未来かたるが開催!みんなによく分かる

株式教室

« テクニカル(ローソク足とトレンド) | 最新の記事 | テクニカル(傾向線) »

ファンダメンタル(PBR)(2006年02月04日)

さて今日は、財務諸表のなかで貸借対照表を勉強しましょう。大切な財務諸表は大きく分けて二つあります。損益計算書と貸借対照表ですね。前者は物を売り「売上」を計上し、そこから人件費や材料費などの経費を引いた残りが利益になりますが、このバランスをみたのが損益計算書です。一方、貸借対照表は会社の財産のバランスを見るものです。

r20060204a.gif右の表のように資産が何に使われたか? そのお金は借金(負債)なのか? それとも自己資金(資本金)なのか? 
この自己資本の比率が大きければ、健全だと言われます。上場企業の中には無借金企業が何社かありますね。通常、自己資本比率が50%以上の企業が健全な基準といわれています。 

さて前回は利益の何倍まで株価を買えるのか? このような観点からPERと言う株価を計る「ものさし」を勉強しました。今回はPBR(Price Book Value Ratio)と言う「ものさし」を勉強しましょう。資本の合計を発行株式総数で割ったものを、一株あたりの純資産といいます。

下の表は、今、話題のライブドアの17.9月の連結決算のバランスシートです。資本の合計は1936億円あり、発行済み株式総数は10億49138千株ですから、一株あたりの純資産は184円53銭になります。

r20060204b.gif

つまり昨年の9月時点に資産を全て売り、お金に変えて借金を返したら、株主には一株あたり184円の現金が戻ってくる理屈になります。故に、この一株あたりの純資産を解散価値と呼び、株価の下値の目安にされることが多いのです。ただ、実際には会社の持っている資産が、その会計上の価格どおり処分されるのか? あるいは従業員の補償をどう扱うか? 色んな問題はありますが、一つの基準にはなります。既に、ライブドアの株価はこの解散価値を割れており、様々なリスク(訴訟リスクなど)を加味した株価なのでしょう。勿論、この株価は上場廃止も、かなり織り込んだものと考えられます。

一方、松屋の株価(3460円)を見ると、一株あたりの純資産(BPS=320円)を大きく越え、一株あたりの利益(11.6円)からも、かけ離れた株価が市場で付いています。この理由は資産の中身なのでしょう。借り方(左側)の資産の固定資産の中には、百貨店が持っている土地があります。松屋は銀座の中央通の一等地に大きな土地を保有し、百貨店を営業しています。この土地を時価に置き換えると膨大な価値があるとされ、その含み資産を評価したのが、今の株価だと推察されます。しかし…仮に松屋がその土地を売れば、会社の営業ができなくなり、売れない土地の評価を、株価は読んでいる事になりますね。この辺の判断は非常に難しいものがあります。

むかし1990年前後のバブル当時、企業の持っている土地などの含み資産を囃し、Qレシオと言うものさしが議論されたことがありますが、結局、砂上の楼閣のような結論でした。PERは実際に上がった利益ですので、その利益は配当や自社株買いに使われ、株主に還元されますが、含み利益は余程のことがない限り、利用しない非常時の蓄えですからね。私は含み利益に注目して、大きく株を買うことには批判的です。しかし、ある程度は加味されても良いでしょうが…。問題はその含み資産が、直ぐに現金に置き換わるかどうかを基準に考えるべきでしょう。村上ファンドが株を選ぶ基準のひとつに、この含み資産があるようですね。果たして末永く、成功するかな?

このPBRは株式が割安に放置されているかどうか?のものさしの一つでしょう。既に株価は上がりましたが、昔、かたるはキャビンやミスターマックスを取り上げたことがあります。その当時は、業績が振るわないこともあり、PBR1倍を割り込んでいました。しかし、全体相場が上がってくると、やはり割安との評価から株価が大きく上がりましたね。かたるが取り上げた当時は、キャビンは150円から170円台、ミスターマックスは400円台でしたね。

ライブドアは上場廃止の可能性が高く、お勧めはできませんが、お持ちのお客様がいるならPBR1倍を大きく割っているので、慌てて売る必要はないと考えております。M&Aなどの基準には、やはり財務指標を無視した価格は付けれないものです。必ず、裏付けとなる資産に基づいて株価が算定されますからね。問題は会計監査の信頼性ですが…

今日はPBRと言う株価のものさしを勉強しました。次回はテクニカルの順番ですね。その次のファンダメンタルは、損益計算書の見方を…損益分岐点から、考えてみようかと思っております。