信用創造と流動性の罠(2014年09月23日)
今日はお勉強の日です。カタルが何度も「信用創造機能の復活」を訴えている根拠ですね。何故、日本は日銀が必死になって異次元の量的緩和を実施しているのに、なかなかマネーサプライが伸びないのか? マネーサプライとは…現在はマネーストックと言われ、市中に出回っているお金の量の事です。基本的に現金や銀行預金などの事の総称です。経済活動が活発になれば、お金の流通が速くなり、お金が前年比で大きく伸びるのですね。付加価値(GDP)が増大していることは、経済規模が拡大していることを示します。
ここで本日の日経新聞にも、ROEの事が書かれていますが、これは少子高齢化での下で、GDPの増大、つまり規模の拡大が難しいから、経済の資質を高めることなのです。豊かさとは…利幅の追及です。売上高利益率の高い商売に、日本の経営資源を集中しなくてはなりません。その事を示しています。利幅の薄い規模の拡大を主眼に置くのは、少子高齢化の日本にとって間違った方策です。商売を選別して利幅の大きな商売だけを日本に残し、後は新興国にくれてあげればいいのです。DRAMなどの半導体なども…ある意味で、その部類でしょう。
このマネーストックの伸びをみると…、明らかに失われた時代下において、伸び率が鈍っています。そりゃ…、そうですね。デフレ下において資産への投資は、マイナス投資なのです。現金を黙って持っていれば、安全で且つ増えるわけです。これがデフレの世界、何もしないのが一番なのです。一方、インフレの世界は、「もの」に投資しなくてはなりません。資産投資しないと…どんどん、日銀券は劣化するのです。だからデフレ下において円高になって行ったとも言えます。今までの日銀は、ポーズの金融緩和政策を取って来ました。しかし実体経済に影響を与えない以上、マスターベーションの行為に似ています。所詮、自己満足の世界ですね。ようやく日銀は2010年秋に包括的金融政策を実施、ETFやリートの危険資産を自ら買い始めました。
この行為は、日銀券より株や土地の方が価値はあると…日銀、自ら宣言した行為ですね。だからカタル君は、自ら投資家の道を歩もうと決断したとも言えます。しかし大震災や欧州危機に揺れ、ダヴィンチの金子さんの様に、失敗だったわけです。カタルが思う以上に、世間は完全にデフレ感覚に染まっているのですね。そこで黒田さんは2012年秋じゃないね。実際は2013年4月から、異次元と呼ばれる量的緩和に、とうとう乗り出したのですね。しかしマネタリーベースを大きく伸ばし始めましたが…、なかなかマネーストックが伸びません。みんなデフレの世界に洗脳されているのです。ずいぶん長い時代でしたから、現役世代は、完全に世代替わりしています。みんなインフレの世界を知らないのです。
まだ統計上は、なかなかマネーストックが伸びませんが…、実社会に異次元緩和が効いていることは、明らかです。地方銀行は国債投資が出来ずに、仕方なくリートを購入しています。信用組合や信金などの上部団体は外債の購入を増やしています。だから円安になっているとも言えます。流石、孫氏です。銀座中央通のティファニービルを個人で買い、同時にスプリントの買収を決めました。この事を、よく知っている訳です。零細な馬鹿は大きな投資が出来ませんから、銀座のティファニービルは320億円もないから買えないけれど…、5万円のケネディクスなら買えるのです。だから仕方なしに、ケネディクスを買っている訳です。本当は…融資が下りるならマンションを買いますね。賃貸ではなく、そろそろ自分で資産購入をする時期です。
さてカタルは何度も、信用創造の必要性を述べているのは…市場でも象徴的な現象が必ず起こるのです。カタルが入社した時、1980年だったと思いますが…、第二次オイルショックの時期でした。市場では日本石油が大暴騰し…10倍程度になったのかな? 高値は、たしか2480円だったと思います。原油が上がっており…本来は石油精製なので筋が通りませんね。アラビア石油だったら分かりますが…。でも石油探査の為に試掘をするのですね。それで相場が沸いていました。必ず、時代を反映した相場が形成されるのです。
日本に必要なのは何か? 先ずはお金を動かす事です。その為には、資産価格が上昇する現実を、馬鹿な日本人に見せつけないとなりません。お金など道具にすぎないと…デフレ感覚を、一掃させる必要性があります。だから黒田さんは、円安を歓迎しているのです。インフレターゲット論の主エンジンですね。でも肝心の給料は追いつかないと…スタグフレーションと言う、物価は上がるが、景気は悪い最悪の事態になります。それを懸念して…相場は大きな上昇の前に、足踏みをしているのですね。まだスーパーなどの売り上げは戻りませんね。しかし心配は要りません。時間の問題です。
さて話を、通貨に戻しましょう。基本的に日銀がマネタリーベースを増やすと…乗数効果が働き、市中に出回るお金の量も増えます。ところが金融機関も、金融庁の検査が厳しく、なかなか融資先が見当たらないのです。そりゃそうですね。赤字でないところは…自己資金で投資が賄えます。川重の様に…将来の投資に備え借金を返すと言いますからね。おかしな企業行動です。本当はソフトバンクの様に、借金をさらに増やし、投資すべきなのです。でも日銀がマネタリーベースを増やす以上、市中にお金が回るのは当然です。マネーストックが増えれば…物の値段は上がります。株や土地が上がるのが当たり前ですね。こんなチャンスを、海外のヘッジファンドが逃す筈はありませんね。きっと彼らは為替を気にしているのでしょう。でもようやく110円に近づいてきました。
ここで貨幣乗数効果の劣化の様子を見てみましょう。残念ながら…、2003年に日銀は統計方法を変えており、古いものを簡単に探せませんでした。M2の平均残高が何処かにあると思うのですが…ゴメンね。昔は、この貨幣乗数効果は10倍以上だったのです。つまり基本的にマネタリーベースの増減により、市中に出回るお金の量を日銀はコントロールしているのですが…金融庁の検査など色んな理由で、なかなか超緩和状態にしてもお金が動かないのですね。この現象が「流動性の罠」です。次に貸し出しの伸びを観てみましょう。
残念ながら…如何にも日本らしいですね。此方のデータも2001年からのものしか…簡単に見つかりませんでした。昔の日本経済が、正常に動いていた時を皆さんにもお見せしたかったのですが…。きっと、何処かにデータがあると思うのですが…ゴメンね。あまり時間をかけて探すのは、怠け者のカタル君にとって…しんどいのです。如何にもデフレの世界のデータですね。
何故、日銀は昔のデータを簡単に探せないのでしょう。不思議な国ですね。FRBなどは昔のデータを時系列で、大恐慌時まで遡ってみることが出来ますね。これじゃ…目先主義と批判されても仕方がありません。でも明らかに…おかしいですね。カタルは1997年には、日本の資産価格は収益還元法価格と言う基準で評価され、借り入れを起こしても投資しても、充分に採算利回りに回る地価まで下げ、資産価格の構造改革を終えたのですね。
しかしその後も、貸し出しが減っています。カタルが金融庁を批判をしている理由がわかると思います。このデータによると…ボトムは2005年6月の387兆7502億円です。GDPが500兆円規模の国で…GDPを下回ることがおかしいのでしょう。だから「失われた時代」なのです。現在は437兆4327億円ですね。なかなか量的緩和にもかかわらず、貸し出しが伸びません。通常、GDP成長率を上回る伸びを示すのが当たり前ですね。
それでも2013年11月は異次元緩和を受け、3.11%の伸びをしました。しかし、また伸び率は2%台に逆戻りなのです。明らかにアベマゲドンリスクに脅えていますね。しかし…考えて貰うと分かりますが、既に日銀が国債を大量に買い入れており、ルビコン川を既に渡ったのです。引き返せないのですよ。ガラガラポンのリスクは増大しているのです。日銀券など…ただの紙くずに過ぎません。株や土地に資金は、必ず移動しますね。
今日は信用創造機能の重要性の根拠を…日銀データから探りました。このデータは日銀からのものですが…自分自身で確かめると…、より一層の理解が進む筈です。それではまた明日。