18百万円、2012年は159億65百万円…と続きます。

勿論、この計算は金融費用などを考えておらずに、あくまでも一つの目安です。カタルは異次元緩和により、日本経済は一気にバブル崩壊後のピークに資産価格が戻り、暫くするとそのピークを抜いて、本格的な日本経済の発展に繋がると考えています。だからこの減損会計分の利益が、ここ数年で回復すると思っていますね。事実、東京駅隣のPCPの売却価格や目黒の雅叙園、軍艦ビルなど…不良債権処理が、ここ1年程で一気に進みました。

ざっと…見えない利益は854億円ですね。実効税率が40%として512億円ですから一株利益が192円分になります。これを3年で消化するとして1年平均が64円です。だからAUMが一気に増加するポイントである年末年始から、商業リート、介護リートの上場が控える来年前半に、一株利益は急上昇すると考えています。最近の投資案件を見てください。ブリッジファンドとオポチュニスティック投資(値上がり期待)が、中心ですね。このような神業がなされるのは…1兆円を大きく超える受託資産残高がある為ですね。通常、高採算の不動産の外部調達などは…出来ませんね。豊富な不動産の蓄積がある為に、継続的に利益を計上し続けることが可能なのですね。

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ケネディクスの収益拡大は、AUMが拡大する時期と一致するわけです。だからカタルは何度も…疑問を呈しているのです。6月末のAUMは1兆2527億円ですが…12月に1兆4000億円に…一気に1473億円も増やすと言っているのです。確かに…この半年で464億円と、受託資産を伸ばしました。ピーク時利益を掲げた2007年の146億円の最終利益は、2006年末の5444億円から2007年末に7349億円と…1905億円増える過程で、利益が生まれています。今回は、これを超える1937億円を増やすと言っているのですね。在庫不動産があるから可能とも言えますが…本当かな?と疑心暗鬼な見方も一部に残っています。でも外部環境は、一気に改善しているようですね。

今期は未だに減損会計処理が残り、利益が圧縮されますが…来期はこの減損分がなくなり、更に大型リートの上場を、二つも控えていますね。だから今年の年末年始、来春のリート上場時、更に数字が確定する再来年の2月まで、ケネディクスにとって…バラ色相場が予想されます。ここで投資家心理を考えてみましょう。カタルも良くメールを貰いますが…ケネディクスの株主は、相当イライラしている様子が窺えます。おそらく株価が500円から600円に上昇する過程で、多くの人がヤレヤレの戻り売りを実行するでしょう。そうして800円を超えた辺りから、こんな筈はない…と、信用による空売りが増えると思われます。ここからが、株式相場として面白い場面です。今年の日本通信が500円を超えてから、株価が加速したように…ケネディクスも4ケタを超えた所から、株価は一気に加速するでしょうね。この辺りまで…、カタルは予測しています。

問題は…政策の選択なのですね。デフレマインドが復活すると…折角、起きている投資期待が萎みます。間延びするケースもありますね。この辺りの見極めがヘッジファンドもおそらく出来ないのでしょうね。だから飛びそうで、飛ばない展開が続き、イライラ感がどんどん蓄積されるのです。このイライラ感は溜まり、高まるほど爆発力が高まります。未来の相場のエネルギーなのです。分かるかな? だからカタルは、このモタツキは大歓迎です。一気にオルガスムスを達成させては面白くない。夜は長いのです。少し表現が卑猥かな…。この辺りの事を…、今日の日経新聞の3面で、「景気にまさかの下振れ」と滝田さんがコラムを書いているのですね。それでは、また明日。