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テクニカル(形のよる見分け方)(2006年02月25日)
本日はテクニカル分析の順番ですね。多くのトレイダーの方は罫線(けい線=チャート)の分析に心を奪われます。実は私自身、どんなに罫線の勉強をしたことか…本屋に行けば、本と言う本を読み漁り、自分自身で、毎日、何十本ものチャートを書き、○百万円もする秘伝書を買ったりしたものです。どこくらい続いたでしょうか? 最近は便利になりましたね。簡単に過去の歴史を調べられます。
私がアナリストの勉強をした頃、「効率的市場仮説」と言う説があり、論争が繰り広げられていました。「株価は全てを知っている」と言う説ですね。業績動向も会社の将来性も需給動向も全て株価に織り込まれているという説です。チャート分析はそんな理論の上に成り立っているのでしょう。
しかし、罫線に狂っていた時の私は東京に出てきて、色んな世界を知りました。株価操作の世界です。ある仕手グループでは、チャートの大家と呼ばれる先生が「この形にしよう」と、昼休みに都内のホテルに集まって、作戦会議をするのです。そうして売り物を出す証券会社と、その売り物を買う証券会社を決め、それぞれ、時間を決め注文を発注し、株価を創っていくのです。今、同様の事を行えば、確実に株価操作などで捕まるでしょう。しかし当時は、株価操作もインサイダー取引もない時代ですからね。インサイダー情報を仕入れてくれば、たいした情報網だと、逆に褒められた時代ですから…
そんな実際の裏話を知るにつれ、私はチャートに興味を失ったのです。と、言ってもチャートの形は重要なトレンドに違いありません。相当の資金量があれば、株価操作も出来るでしょうが、少ない資金ではそんなことは出来ませんね。ましてや現在では、引け値関与は違法の疑いをかけられますので、引け15分前の引け値関与の注文は、出さないようにしています。高く引けさせようと、多くの注文を入れても、相場はそんなに簡単に動く道理はないのです。仮に引けに5万株とか、10万株とかの注文を入れても、高くならない場合の方が、多い場合もあります。私もたまに引けで買ったり売ったりしますが、相場の地合いを見る意味合いが多いですかね。相場の力を知る実験でしょうか?
さて今日は基本的なチャートの形の勉強です。上のグラフを見てください。ろうそく足は始値より終値が高ければ、白(赤)で陽線、逆に始値より終値が安ければ、黒で陰線になります。このように、毎日、右に並べたものを罫線(チャート)と言います。日々のものを日足、一週間単位のものを週足、月単位のものを月足、年間単位を年足などと読んでいます。チャートはこのろうそく足が基本になります。それでは具体的にチャートが示す実際の意味を勉強して行きましょう。
大赤線(大陽線)、大黒線(大陰線)の判断は前日の値幅の3倍以上を示します。これらの形は
表れる株価位置によって解釈が変わります。しばらく下落し、底値圏内で大陽線が現れれば、相場の転機を示します。高値圏で大陰線が出れば、同じように天井を打つことが多くあります。逆の場合は追撃の急所になる場合が多いですね。しかしその流れは加速しますが、長くは続きません。だから逆に注意を要します。
右のように、株価の上昇角度が変わるときによく出る形です。色んな組み合わせによって意味合いが変わるので一概に言えませんが、ダイワボウの11月から12月の変化はそのような形が出て、相場付きが変わっていますね。しかし同時に危険な兆候でもあります。
さて、次に「かぶせ線」ですが、前日の長い陽線を上回り、高寄りし反落し前日の陽線に食い込む形は注意を要します。相当、株価が上昇したときは、ドテン売りを敢行する急所になります。食い込み方が大きいほど弱い形ですね。
次に「寄せ線」は寄り引き同値の十字の形です。上下のひげが短いのをトンボと言います。長いのを足長、上にだけひげがあるのをトウバと呼びます。このような短い足は攻防を示す形で、その後の形により読み方は変わりますが、酒田五法では「天底の暗示」と読んでいます。「極線」も底値で何本も並び、その後変化があれば、絶好の買い場になりますね。先ほどのダイワボウのあげる前のチャートは、このような細かい動きをしています。
次に連続の前日内に寄り付く、「連続線」は穏健な動きを示しますが、陰線や陽線が三手、五手、中には八手、十手と続く場合もありますが、下値で陽線が続けば続くほど、その後、長い上昇波動になりますし、高値で陰線が続けば、逆に長期の下落相場になる確率が高いようです。
次に「寄り切り線」です。下放れたが、寄付きを安値とする形です。このような形を「陽の寄り付き坊主」と呼び、尚、上値の暗示が強い線とされます。逆に「陰の寄り付き坊主」の形もあります。酒田五法では「寄り切り線は酒田の生命也」と重要視されていたようです。
次に「たくり線」は長い下げ相場のあとに出るのは相場の転機になるようですが、下げ途上にも、このような形がよく散見されます。相当長い下げ相場の期間が続き、下値圏でこのような形が出たら、買いに入って見るのも良いでしょう。
最後に「抱き線」です。上昇相場のなかで、しかも天井圏でよく現れます。「最後の抱きは心中もの」と言われるくらい、惑わされて恐いものです。ロミオとジュリエットでは、話しになりません。人間は生きていて、なんぼの世界です。相場に溺れず、意地は禁物です。諦める勇気も必要ですからね。指揮官たるものは、前進の号令は、誰にでも命令できますが、後退の決断は、なかなか出来るものではありません。相場は難しいものです。だからこそ面白いのですが…ほんの一部の形を紹介しました。頑張って勉強して下さいね。