凄腕ストラテジスト是山金蔵の

是金レポート

アロケーションの変更(2005年09月02日)

いよいよ地方の景気にも踊り場脱却の裾野が拡大してきたようだ。東海地方は例外中の例外としても年内に踊り場を脱却すると見られる地域も確実に増えつつある。

原油中心に素材価格は上昇し、都心限定だが地価も反転、消費は上向き設備投資意欲は強く、企業業績は好調である。

景気を循環論でしか考えられない人はそろそろ景気は悪化すると見るが、ここには明らかな構造的な変化が見られる。5面にもあるが”人手不足感はバブル期に迫る水準”だ。しかも団塊の世代の大量退職はこれから始まるのである。ひと昔前にリストラ、リストラって大騒ぎしていたのがうそのようだ。

これから人手不足感はますます強まり、それを機械で補おうと設備投資に跳ね返ってくる。これが”老朽化+高付加価値装置の投入+人に変わる機械を作る設備投資”で息の長い高水準の設備投資を演出することになる。

こういった状況を考えた場合、マーケットではこれからどういったことが起きるのであろうか?一目瞭然だ。株式市場の上昇と金利の跳ね上がりだ。

その様子は1980年代後半のバブル期に似てくるのではなかろうか?89回債が1987年に史上最低の金利をつけた後、株式市場のバブル崩壊まで金利は急激な上昇を見せた。

今の低金利を支えているのは単なる国内の需給だけである。誰かが「一抜けたあ~」「二抜けたあ~」って抜けはじめると、金利は上昇し始める。今日本の国債を買っているのは日本人だけでその大半が金融期間なのだから。

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金融機関はやっと政策株の処分が終わったところで、今更株式を改めて買うなどというこはなかなかできない。
なにしろ株式は”負の遺産”とまで言われていたのだから。。。。

金利は13年間下がりつづけ、それに慣れてしまった今、債券から株式へとアセットをシフトする
なんてできないのが実情だ。それはあたかも宝物をゴミと交換するようなものなのであろう。

でもいずれはそうせざるえない状況がやってくる。不動産を見てみれば分かる。
不動産投資は特金、ファントラなどでバンバンに投資していたが、1992年に不動産市況が悪化し、
それは不良債権と化した。その処理に年金は10年もの歳月をついやし、やっと不動産の処理が終わったところにきたのが不動産市況の反転上昇とREIT、私募不動産ファンドブーム。

結局不動産の処理が終わったらすぐに形態こそ違うが再び不動産に投資することになる。

リターンが得られるものには資金が流れると言う自然の成り行きである。これからの流れを考えたときに株式投資は避けてとおれないと感じる。それはETFかもしれないし私募投信かもしれない。
ただしその保有形態は政策保有株ではなく、売買目的有価証券。金融機関はそろそろ金利上昇にそなえるアセットアロケーションの変更をを考えなければいけない局面であろう。