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逆業績相場(2006年01月07日)

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文字通り業績が悪化する局面なのです。既にこの時期は金利が下がり始めますが、企業業績はドンドン悪化していきます。場合によると、大型企業の倒産があるのも、この時期なのでしょう。この時期に安心してもてる株式は財務内容の良い優良株でしょう。市況は奈落の底に沈んでいくように、新安値銘柄が続出します。

最近では2002年の局面がこの逆業績相場のイメージでしょうか? このときは木村リストなどと言う倒産予備軍の会社が20社程度、リストアップされ週刊誌を賑わしました。今回の景気循環は特殊でした。大きな時代変革の波が景気循環と重なり合い、底を深くしたのです。明治維新から続いた日本村社会の改革が根底にあるのです。

しかし時代変化を実感し、新しい時代に向け、歩んでいる人は何人いるのでしょうか? 自分の道は自分自身で築くのです。自らが変革せずに新しい時代を開拓できません。金利は量的緩和と言う方法で、最大限の方策を示し、日銀は国債を買い入れ、株式も買い入れて、デフレを止める為に必死だったのです。「凍てつく経済」などと言う表現もされましたね。ゼロ金利の環境下でも、誰も投資をしようとしないのです。

次々に上場企業が倒産していき、景況感は最悪の状態だったのです。しかし通常の景気循環による逆業績相場は、ここまで深刻な状態になることはありません。今回は日本村社会の脱皮が問われた特殊な環境下だったのです。だから、今回の相場サイクルの見分け方は、難しいですね。金融相場が中華鍋のようになべ底で、なだらかな上昇を示し、しかもスケールが大きいのです。理由は明確です。過度に、政策のミスを銀行に押し付けたために、傷があまりに大きかったからです。三井住友銀行が増資を発表しましたが、大手銀行の優先株処理が未だに行われているのです。

一方、国際優良株はトヨタが代表しているように、業績は絶好調を続けています。通常、金融相場なのに、既に長く業績相場のスタートを切っているのでしょう。この背景にはBRICsなどの新興国の市場経済への参加があります。一人当たりのGDPが1000ドルを越え、購買力が付いてきたのです。更に、今回は産業革命に似た動きがあります。技術革新の時代の流れが加わっているのですね。例を挙げればインターネットなどの通信技術革命もその一つでしょう。地上波デジテル放送も開始されています。だから幾つかの景気循環の波長が重なり合う、歴史的な大相場の中に、僕らは生きているのです。恵まれていますね。100年に1度ぐらいの確率ですよ。

逆業績相場の特徴は金利が上がり、下がってくるが、企業業績は悪化し続けるのです。株価の下落に恐怖心が加わり、投げが投げを呼ぶ相場環境になります。オリコが38円の株価を付けたものこの時期です。2002年の10月ですね。グループ力の差か千代田化工建設の最安値は2000年10月に41円の安値を付けています。まぁ、株価が本格的に上がり始めるのは2003年ですが…。言い換えれば、まさに逆金融相場は宝の山の時期と考えても良いのでしょう。非常に勇気が必要ですが…本間宋久が「厳寒の海中に飛び入る心持でなければ、底値圏内では株は買えない」といっています。更に、三猿金泉録では「耳に弱変を聞きて、心は弱変の淵に沈む込むことなかれ、ただただ心に買いを含むべし」
と伝わっているのも理解できますね。つまり誰もが買えないから、額面の50円を割り込むのでしょう。

逆業績相場の局面では、通常、安心して持てる財務内容の良い優良株が中心に、確りした展開を見せますが、相場的には、この時期に業績の裏付けのない仕手株が暴れる時期でもあります。また景気循環にあまり影響を受けない薬品株や食品株などが物色されるのもこの時期です。やがて電力株などの金融相場銘柄へスイッチするのです。何回かに分け、相場サイクルの見分け方を、景気循環に沿って解説してきました。基本は企業業績が伸びるかどうかに掛かっています。

この見方は「金利」と「企業業績」と「株価」を絡めた考え方が基本になっています。ここにGDPの構成比率であります。政府支出(財政投融資)、設備投資、消費などの循環が加わります。近年では経済がグローバル化し、日本だけの景気循環から株価動向を見ることは適切でなくなってきました。宮沢内閣など歴代の政策当局は、大きな転機を見逃していました。昔のケインズ理論の則った政策を実施しようとした為に、悪戯に不況が長引きました。ベルリンの壁崩壊の意味が理解できなかったのでしょう。

郵政解散になった昨年の8月を契機に株価は二段上げに入りました。この意味は日本がグローバル化への道を歩み始めたとの外人投資家の評価なのでしょう。残念な事にフジテレビの日枝氏など、村論理を優先させる企業統治意識を欠いた行動が散見されます。金融庁の黄金株問題も然り、M&Aに伴なう制度改革は道半ばです。豊かさとは何なのでしょうか? 変化を恐がる村意識が国民を幸せにするのでしょうか? 経団連の会長が変わりますが、日本は新しい世代のエネルギーを抑制せずに、世界に羽ばたかせる方向に、政策を加速させて欲しいと願っています。