凄腕ストラテジスト是山金蔵の

是金レポート

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2005年09月26日

相場は本当に上げすぎなのか?

日経平均の上昇が止らない。押し目がないままの上昇についていけない投資家が続出する。機関投資家は債券ポートのヘッジで買っていたポジションを利ぐわされ、年金などの資産は株価上昇をうけた組み入れ調整で株式の売却を余儀なくされている。GMショックを受けた10770.58円から押し目らしい押し目もなくすでに2464円も上昇している。

投資家は上昇のピッチが早すぎるのと、「なにも変わってないじゃん。」との思いからなかなか相場上昇につけないでいる。投資家は「そろそろ一回押し目あるのとちゃう?そうしたらそこで買えばいいじゃん。」とひたすら相場が調整するのを待つのである。

が。。。。いかんせん相場に調整は見られない。そして9月末も近づき、中間期末終了後には当たり前だが、下期の運用がスタートする。ここまでの上昇で一旦きれいになってしまった機関投資家のエクイティロングポジションだが、下期に突入するともう一度ロングを作るかどうかの選択を迫られることになる。まさかショートから入るわけにもいかず、選択は”買う”か”様子を見る”かになる。

そこで現状のような押し目のない展開が仮に続いていたとする。下期もスタートしたばかりだ。。。。どうするか。。。。そら一回「買いから入って様子を見るか?」ってなる。そうなると1000~2000円を利食いで売り上がってきた投資家の援護射撃が加わり、外国人、個人、機関投資家により相場はもう一段上昇する可能性が出てくる。さあ~どうなることやら。。。。。

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k20050926a.gif

添付のファイルは日経平均の2000年頭からの推移である。現状の相場をみて上げすぎとか調整がなさすぎとか言う意見が多いが(私も?)これを見ると決してそんなことがないということが分かる。たとえば2000年4月~5月。20833.21円からたった2ヶ月で15870.25円、実に4962.96円率にして23.8%も調整した。

次に2000円7月から2001年3月までの下げ17661.11円から11433.88円まで6227.23円率にして35.25%。これは9ヶ月である。そして2001年3月から9月にかけての下げ。14556.11円から9382.95円。5173.16円の率35.53%。期間は5ヶ月である。

それらをひっくるめれば2000年4月12日の高値20833.21円~2004年4月 7603.76円の下げとなりその下げ幅13229.45円、率63.5%、期間37ヶ月にもおよぶ下げとなったのである。そこから考えれば今回は期間6ヶ月上昇率22.88%であり、上げ下げの勢いは2000年4~5月の足元にもおよばず、期間が同じくらいの2001年3月~2001年9月までの35.53%の6掛け程度なのである。

上げと下げの違いこそあれ、勢いと押し目のなさ、期間からみて今の相場は決して意外感のあるものではないと言えよう。そして本当に勢いがでるのは下げよりも上げ相場であることを考えると、この比較は間違いではないと言えよう。

相場の勢いと期間の長さは、その相場のトレンドに対する懐疑的な見方とイコールとなる。意外感があるからこそ、相場に勢いがつく。意外感が継続するからこそ、トレンドの期間がながくなるのだ。2000年からの下げは37ヶ月にも及んだ。今の相場上昇はわずか5~6ヶ月である。一回押し目がほしい気持ちには変わりないが、このまま行ってもおかしくはない。。。。。そして仮に調整しても本格上昇相場における踊り場でしかなく、そこは絶好の仕込み場になると考えることができるのだ。

2005年09月21日

物価上昇

21日 日経5面に”物価上昇、半数が予測”という話が出ている。日本リサーチ総合研究所による調査で今後1年間の物価見通しについて”上がる”と答えた割合が50.3%と前回の6月調査に比べ11.5ポイントも上がったという。物の値段って皆が”上がる”と思えば上がるものである。誰もが物価上昇を懸念するから,逆にそれは価格上昇を容認することとなり価格の上昇についていこうと思ってそれがまた物の値段を吊り上げることになる。

オイルショック時のトイレットペパーなんかその典型。原油価格上昇でトイレットペーパーがなくなるといううわさを信じてわれ先にと買いあさる結果、価格は上昇しものはなくなる。チュウリップバブルしかり、南海泡沫しかり。株でも物価でも皆が上がると予測し、行動を取ることで上昇するのである。問題はそれが実態を伴っているかどうかだ。伴っていなければ、価格のバブルははじけもとの水準にまで下落する。しかし実態があるものであれば、その上昇はトレンドを形成し、デフレからインフレへと流れが変わる。言うまでもなく今回は株価も物価も上昇は実態があり、トレンドを形成するものと思われる。

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そして1面には基準地価の記事。15年ぶりに上昇とある。現状はもっと地価は上昇しており、実際にはこの記事の話は1~2年程度前のことなのかな?って感じるが、こういった記事が出ることで一般の人は”土地の価格はもう下がらないのかな?”と思い始めるのである。不動産は下がるもの。土地は目減りするもの。ってのがここ15年間の日本の常識であった。土地を所有すればそれは、資産の目減りを覚悟しなければならないことを意味した。

で。。。個人の場合は家賃を払い続けるコストと”地価の下落+ローンに支払い”の額を比べ、今ならばどちらを持てばいいのか?って選択をすることとなった。逆に言えばそれが住宅の家賃を決めていたのかもしれない。が。。。。地価が上昇。。とまで言わなくとも下げ止ることで比較は、”家賃 VS ローンの支払い”となる。もしくは”家賃 VS ローン支払い - 物件上昇”となる。

家を買って住めば少なくとも”年間の家賃-ローン支払い-税金”分は浮く計算ができるようになった。「あ!!儲かる!儲かる!」って。。。。今までは地価の下落がその計算をさせなかった。が。。。計算ができることで、不動産を買おうと思う人が徐々に増え始めるのである。それがまた地価の下落を止め、反転上昇に拍車をかける。。。。。。。。日本の現状の地価上昇をバブルだと言う人がいるが、上がたって言うても所詮数%~十数%。あの名古屋でさえ30%である。ロンドンやアメリカの1年で倍って言うペースを考えれば、利回りも出ているしとてもとてもバブルだとは言えない。

バブルってのはインカムが期待できなくてキャピタル狙いの投資家が価格を吊り上げている状態を言う。不動産ファンドバブルってのもおかしい。まだ彼らが購入しているのは、そうはいっても利回りが出ているからである。別に価格を吊り上げているわけではない。今までが安すぎたからそう感じるだけだ。またコンバージョンやリフォームによって場所によっては資産価値を上げることが可能となったことも大きい。割高だと思って売却した物件を久しぶりに見て「あれぜんぜん儲けがないって思ってた物件、手を入れたらあんなに空室率下がって賃料とれるんや!しまったあ~安く売りすぎたあ~」ってね。

資産デフレは終焉する。
流れは確実にものの価格が上昇する方向に向かっているものと感じる。

2005年09月20日

13000円クリア

やっと20日に13000円を日経平均は抜ける。抜けたかと思えばいっきに上方へ駆け上がる。12000円の時もそうであった。このポイントを抜けたのは郵政法案反対を受け思惑売りで下がった反動によってであった。それは縮んだバネの反発によってであった。12500円は一旦抜けはしたものの、上髭であり、クリアするのに1週間かかった。

13000円に関しては2度にわたりトライするも、まだ一度も13000円の大台を見ることがない状況だ。それが20日、なにもない状況でいっきに抜けることとなる。13000円はただ単に”大台”を意識している節目なんだが、12500円を見る限り、そこをクリアした後は、そのがサポートとなり上昇トレンドを継続するようになっている。目指すところはネットバブルの2000年高値20833.21円からの半値戻し14200円どころ。そこは2001年の高値とも一致するポイントである。

火曜日の日経金融スクランブル。。。。。”総楽観は売りシグナル”
強気派の中にはそろそろ急落するのではないかと言う見かたが出始めているとの記事。
①国際的出遅れ感の消滅。
②外国人投資家の買い余力が細ってきた。
③原材料高の価格転嫁が難しく、足元の株価上昇は説明がつかない。
④最近の相場では非理論的なことが多すぎる。
と。。。。。。

まあこういった見方に間違いはない。が。。。。これは私の”そろそろ押し目があってもおかしくない。”="お願いだから押してくれい、買えないじゃない。”というのとほぼ同じ。相場ってのは行くときは行くのである。ネットバブルの時もそうだった。
「こんなのおかしい。だって利益がぜんぜん出ていないし、将来的に出るのかどうかも怪しい。」にも関わらず、相場は1年半も続いたのだから。少なくとも私が”おかしいからついていけへん。”って感じてから1年間は続いた。今思い出してもこの1年間は寂しかったあ~なにせあの相場で自分が見ている銘柄が
下がりつづけたのだから。。。。。。

根拠なき熱狂、理由なき相場上昇でも1年半も続くのだから、今回のように根拠も理由もあって業績の裏付けもある相場ならば、まだまだ行ってもおかしくはない。
銀行株の上昇にしてもそうだ。
”自民党が圧勝した衆議院選挙明けの12日の株式市場では銀行株が急騰。しかし郵政民営化は大手銀行にとっては強力なライバルの出現を意味することを考えれば市場の動きはちぐはぐともいえる。”と書いているが、はたしてそうか?

たしかに上記の視点はまちがいではないかもしれない。が。。。。それとて相場のある一面だけに焦点を当てたものでしかない。銀行株の上昇は日本の景気全般がよくなることを材料にしているかもしれない。
また郵政民営化っていっても、今の状況がすぐにどうこう変わるわけではなく、銀行株にとってまったく材料視されなかった可能性もある。

相場なんて所詮悪い材料を言い出せばきりがない。いい材料もしかりだ。
「こんなのおかしい。」と言うても相場は上がる。
「なんでこんなにバリュエーションが低いのに、株安いの?」って言ってたのはつい最近の話。。。

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国際的出遅れ感。。。なんてのは初めから関係ないし(年初来からの上昇率なんか相場の上げ下げの理由になるの?)外国人の買い余力にしても地面から吹き出す原油の価値上昇の恩恵によるものと、かつて日本株に投資してこなかった投資家の出現など、過去の日本株の比重だけでは説明がつかない部分も大きくなってきている。

それでも私は「そろそろ押してもええのでは?」と思い続けている。
それは相場が急落したら、日本株を買いたいからに他ならないからだ。

2005年09月15日

弱気派、強気派

日経新聞に 投資を考える。。。外国人はどう動く。。。。。。。。。。
と言うコラムが14日、15日に出ていた。

通常この欄は”強気派と弱気派”がでてまったく正反対のことを言うのであるが、両日ともに皆強気の意見である。

14日
ジョンアルカイヤ氏は今年度中にコア30が牽引して日経平均は14000円を超えると言う。
クリスポルトーニ氏は1年後13000~15000円と言及する。
15日には
ディングマン氏は日経平均は1年後には14500円まで上昇と言う。
グレゴリー氏は外国人は日本株を買い増し、個人の買い意欲も高まると言う。

もう市場には弱気派はいなくなったのであろうか?

デフレ論者はすでに消滅。原油がこんだけ暴騰して素材価格はぶっとび、最終消費財に価格転嫁が
進んでいる現状で”まだまだデフレ”だとはとても言えないだけか?

それと同じでこれだけ株価が好調で設備投資の国内回帰が進み、14日1面にあるように製鉄所が14年ぶりに国内に作られるといった状況に、消費の拡大が加わり、企業業績に支えられた堅調な株価を前に”株式暴落”と唱える識者は影を薄める。。。。。。。。。。。。。。
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皆が強気になってしまえば相場は終わる。
それは事実である。
ネットバブル時がそうだった。
皆が強気になり、買いに走り全員が買ってしまったら、後は下がるだけ。。。。。
大暴落が待っていたのである。

だが今とそのときはでは違う部分が多い。まずバリュエーションが違う。ネットバブル時にバリュエーションなんてなく、株価をどうやって正当化するかがポイントとなっていたくらいだから。

次に経済のトレンドが違う。当時はネット業界だけが一人バブルで他の世界ではリストラの嵐であった。

企業業績が違う。
消費が違う。
設備投資の動向が違う。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。とさまざまな違いが見て取れる。
そして最大の違いは、投資家がそんなにパンパンに買い持ちになっていないと言うことだ。
強気に割りには皆押し目待ちで”ソフトバンクは50万円になる。”といった恐ろしいレポートも出ず、個人の信用売り残はすごい状況にある。(ただ信用には個人の制度信用分と法人のニュートラル運用の一般信用分があり、一概にどれがどれとは言いがたい。また個人の売買タームが短く、昔のように耐えて耐えて、最後にいっせいにふむと言った状況にはならない。)

皆が強気なんだけれども、意外とポジションを持っていない。それが今の状況である。目先押し目を入れる入れないって話はあるが、中長期的に”けっこう凄い”上昇トレンドを形成するのは間違いがないものと思われる。

では本当に市場には弱気派はいなくなったのであろうか?

実は金融市場全般という意味で言えば、債券市場のプレーヤー中心に、日本景気に対する弱気派は結構多い。「実態経済を考えれば株があんなに上がるのは理解不能。金利は当面上がらない。」
という見方がまだまだむしろ大勢なのである。だから債券がまだあんな低金利で推移できるのだ。

つまり、債券が本格的に売られ始めないかぎり市場全体が強気になったとは言えない。

株屋は基本的に株式市場の参加者しか見ていない。でももっと広く見渡せばまだまだ弱気。。。。。。。。。。。。

そうやな~債券別に暴落してへんもんな~ってことはまだまだ景気に対する見方は懐疑的で「どうせこんな株高続かないぜ。どっかで景気は腰折れして金利は一段と低下するにきまっているぜ!」って思っているのである。
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そうであれば株価が今の上昇トレンドを中長期的に継続するのは間違いがない。(目先はそろそろって思うんだが、これがなかなか。。。。。。。。。。。。)景況感、企業業績にくわえて需給までもがポジティブに作用しているのだから。

株式関係者、債券関係者全員が「これもう株式上がるしかないやろう。」って思い始め、全員がポジションとってしまうまでまでまだまだ安心って感じなだ。

2005年09月02日

アロケーションの変更

いよいよ地方の景気にも踊り場脱却の裾野が拡大してきたようだ。東海地方は例外中の例外としても年内に踊り場を脱却すると見られる地域も確実に増えつつある。

原油中心に素材価格は上昇し、都心限定だが地価も反転、消費は上向き設備投資意欲は強く、企業業績は好調である。

景気を循環論でしか考えられない人はそろそろ景気は悪化すると見るが、ここには明らかな構造的な変化が見られる。5面にもあるが”人手不足感はバブル期に迫る水準”だ。しかも団塊の世代の大量退職はこれから始まるのである。ひと昔前にリストラ、リストラって大騒ぎしていたのがうそのようだ。

これから人手不足感はますます強まり、それを機械で補おうと設備投資に跳ね返ってくる。これが”老朽化+高付加価値装置の投入+人に変わる機械を作る設備投資”で息の長い高水準の設備投資を演出することになる。

こういった状況を考えた場合、マーケットではこれからどういったことが起きるのであろうか?一目瞭然だ。株式市場の上昇と金利の跳ね上がりだ。

その様子は1980年代後半のバブル期に似てくるのではなかろうか?89回債が1987年に史上最低の金利をつけた後、株式市場のバブル崩壊まで金利は急激な上昇を見せた。

今の低金利を支えているのは単なる国内の需給だけである。誰かが「一抜けたあ~」「二抜けたあ~」って抜けはじめると、金利は上昇し始める。今日本の国債を買っているのは日本人だけでその大半が金融期間なのだから。

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金融機関はやっと政策株の処分が終わったところで、今更株式を改めて買うなどというこはなかなかできない。
なにしろ株式は”負の遺産”とまで言われていたのだから。。。。

金利は13年間下がりつづけ、それに慣れてしまった今、債券から株式へとアセットをシフトする
なんてできないのが実情だ。それはあたかも宝物をゴミと交換するようなものなのであろう。

でもいずれはそうせざるえない状況がやってくる。不動産を見てみれば分かる。
不動産投資は特金、ファントラなどでバンバンに投資していたが、1992年に不動産市況が悪化し、
それは不良債権と化した。その処理に年金は10年もの歳月をついやし、やっと不動産の処理が終わったところにきたのが不動産市況の反転上昇とREIT、私募不動産ファンドブーム。

結局不動産の処理が終わったらすぐに形態こそ違うが再び不動産に投資することになる。

リターンが得られるものには資金が流れると言う自然の成り行きである。これからの流れを考えたときに株式投資は避けてとおれないと感じる。それはETFかもしれないし私募投信かもしれない。
ただしその保有形態は政策保有株ではなく、売買目的有価証券。金融機関はそろそろ金利上昇にそなえるアセットアロケーションの変更をを考えなければいけない局面であろう。