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注意が怠れないG20の指針(2014年10月12日)

長いデフレの影響で老人世代への優遇が目立ち、若者から搾取が続いている様子が今日の日経新聞にも現れています。働かない年金世代が優遇され、働く若者は「未来の夢」が感じられないほどの歪な構造になっています。昨日、フジテレビの「東京にオリンピックを呼んだ男」と言うテレビドラマの中で、荒廃から立ち上がる日本を見て、日本国民に「希望」を与える為にオリンピック誘致を…とのセリフがありました。日本に一番欠けているものは…この希望ですね。

ひまわり8号などの打ち上げ成功は、日本の技術力の高さを示すものです。青色発光ダイオードの開発のノーベル賞の受賞も、その一環で日本に希望をもたらしています。カタルは過去、何度も述べています。働く若者が20万円の給料の中から5万円を搾取され、働かない年金生活者が20万円も貰う仕組みは、何処か…おかしいのです。老人の医療費が、どうして現役世代より自己負担比率が低いのでしょう。統計資料を見ると…年寄りは弱者ではありませんね。社会的弱者は救わねばなりませんが…旅行に出歩く年寄りを社会負担で優遇すべきではありません。

このような…現状の多くの元凶が「デフレ政策」の為です。それなのに…円安不況で中小企業の保護を主張するような声が、最近は多くなって来ました。価格転嫁が出来ない企業なら、基本的に日本に必要がない企業なのですね。つまりROEの低い企業は必要がないのです。競争力の弱い企業から、強い企業へ優秀な人材が動くのは…当然の帰結です。名目GDPを伸ばす政策に主眼を置き、様々な雑音はしばらく無視して果敢に行動すれば、やがて正常な成長路線に復帰できます。株価が二段上げを前にもたついているのは…このシステム転換に移行する時間猶予なのです。名目重視の政策こそ、いまの日本に必要なのです。名目の世界が、若者に「希望」を与えるのですね。

さて今日は、今、話題の日本化現象の蔓延ですね。ドイツは欧州の金融危機が遠のき、ユーロの為替の適正化が進み、更に新興国の成長率が鈍化し始めたので、輸出主体の経済が減速しているのです。サムソンの苦境も同じ構造下にあります。サムソンのギャラクシーから、シャオミ(小米)に流れていると言います。ファーウェイ(華為技術)などが躍進しているのは、日本製の電子部品技術の進化のおかげです。本当に…村田はたいしたものですね。たかが陶器を焼いていた町工場だった会社が…製品を納入していた島津や三菱電機を、凌駕しているのです。経営者の手腕ですね。技術進化を生む源は「希望」です。今日より、明日の世界が良くなる名目重視の成長なのです。

世界経済は、スマート・コミュニティーの世界に向かう狭間にあります。電脳の世界ですね。クラウドを重視すると、やがてSFの世界に向かいます。この技術進化が次の先進国の課題ですが…自動車生産などの過去の呪縛に、政策が縛られているのですね。カタルはレストアの番組が好きで、よく見ていました。自動車の性能をアップさせるための技術進化など、もう充分ですね。今は自動走行などのIVIの進化です。クラウド環境を利用した情報の活用を制するために、世界のトップは凌ぎを削っています。グーグル、テスラなど新規参入業者が、開発に名乗りを上げているのは、大きな社会変革期に位置しているためです。カタルが007に魅了されているのも、村田が資本参加したためですね。あの村田に認められた技術開花は、間もなく始まります。

今、全体株価が下げているのは…、おそらく株価上昇に時代変化が追い付いてない為の調整なのですね。株価って…面白いのです。基本的に高値に挑戦しますが…、企業業績の推移などの波が、株価に見合わないと…必ず、調整と言う過程を歩みます。一度、変化を確かめる行動ですね。今回の欧州や日本の成長鈍化、原油安の新興国経済の低迷など…。一度、リスクを株価に反映させるのです。市場参加者に悪材料を認知させるのですね。このリスク認識が一般化すると…調整が一巡します。そうすると再び、新しい時代にチャレンジします。過去のカタル銘柄を見ると…良く「時間」を間違えています。大きく株価が上がるタイミングが、なかなか把握できないのです。上がる銘柄は、時代の流れを読んでいるので、大概は当たっていますが…、上がるタイミングを外しているケースが殆どです。

たぶん「自己の欲」が、原因なのですね。現在市場で認識されているアベマゲドンリスク(スタグフレーション)は、昨年末に判明していました。もう直ぐ1年ですね。実体経済が、円安で…悲鳴を上げているからですね。今、新聞や国会質問に取り上げられている様に…。ようやく昨年末に指摘したアベマゲドンリスクが一般化しています。カタルは異次元緩和が続いている以上、実態経済は、確実に正しい方向に進展していると述べています。

理由は、国債に眠る0.5%の運用から、どんどん資金が解き放れ3%、4%のリートの世界に流れています。だから地価は上がり、株価も上がっています。これが名目重視の世界ですね。これまでは実質重視で、地価や株価が下がり、その損失を実体経済の利益の中から補ってきました。年金の積み立て不足などはその一例です。本業の儲けから補ってきたのですね。しかし、今度は逆になります。資産効果を無視しては駄目ですね。

若者の賃金が毎年上がる世界なら、低金利で借金をして家を買えば…借金は財産になります。毎月、返済するローンは、貯蓄と同じ効果をもたらしますね。過去の日本はそうでした。名目重視で…物価は毎年、上がったのです。懐かしいですね。トイレット・ペーパーが店頭から消えるほど、狂乱した時代があったのです。スピードが速いから、円安物価高に対する批判が生まれます。しかし少し批判が生まれる程度のインフレは、適正な成長過程なのでしょう。おそらく、世界経済の中で日本は、かなり恵まれた条件下にあります。シェールガスなどの恩恵はありませんが…溢れる中産階級を抱えるアジア圏に、一番近いですからね。ここにROEに、目覚める企業経営者を重ねると、ユニクロのような企業が多く誕生します。ニトリはじつに良い会社ですよ。本来は逆風なのに…米国や中国にようやく出店し、おそらく2年から3年遅れで、ユニクロを追っているイメージですね。村田もそうでしたが、何処も創業社長はたいしたものですね。

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NY市場は8月の安値16368ドル、4月の安値16026ドルの二つを下回ってから、心配すれば…良いです。確かに…横ばい波動入りの可能性は濃厚です。ピムコのビル・グロス氏が、何故、規模の小さな所に移籍したか…。基本的に、大きな転機を米国は迎えているから、規模が大きいと運用が難しいからかもしれません。

G20で発表された金融機関に対する規制強化は、明らかに、的外れな規制に見えます。弱体化した金融に、鞭を打つような規制に見えますね。不慮の事態に備える為に、CDSなどの金融デリバティブが発展したのです。このような指針は、つまり自己資本比率にしても同じですが…金融機能の行動を縛りますね。この動きが、果たして…実際に採用されるか分かりませんが、その事を懸念している下げだとしたら…本格的な調整も免れないかもしれません。

そうすると…NY市場は、現在想定している16500割れ前後で止まらずに、15500前後もあり得ますね。場合によれば…2007年の高値14000ドル割れ辺りまで…株価は下げるかもしれません。ただ…いきなり下げるわけではないですよ。通常は、1年程度の高値揉み合いは常識です。今は、頭の片隅に入れる程度で良いのでしょう。

市場で言われている世界経済の停滞は、基本的に金融危機により民間で失われた信用機能が、中央銀行の信用補完で補われていましたが、それが外れることへの恐怖ですね。その中央銀行の信用機能が、再び民間金融で満たされるなら…問題ありません。しかしG20のような過剰な規制は、その信用補完の移転を妨げます。折角、苦労して中央銀行が立て直した行為を無駄にします。この辺りの展開がどうなるか…注意を要します。

ただ日本も欧州も、シェールガス効果はなく、ようやく金融危機の後遺症から立ち直り始めたところです。スマート・シティー化の波は、スマフォから始まり、やがてクラウドに変化します。日本は基本的に長いデフレの出口に来ていますから…世界で、一番恵まれています。一つは、先ほど述べた中産階級が大きく増えるアジア市場の地理的な優位性と日本への信頼感です。さらに、ここが肝心ですが…。長かった構造改革により株価水準などが底辺位置にあるのです。PBRの改善は、ROEなどへ経営者の意識変化で激変します。日立では既に始まり、東芝の様に、赤字ではないのにリストラを敢行していますね。基本的に平時でも構造改革をするようになっています。これは利益率の低い産業から撤退し、利益率の高い所に、資金を適正に配分する行動です。

先ほど、カタルは述べています。地銀などが、低い金利の国債に眠る資金を、異次元緩和により、強制的に高い所に移し始めていると…。だから資金が適正に配分され始めていますから…、企業業績は、さらに向上します。ようやく異次元緩和効果が、徐々に波及し始めています。円安批判が出ると言う事は…マイナス面もありますが…、プラス面もあるのです。焦点を、どちらに充てるかの問題ですね。良く、その辺りを考えて置くと良いのでしょう。まもなく上昇するための下げだと…カタルは、現在の株安を考えています。明日は、日本株の三尊天井の形を見て、相場をテクニカル面から、解説しようと考えています。