凄腕ストラテジスト是山金蔵の

是金レポート

規制と改善(2005年03月12日)

株式分割、新株売買翌日にって記事が先日出ていた。良いも悪いもライブドアのおかげであろう。彼は法的には問題がないが、”なあなあ”の世界でやらないことになっていることをバンバンやり市場をかき乱す。それによって今までほったらかしになっていた、問題のある物事が整理され、改正されるのである。

1:100分割なんかもそうだし、市場外でのTOBなんかもそうだ。法的に問題がないのだからやってもええでしょ?と言う感じで使えるものはなんでも使う。それが既存の体制にメスを入れる。今回の新株売買だってライブドアのこの問題がなければ、いつまでもほったらかしであったわけで、”ライブドア VSフジテレビ”の話がメディアで取り上げられて騒がれれば騒がれるほど、いろいろな整備が整うのである。

ただ問題はいきすぎがあるかもしれないということだ。たとえば市場外、立会い外売買の規制などである。

空売り規制を考えればよくわかる。市場の下落が空売りのせいであるという一部の人の考えが、アップティックルールを生んだ。空売りは下値がたたけないのである。

そのおかげでなにが起こっているのか?空売りの人が下値をたたけないので、下げが悪質で長期化するリスクが出ている。具体的に見ると、たとえば5人の人がある銘柄に空売りをしようとしているとする。
①下値がたたけないので、オファーサイドで指値をする。
②それも5人がまとまって指値する。
③指値が厚くなることで、それ以外の投資家が現物で少しばかりの株数で下値をたた
く。
④買い方が売り指値の厚さをみて、買いがひっこむ
⑤少しばかりの売りで価格が下がる
⑥空売り筋が下がった価格をみてルールに従い、一斉に指値を下げる。
⑦それを見た投資家は現物でまた下値を売る。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。を繰り返す。

見ればわかるが、空売り筋はぜんぜん株が売れていないのである。売れないまま価格ばかりが下がる。それをみて買い方が引っ込む。値段は下がるが、売れないので需給は改善しないのである。つまり株価に戻りは期待できない。

一方下値がたたける場合はどうか?下値がたたけるので急激な下げになるが、売ってしまえば需給は改善する。空売りでのニューショートがたまり踏みがはいり、急激に株価が戻る展開もあるのである。

明らかにアップティックルールがないほうが市場には流動性もまし、ボラティリティも生まれる。ボラティリティのある市場は参加者も多く、結局株価にもプラスとなるのである。

確かに100円未満の株価の銘柄に空売りがいっせいにはいり、株価に企業がつぶされる場合もあろう、だったら100円未満になった銘柄にのみルールを適用すればいいのである。

市場にとって規制は少なければ少ないほどいい。今回の話で法整備が進むのはいいが、規制でガチガチにするのだけはやめてほしい。