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業績相場(2005年12月17日)

前回までは景気循環を中心に勉強しました。この景気循環と政策の流れにより、企業業績が変化していきます。現在のように、ようやく設備投資に火が付き、いよいよ個人消費の段階に来る頃に、普通は、日銀は金融政策の転換を模索します。インフレ懸念の芽が芽生えるからですね。インフレと言うと消費者物価などを一般的に思いますが、1985年のプラザ合意からの一連の動きとバブル崩壊を思うと、消費者物価だけではなく、株価や資産価格(土地)の動向にも、中央銀行は目をやらねばなりません。その点、現在のFRBは住宅価格の動向を常に念頭に置き、金融政策に配慮していますね。日本の過去の失敗を反面教師にしての対応です。

現在の相場環境は金融相場から業績相場に移行する局面だと思われます。金融相場は世間の景気観測は非常に暗く、倒産の話題やリストラの話題の中で株価が上昇して行きます。しかし業績相場の段階は既に景気が回復し、企業業績も上向き始めます。金融株も高止まりし、素材株が中心になっているのが現在の局面でしょうが、やがて素材産業から加工産業に主役は移り始めます。しかし、この速度は様々で、季節のようにはっきり分かるものではありません。ゴチャゴチャな展開のなかで、加工産業が賑わい始めます。金融相場の主役は低位の大型株ですが、だんだん売買単価が上がり始め、中小型の値嵩株が主役に代わっていきます。一部市場から二部や店頭株などが主役になり始めるのです。

業種的には金融相場の主役は銀行・証券・不動産・その他金融・建設から、業績相場の前半は素材の大型である鉄鋼・非鉄・繊維・セメント・化学・紙パルプなどですが、やがて機械・電機・自動車・精密など加工業種に、物色の範囲が変わっていきます。それと当時に大型から小型の流れが生まれるわけですね。この変化は売買単価や出来高・売買代金などの変化から読み取らねばなりません。現在は金融相場の銘柄が、そろそろピークを超え、素材などの大型株が活況の展開で、やがて加工産業の銘柄が市場を賑わすようになるのでしょう。

GDPの押し上げセクターも設備投資から消費に移り始めます。最近、大手百貨店株などが上昇しているのも、この現象の一つでしょう。経団連の14年ぶりの雇用姿勢の転換は非常に意味が深いものなのです。12月14日の日経新聞ですね。この日、賃金の抑制を転換すると報じられています。設備投資から消費と言うエンジンに点火し、日本経済の景気動向は、だんだん力強い回復をしていくのです。金融相場の中心業種の一つに市況産業がありますが、業績相場は加工産業が主役になります。銘柄別のイメージでは、みずほ→新日鉄→松下と言う感じでしょうか?

やがて、業績相場も終焉を向かえ、金利が上がり始めます。次回は逆金融相場を考えて見たいと思います。この金融相場、業績相場などの流れは一般論を書いたもので、全ての景気局面に利用できるものではありませんが、ひとつの参考になると思います。非常に理屈的な考え方で、この景気サイクルと相場動向は解説されていますからね。本文は浦上さんの書かれた「相場サイクルの見分け方」を柱にし、かたるが多少、加筆しております。