後ろに下がって…(2014年09月14日)
先ず…多くの皆さんは日足のチャートしか見ないと思いますが、基本的に企業業績は景気変動などの大きな波に左右されます。失われた25年のデフレ環境下では、資産劣化があるので、それ以上の効率を上げないと投資効果が見込まれません。わが国の資産劣化は土地の場合で2477兆円(1990年)から1143兆円(2012年)に下がっていますので、毎年2.3%程度、劣化していたわけです。もう一つが構造変化ですね。例えばガソリン車の燃費は、毎年大きく改善され、ガソリンスタンドがどんどん消えて行ったように…大きな構造変化は、数年かけて進行します。この失われた時代において、打たれた金融政策や財政政策は焼け石に水でしたが、それなりに構造変化に対する準備期間を与えた訳です。だから一気に構造変化が進行したわけではなく緩やかに進行したのです。その分、人間心理に与える影響は大きく、構造変化に伴う衝撃により、自殺者が増えたり…うつ病が増えたり…の精神的な打撃は増したのでしょう。「流動性の罠」は、きっと劇的変化を避けた緩和策の副作用なのでしょうね。
今日はテクニカル論を論じる前に、株価を決める企業業績は、2年、3年のタイムラグで動くと言う事を、よく認識してほしいのです。だから通常は、企業環境さえ味方になるなら20年連続増益とか…に、なる訳ですね。しかし途中で時代が大きく変化し、特別損失を計上する場合があります。多額投資をしたのに…戦争で投資が回収する前に壊れたとか…。イラン革命では、実際に石油精製プラント(イラン・ジャパン石油化学)が完成間際の85%まで建設されていたのに…撤退を余儀なくされ、三井物産を中心とする企業は、大きく傾きましたね。
日揮は、工事遅延などにより実際の支出が、見積額(受注額)を大幅に超過したので、多額の損失を計上しました。パナマ運河の様に…途中で見込みが外れ、受注額を大幅に上回る建設費の為に、増額を求めたストなどを…日本はしませんね。損失は自ら被るのです。その後、石油価格の上昇と言う環境に助けられ、更に、この失敗が糧になり、日揮は10年以上も、好調な業績推移を続けています。つまりカタルが、ここで述べたいのは…株価を観るうえで大切なのは、中長期的な動きを大切にしなくてはならないと言う事です。
だからカタルは、迷ったら、いつも「時間軸を引き延ばせ!」と述べています。丁度、絵画を鑑賞する時に、後ろに下がって全体像を観る行動に似ていますね。先ずは…自分の今の「立ち位置」(時間)を確認しなくてはなりません。カタルはケネディクスを題材に選んでいるので、日本の資産価格は、確実にターニングポイントを迎え既に反転しています。もともと収益還元法価格と言う賃貸収入から得られる収益が、金利水準を上回った1997~98年頃に、第一の底値を付けたのですね。丁度、ダヴィンチが創業した時期です。その後、米国発の金融危機の影響と金融庁の厳格な査定が重なり、日本の土地価格は二番底を入れました。
ご丁寧に、二番底を入れているから…故にケネディクスの週足を観ると、非常に綺麗な上昇波動に突入したように見えます。その様子を、先ずは時間軸の長い、週足で確認してください。如何でしょう?
現時点は、金融危機を受けたボックス相場の高値圏で、株価は揉み合いを演じています。次のステップに向けた準備作業に、カタルには見えます。事実、あまりに多い支援記事なので…いちいち解説しなくなりましたが、9/12日金曜日の2面には「オフィス需要、地方波及」となっており、ようやく異次元緩和効果の広がり度合いが、確認できます。昨日の日経新聞には、リートの分配金総額推移のグラフが載っていました。このグラフを良く見てください。丁度、ダヴィンチが厳格な減損会計で、市場退場を迫れた時に、この総額は底入れしています。その年の秋に、日銀は包括的金融政策を採用したのです。2010年10月です。
確かに黒田総裁の異次元緩和は、景気回復のアクセルを踏み込んだのです。金融政策は実体経済に与える影響は、「流動性の罠」の影響もあり、近年ではタイムラグが大きく伸びています。通常は半年から1年程度経てば、実態経済にその影響が出てきますが…。現状はこの効果が明らかに延びていますね。それだけ政策に対する市場の信認は「失われた時代」により消えたのです。今、日銀は必死になって、市場の信頼を取り戻そうとしています。その様子が、昨日の日経新聞5面の短期国債ですが、「マイナス金利 定着?」と言う記事ですね。おそらく銀行が、日銀に預けている当座預金金利0.1%も撤廃されるのでしょう。またはECBの様に…懲罰的な意味を含め、マイナス金利を採用するかもしれません。
余談ですが…。本日の自己資本比率規制ですが…。明らかに、やり過ぎですね。オバマ政権はレイムダック化しており、おそらく実施されないと考えています。現状で充分でしょう。常識的に考え20%と言うのは、5社に1社が倒産する確率です。世界中が同じ間違いに陥る金融危機のような事例を、想定する事が、おかしいですね。狂っています。三菱UFJの取引先は分散されており、融資業種も多岐にわたります。このような記事は、無視ですね。ただ現状の世界経済の立ち位置が分かります。丁度、ダヴィンチが上場廃止に追い込まれた…日本の2010年当時のイメージですね。米国の金融機関に対する制裁金報道、今日はHSBCが報道されていました。オバマ政権は、イラクの後処理など含め、マイナス面が大きいですね。
余談が長引くと筋が外れるので…急ぎます。中長期的な立ち位置の確認が出来れば、今度は目先論です。一気に目先に焦点を移しますが…スペースの関係です。ゴメンね。丁寧に解説する時間もなく…。例えばケネディクスの、この所のチャートは微妙な形ですね。横ばい波動か…下降波動か悩みます。やはり信用残の圧力があり、新たな取得者との綱引きですね。その様子が、日々のチャートに現れます。最近は株価位置が高いのに…出来高が減っても株価が大きく下がりませんね。つまり浮動玉が吸い上がっているのでしょう。特定の大株主が買っているのでしょうね。この買い勢力との力関係は、必ずチャート面に現れます。
今年の2月頃から新たなファンドが参入し、更に5月にかけて参入の形跡がありますね。6月初めに出来高が大きく増えているのは、誰かが株価スピードが速すぎるとして、少し玉を外したのでしょう。故に一旦、軽い調整入りです。8月初めからの動きは、3月の底より、大きく下値位置が上がっています。確実にステップアップしている様子が窺えます。この3月からの上昇期間と上昇率は、8月からのステップに再現される可能性は高く、だんだん上昇期間も、上昇幅もスケールアップされていくのが、通常の形です。
基本的に株価は、だんだん人気を集め、最後は異常なほど…株価が大きく上がるものです。通常は巡航速度から離れると…、高値のその位置から、一気に2倍、3倍になるケースもあります。日本通信は良い事例です。100円台の株価の時間、カタルが高いと思い始めた500円台から、一気に加速し株価は、1200円まで伸びましたね。そうして調整入りです。この間に、企業業績の大きな変化は現れていませんから、必ず、まだ新たな相場が誕生します。取りあえず…「未来の見えない利益」に対する理想買いが終ったに過ぎません。次は、実際に企業業績が大きく増大していく時に、新たな相場が生まれるのでしょう。今回の日本通信は、株価が70円台から849円まで10倍以上になった理想買いを演じたケネディクスの局面(一昨年から昨年4月)と同じことです。ケネディクスは、既に1年と4カ月以上、休んでいます。日本通信も…1年以上の休憩は確定でしょう。
「理想」買いと「現実」買いは、株式投資のセットですね。企業業績の伸びが、実際に確認され始めると…今度は裏付けがあるので、機関投資家なども参入し、相場の厚みが大きく膨らみます。来年後半になれば、テレビの解説者は挙って、ケネディクスの優位性を語り始めるでしょう。だって企業業績が、大きく伸びますからね。カタルは少し早いですからね。一般の証券マンから、「買え」のセールスが来る頃は、大概の相場は、山を付けるものです。一番危険なのは…、企業業績からみて株価が割安に見える買い方です。割高の内は高値を追っても、別に怖くもありません。しかし割安株ほど…恐いものはありません。
今日は簡単にチャート面から解説しました。途中の休み方にも色んな形があります。最近はこの中段揉み合いのかたちを良く解説しています。一番強いのは、下値が切り上がり右肩上がりの形になる場合です。大幅な立ち上がりから、このような形が生まれると…二段上げの確率が高くなります。それでは、また明日。