凄腕ストラテジスト是山金蔵の

是金レポート

物価上昇(2005年09月21日)

21日 日経5面に”物価上昇、半数が予測”という話が出ている。日本リサーチ総合研究所による調査で今後1年間の物価見通しについて”上がる”と答えた割合が50.3%と前回の6月調査に比べ11.5ポイントも上がったという。物の値段って皆が”上がる”と思えば上がるものである。誰もが物価上昇を懸念するから,逆にそれは価格上昇を容認することとなり価格の上昇についていこうと思ってそれがまた物の値段を吊り上げることになる。

オイルショック時のトイレットペパーなんかその典型。原油価格上昇でトイレットペーパーがなくなるといううわさを信じてわれ先にと買いあさる結果、価格は上昇しものはなくなる。チュウリップバブルしかり、南海泡沫しかり。株でも物価でも皆が上がると予測し、行動を取ることで上昇するのである。問題はそれが実態を伴っているかどうかだ。伴っていなければ、価格のバブルははじけもとの水準にまで下落する。しかし実態があるものであれば、その上昇はトレンドを形成し、デフレからインフレへと流れが変わる。言うまでもなく今回は株価も物価も上昇は実態があり、トレンドを形成するものと思われる。

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そして1面には基準地価の記事。15年ぶりに上昇とある。現状はもっと地価は上昇しており、実際にはこの記事の話は1~2年程度前のことなのかな?って感じるが、こういった記事が出ることで一般の人は”土地の価格はもう下がらないのかな?”と思い始めるのである。不動産は下がるもの。土地は目減りするもの。ってのがここ15年間の日本の常識であった。土地を所有すればそれは、資産の目減りを覚悟しなければならないことを意味した。

で。。。個人の場合は家賃を払い続けるコストと”地価の下落+ローンに支払い”の額を比べ、今ならばどちらを持てばいいのか?って選択をすることとなった。逆に言えばそれが住宅の家賃を決めていたのかもしれない。が。。。。地価が上昇。。とまで言わなくとも下げ止ることで比較は、”家賃 VS ローンの支払い”となる。もしくは”家賃 VS ローン支払い - 物件上昇”となる。

家を買って住めば少なくとも”年間の家賃-ローン支払い-税金”分は浮く計算ができるようになった。「あ!!儲かる!儲かる!」って。。。。今までは地価の下落がその計算をさせなかった。が。。。計算ができることで、不動産を買おうと思う人が徐々に増え始めるのである。それがまた地価の下落を止め、反転上昇に拍車をかける。。。。。。。。日本の現状の地価上昇をバブルだと言う人がいるが、上がたって言うても所詮数%~十数%。あの名古屋でさえ30%である。ロンドンやアメリカの1年で倍って言うペースを考えれば、利回りも出ているしとてもとてもバブルだとは言えない。

バブルってのはインカムが期待できなくてキャピタル狙いの投資家が価格を吊り上げている状態を言う。不動産ファンドバブルってのもおかしい。まだ彼らが購入しているのは、そうはいっても利回りが出ているからである。別に価格を吊り上げているわけではない。今までが安すぎたからそう感じるだけだ。またコンバージョンやリフォームによって場所によっては資産価値を上げることが可能となったことも大きい。割高だと思って売却した物件を久しぶりに見て「あれぜんぜん儲けがないって思ってた物件、手を入れたらあんなに空室率下がって賃料とれるんや!しまったあ~安く売りすぎたあ~」ってね。

資産デフレは終焉する。
流れは確実にものの価格が上昇する方向に向かっているものと感じる。