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逆金融相場(2005年12月24日)

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景気循環から見た株式相場の景色図は理解できて来ましたでしょうか? 今日は逆金融相場の順番ですね。表に見られるように、株式相場は春である金融相場から始まります。この金融相場は季節で言うと「春」ですね。やがて景気が回復し、「夏」になると世の中は景気が回復し始め業績相場に移ります。既にこの頃は、誰もが景気回復を実感し始めます。先日、森トラストがAIGに東京駅の八重洲北口のビルを4000億円で販売したと報じられ、東京駅の丸の内の大家さんである三菱地所などの不動産株が急騰しました。

森トラストがあの土地を入札した時期は1998年です。買値は1568億円。建設費を加えても2000億円から2200億円と言われています。それが4000億円で売れたのです。丁度、1998年の当時が金融相場の芽生えの時期かな? 今回は、諸般の事情があり株式市場は実体経済より少し遅れていたのですね。(まぁ、この辺は意見が分かれるのであまり追求しませんが…)確か記憶に寄れば、外資資本の尖兵隊が日本に来たのは、この時期だと思います。日本の不動産の利回りが10%を大きく越えていたのです。中には20%近くに回る物件も、かなりありました。その為に外人投資家が参入してきたのです。

ノンリコースローン(倒産したら担保に入っている物件を放棄すれば借金が清算できる仕組み)を始めたのも外資だったですね。あの時期から5年ですから、やはり計算は正しいのですね。実際には建物の完成までは1年以上かかりますから4年として計算すると…20%の複利で、4年で2000億円が4147億円です。しかし株式市場は面白い。あの時期に投資したから20%に回ったが、現状評価の三菱地所の株が、今、買われるわけですから…。因みに、三菱地所の1998年の10月の安値が787円です。しかし、やはり株です。地所の本当の安値は2003年の4月の657円です。最近の高値が2570円ですから、土地より株の方が、効率は良いですね。森トラストはあの時に、八重洲北口の土地でなく、三菱地所の株を買っていれば…机上論では、もっとも儲かったですね。しかし現実には不可能です。2000億円も株を買えないでしょう。

この事例は実に面白いですね。金融相場は誰もが不安な時期に株価が夜明けを迎えるのです。真っ暗な夜のとばりから、やがて東の空が明るく染まっていき、赤い朝日が差し込むときが金融相場ですね。やがて太陽は空に昇り、10時ごろになると業績相場への移行が始まります。午後2時を過ぎると少しずつ温度が下がり始め、夕暮れ時を迎える。今日、解説している逆金融相場は、そんな感覚の相場付きなのでしょう。季節で言えば、秋になります。

来春は賃上げが十数年ぶりに行われ、加工産業から消費に市場の選択が移るでしょう。業績相場から逆金融相場への移行は、色んな点でシグナルが出始めるのですが…多くの場合は株が下がってから気付くのですね。だから無理に変化を見極めようとはせずに、下げてから行動を起こしても良いのでしょう。多少の損をし始めてから、行動を映しても良いと思いますが…やはり準備はしておきたい。今だって、既に金融相場は終焉に向かい業績相場に移行するといっても、多くの人は銀行株を買っているように、分かり辛いのでしょう。私などの行動を見れば分かるように、早く警戒しすぎて銀行から離れてしまっても、実際は銀行をやっていたほうが良かったですからね。だから、そうなってから行動しても良いのでしょう。

多くの場合、是金のレポートに書いてあるように、企業業績の成長を織り込み始めるのですね。2年後には10%の利益が伸びて業績がいくらになるから、株式はPER○○倍まで買えると言うようなレポートが巷に出始めます。2年後3年後の収益を株式市場が買い始めます。ここに金利が引きあがり、株式が暴落し始めたら、逆金融相場が始まったと思ってください。逆金融相場の特徴は、素材株式が暴落し、内容の良い小型株が上がります。金利が上がっても財務内容が良いために、金融収益が増え利益が膨らむからです。

勿論、逆金融相場と言うくらいですから、金利敏感株は下がります。所謂、金利が安くて利益が上がる会社ですね。設備投資負担の重い電力株など借金の多い会社は下がります。逆に預貯金が多く、他の会社より成長率の高い会社が物色の中心になります。金利を上回る収益を上げる会社ですね。この時期の特徴としてボロ株である過小資本銘柄が、仕手株として持て囃されるようになります。全体が下がる中で、業績的な背景がない株式が仕手人気化して上がるのです。何故なら、大型株を上げるだけのエネルギーが市場の残ってないのですね。

テクニカル的には新高値銘柄はだんだん減っていき、新安値銘柄が増えるのもこの時期です。しかし多くの企業はまだ大幅な増益予想なのです。実際に高収益を持続する会社も多く存在しますが、なかなか新高値を取れないのですね。相場で言えば、二番天井をつけるのも、この時期です。前の高値を抜けないのですね。まぁ、難しく考える必要はありません。株はやはり理屈どおり、ある程度動くのです。大型株から中型株、小型株へ物色の範囲は変わっていきます。東証一部上場の誰もが知っている株式が上がる金融相場とは、大きく様相が変わります。

日銀が金融引き締めを実施し始めたら、一応、逆金融相場を念頭に入れるべきでしょう。しかし、今回はスタートがゼロ金利だから、今までとは大きく様相が異なるでしょう。GDPが2%台ですから、公定歩合が3%を越えなくては、引き締め効果は出ないでしょうね。だから数回、金利が引き上げられたら、逆金融相場を警戒すれば良いでしょう。