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景気循環と政策(2005年11月26日)

前回は景気循環のことを、若干、学びました。さて、あのレポートを元に色んな言葉を調べた人は、何人いるでしょうか? インターネットでも良いし、本でも良いし、自分なりに調べて研究できる人は相場も上手くなりますね。株で儲けられるようになるでしょう。今日は景気循環と株式市場での活躍業種を勉強したいと思います。ただその前に幾つかお分かりだろうとは思いますが、基本的なことを復習したいと思います。株が上がる為には業績が良くならなくてはなりません。業績がよくなるとは、企業が儲かることで、企業の利益が問題になります。

利益の源泉は売上にあります。売上が多くなり、人件費などの固定経費を引いて、原材料費などの変動費を引いたものが利益になるわけです。こんな事は当たり前のことですから、図解を交えずに分かりますね。この経費のなかに金利があります。多くの会社は借り入れをしており、金利水準により金融収支が変わります。このような金融費用も必要経費の一つですね。営業利益から、このような営業外の金融費用を加味したものが経常利益になります。所謂、税引き前利益です。

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経済活動全般に大きな影響を与えるのが金利水準です。最近では原材料費の原油価格も問題になっておりますが、今日は景気変動と金利水準を考えて見たいと思います。上のグラフは先回用いた大手製造業の業況判断指数です。赤いしるしは公定歩合の変更点です。1985年にプラザ合意が行われ、円高になりますが、当時の澄田日銀総裁は円高による輸出企業の業績を気にするあまり、資産バブルを見逃していたのです。金利平価説を重んじる低金利政策を、長らく採用していた為に、土地の価格が高騰します。馬鹿が日本を未曾有の不況に追いやったのです。その後に登場する三重野総裁も澄田同様に馬鹿総裁、今度は景気が悪くなっているにも拘らず、金利を上げるのですね。まさに異常神経です。この業況判断指数から見ると明確ではありませんが、株価の推移と比べてみると、如何に馬鹿政策か分かります。しかも急激に金利を上げ、急激に引き下げている様子から見て、当事者能力を失っていることが分かります。今日は政策批判のコーナーではありませんので、この話はこの辺にして、企業業績を上げるには、全体のパイが大きくなる政策が必要です。

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全体のパイとは、GDP(Gross Domestic Product)のことですね。国内総生産を高めなくてはなりません。GDPとは付加価値の合計です。付加価値とは、小麦粉をパンに加工すると価値が上がりますね。その差額、所謂、付加価値を合計した金額が国内総生産です。この内訳は消費、設備投資、公的部門、輸出などです。だいたい概略で3:1:1の割合ですね。輸出入は僅かなのです。生産と分配、支出は同じです。(三面等価の原則)2004年のGDPは505兆4278億円うち、民間最終消費支出は285兆8311億円で、民間住宅が18兆2701億円で、民間企業設備78兆2729億円で民間在庫増加が1兆1581億円、政府最終消費支出が89兆5191億円公的固定資本形成が23兆2843億円、公的在庫増加1628億円純輸出が8兆9294億円(輸出67兆387億円、輸入58兆1093億円)となっています。

様々な景気変動のなかで、持続的な経済成長が政策の課題ですが、その為に「金融政策」や「財政政策」が重要視され、近年の日本では構造改革がその重要性を帯びています。日銀の金融政策には公開市場操作(日銀が市中銀行との間で有価証券を売買し景気を調整すること)。預金準備率操作(市中銀行の準備預金の割合を調整することで景気を調整すること)。公定歩合操作(日銀から市中銀行への貸出金利を変動させることで景気を調整すること)。などがあります。財政政策は財政投融資(公共事業など)や所得税などの税制の加減などを用いて景気をコントロールすることです。スペースがないのでかなり端を折っていますが、概略を掴めれば良いでしょう。

さてそこで、景気が悪化する局面では当然金利の経費を下がるために、公定歩合が下がります。金利が何度か下がると、金融相場がスタートします。相場を色分けすると季節の四季と同じように、金融相場(春)、中間反落、業績相場(夏)、逆金融相場(秋)、中間反騰、逆業績相場(冬)と言う相場の流れを、景気循環に応じて繰り返します。下のグラフは金利状態と企業業績、株価の方向性の関係を示したものです。今日は長くなったので具体的な相場の見方に入れませんでしたが、今日のポイントは景気循環に呼応し、金融政策が実施されることを良く掴んで置いて下さい。景気が悪化すれば金利が下がり、景気が良くなれば金利が上がるのです。この景気の良し悪しと物価の関係に配慮して金融政策が決められていきます。下の表をよく見て自分なりに考えてみて下さいね。次回は金融相場を解説する予定です。

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