ヘッジファンド破綻??(2005年05月13日)
米市場がヘッジファンドの破綻懸念で下げたと言うコメントが市場に多く見られる。
先日朝のニュースでもホリコ氏がこれに関して言及していたが、皆少し敏感になっているようだ。
それはヘッジファンドが1万ファンド、1兆ドルを超えると言うマーケットになっているからである。そして知らない人はどうしてもLTCMに関連づけて考えてしまう。「えらいこっちゃ~またヘッジファンド危機かいな。」と。。全世界でLTCMを救済にいったあのときの姿がダブル。。。
高いレバレッジ、流動性の問題、リスクの高い資産からの逃避。。。。その結果ファンドはアンワインドできなくなり、PB(プライムブローカー)はポジションを凍結し、結果破綻に追い込まれる
一番懸念されるのは
①若干言われているようなポジションがあり、損失をファンドが被る。
②うわさが広がり、ファンドが破綻するのでは?という風評が広がる。
③風評が広がり一人歩きする。
④投資家に不安が広がる。
⑤一部の投資家に解約の動きが出始める。
⑥解約の動きが徐々に広がり、ファンドは流動性の低い資産にも手をつけなければいけなくなる。
⑦ファンドのパフォーマンスがより悪化する。
⑧解約がより広がる。
⑨資産が凍結される。
⑩破綻。。。。。
という風評リスクが破綻につながるケースであろう。まあ銀行の取り付け騒ぎのようなもの。
では実際こういった状況になるのであろうか?破綻がうわさされたファンドはGLG、Highbridge、KBC,QVTといったところでこれらの個別ファンドの詳細な情報をとることは難しい。
しかし耳に入ってくる情報をまとめると破綻などではなく、ただたんにGMなどのポジションにおけるCDO、CDSと言ったクレジットの損失が膨らんだというものだ。
しかもうわさされているファンドには実際損失さえ被っていないものもあるようだ。うわさされたヘッジファンドはええ迷惑である。
ヘッジファンドが思惑をはって失敗し若干の損失を出しただけ。。。こんなことは日常茶飯事である。騒ぐほどのことか????
加えて現状のヘッジファンドの投資家層を考えればパニック的なことにはならないことがよく分かる。
通常ヘッジファンドの投資家はFOFが多いのである。
当然、投資家であるFOFはプロである。素人投資家の単なる金持ちと違い、きちんとしたデューデリをした後ファンドを購入する。うわさでオタオタすることはまずない?
またFOFはメジャーリスクやリスクメトリックスと言った高度なリスク管理システムを使っているところも多く、ファンドの中身までほぼ把握しているところもある。今やFOFは中身のファンドに対する情報をかなり把握できる状況なのである。
そしてそれぞれのファンドの特性を考え、リスクを見て、FOF自身がそのリスクをコントロールできる範囲で通常FOFに組み入れる。
リスクが大きいファンドの組み入れは当然小さくなる。1%とか0.5%とか。。。。ゆえに慌ててアンワインドなどという動きがでるのか????出ないのか?は考えれば分かる。でないのだ。
LTCMの時とは明らかに違うし、状況も違う。加えてあの時はヘッジファンドの運用は完全にブラックボックスで、それがまた投資家の不安心理を増幅させたのだ。今はかなり透明性も高く、損失の理由もはっきりしている。
”ヘッジファンド破綻”。。。。。。。話はショッキングなのだが、そんなマーケットのボラティリティが上昇するような話でもないと感じる。
そしてこれはあくまで”うわさ”なのだが、今回の話はどこにでもあるヘッジファンドがポジションを間違って損失を出したというものだ。通常ならば大騒ぎどころか、たいした話題にもならない。これがここまで大きな話になるということは、このRUMORを意図的に流したものがいるのでは?
今市場はボラティリティが極度に低い。この相場を張るものはボラティリティが低いと収益チャンスを失う。
ゆえに今回のちょっとした話を意図的に大きく流してボラティリティ増幅をねらったのではないかという
話も出ている。
いずれにせよたいした話ではないのである。うわさに振り回されてはいけない。