凄腕ストラテジスト是山金蔵の

是金レポート

急落の今、すべきこと。(2006年06月01日)

久々に書くことにする。

相場は急落。。。。。。いったいどこまで下がるのであろうか?
そして今後どうのような展開が予想されるのか?
と。。。言うことに関して、今回は考えてみたい。

市場参加者は先週の戻りのときとは一転し弱気に傾く。個人投資家中心に戻りの過程では「もう底は打った、強気でポジションを組んでいこう。」と感じたはずであったが、一転して本日のような下げに見舞われると、「もう~アカン、どないかしてほしい。」と悲鳴をあげる。

何度も書いているが今回の下げはそう甘いもんじゃないと思う。それは今回の下げが昨年のGMショックや本年1月のライブドアショックとは異質のものだからだ。当時の下げは、あくまで個別企業の話が市場全体に波及しただけであった。故にショックも浅く下落幅もそれほどではなく、調整に要する時間も短期であったのだ。

しかし今回は違う。
世界的に流動性を供給していたオイルマネー中心に、お金の流れがフリーズしてしまっているからである。景気、企業業績、構造的な変化。。。。といったものを背景に、世界のお金が日本市場へ流入。。。。そしてそれが日本株だけでなく世界的な株高を演出してきた。

しかし資源価格のボラティリティが上昇し、価格が不安定になるにしたがい、世界的な資金の流れが滞り始めたのである。

そしてそれをきっかけにして、株価の上昇は止まり、ファンド等の売り仕掛けも伴って、相場全体は急落することとなった。ゆえに、ここ最近見られた市場の調整と、今回の下げがまったく異質なものとなった
のである。では今回の下げは、過去に見られたように本格的な下げ局面となるのであろうか?と言う疑問が生まれる。そう。。。。過去にも世界的に流動性が欠如して暴落につながった局面があった。それと今回の下げになんらかの類似点がないかどうかを考えたい。

結論から言うと、それは”ない”と言える。
それは過去の世界的な流動性欠如の局面と今回では絶対的に違うポイントがあるからである。

過去の世界的な流動性欠如の局面。。。。その時に起こっていたことは、”マネーをすべて吸収するブラックホールの出現”であった。

過去に見られたブラックホール。。。。。。それらの名前を羅列すると
 ロシア危機~~LTCMショック
 中南米危機
 アジアショック
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

経済に生まれたブラックホールは世界のお金を吸収しつづけ、世界的な流動性の欠如を生み出した。
その結果、株は暴落したのである。では今、世界の資金を吸収しつづけるブラックホールは存在するのであろうか?????

答えは”否”だ。
過去に資金ショートしていた、中南米、アジア、ロシア、カナダ、と言った国々は今、資源価格の上昇により、ショートどころか、キャッシュリッチ国となった。

お金がない国は。。。。。アメリカぐらい。。。。。。でもアメリカは先進諸国の中で金利が高い状態を維持し、自国以外のお金でファイナンスしうまく経済をまわしているのである。現在世界各国はとてもうまくお金が流れている状況であるのだ。しかし中南米がアメリカをファイナンスしていると言う事実を誰も知らない。でも事実そうであって、今世界にはブラックホールは存在しない。

では。。。。資金を吸収しつづけるブラックホールが存在しないのに、何故国際的な資金フローに変調がきたしたのだろうか?そしてそのお金はどこに消えたのか???????

私の答えは、”それらのお金はどこにも消えていない。”という事である。資金フローは株式、コモディティのあまりのボラティリティの高さに瞬間的にフリーズしているにすぎないと思う。だってお金を吸収する主体がいないんだから、お金自体はあるのである。問題はいつ、どういった形で世界的な資金フローが回復するかだけだ。

それには。。。。。。個人的な見解を申し上げれば”ボラティリティの低下”ではないかと思う。ボラティリティが急激に上昇し変動している間は、臆病なお金は地面にもぐってしまうから。しかしそれが落ち着けば、バリュエーションを評価して資金が市場に戻ってくるのである。それにはやはり時間が必要。。。。。。。。

ただ時間が経てば国際的なマネーは再び市場へ流れ込んでくる。今回の下げだって基本どおりバリュエーションを評価して、中長期投資している投資家にとっては若干利益が減った程度でしかないはず。
JFEなど鉄再編の思惑があるとは言え、高値更新である。仮にそういったことがなくともPER10倍銘柄がいったいどこまで下がると言うのだ。

今投資家がすべきことは、成長性とバリュエーションを評価して、買うべき銘柄を選別すること。大半の投資家が傷んで動けない状況こそ、最大の投資チャンスとして、底入れのタイミングをうかがうべきである。
バリュー投資中心の投資家にとって、この下げはチャンス以外のなにものでもないと言えよう。