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楽天を調べる(2007年05月19日)
新興株式が下がっており、その洗礼を受け楽天の決算数字は期待ほど伸びず、逆に決算短信だけを見ると大幅減益に見えます。現実はやはり違っていましたが、しかし、僕の見通しは甘かったですね。考え方は正しかったと思いますが…株価は下がってしまった。理由は…先ず、決算短信の数字です。

第一四半期の売上は昨年の521億円から484億円へ、ストップ安の原因を作った営業利益は109億円から61億円への大幅な減益で43%ダウンです。当然、最終利益は36億円から21億円へ41%減りますね。一株利益は307円が166円です。単純に4倍すると664円の利益しか上がりません。分からないのが法人税等の調整額が今四半期に37億92百万円も掛かっています。この会社は事業がまだ黎明期らしく特別損益勘定の出入りが激しいですね。なかなか分かりにくいので、やはり営業利益を主体に会社の評価を考えるべきですね。
この大幅な減益の要素は二つです。一つは楽天証券の売り上げ減により利益が32億9千万円減っています。もう一つが良く分かりませんが債券流動化等による利益が前期は23億3千万もあったようです。これは特別利益の印象ですが…何故か営業利益に入っていました? この二つの要素の影響で大幅な減益になりました。しかしよくみると継続的の赤字かと思われていた楽天KC部門が改善され、昨年の三木谷氏の説明どおり効果が表れているようですね。この部門は19億2千万円の赤字から6億円の黒字ですからね。

今期よりセグメント様式が変わりBU部門別の発表になっていますが、楽天市場BUがこの会社の本業です。この売上の伸びは26.5%、営業利益が12.7%と伸びていますが、昨年のEC事業全般の伸びは売上が68.7%増、営業利益は51.3%増からするとかなりの落ち込みで、この辺りも株価に影響を与えているのかもしれません。さて、そこで私はこうして計算してみました。伸びているインターネット業務(EC部門を)PER40倍に他の証券など利益はPER10倍で評価し、株価評価をしてみると…12月期の株価は40732円の評価で、今四半期決算を元に計算すると、評価は上がり46302円になりました。

詳しい計算は前期のEC事業部門の営業利益176億5千万円を40倍に、クレジット・ペイント事業部門の61億4千万円を10倍の赤字に、ポータル・メディアは20倍にトラベルは40倍に、証券は10倍に他は10倍の利益を元に株価を算定しています。実効税率は45%を想定しました。伸び率が落ちているので40倍の評価は高いとも批判を受けるかもしれませんが、26%の伸びは3割に近いですからね。証券市場の環境は1-3月期が年間を通しても評価かどうか? 難しいですね。4-6月期はもっと悪いでしょうから…
何故、多くのアナリストの評価が一株利益2144円なのでしょうか? 今期3000億円の売上などあがるわけがありませんね。数字的にはおそらく今期の数字は昨年より2割程度多い数字でしょう。2400億程度ではないでしょうか?そうして営業利益はこの推移では2005年の350億円ほどかな? だいたい一株利益1500円程度でPER30倍~40倍が妥当評価でしょう。株価は45000円から60000円のボックス相場かな? なんでPER評価が高いのかと言えば、一つは証券部門の利益が大幅に減って糊代が消えているから…もう一つは楽天KCの立て直しが見えているからです。
しかし僕が当初、描いていた構想とは大きく違ったことも事実です。売上が5割も伸び…利益も売上に比例すると考え株価が10万円を越え、場合によると…なんて夢を描いて強気を通した数字的な裏付けが消えました。EC事業の伸び率の鈍化です。楽天の流通総額(リンクシェア分を含む)は順調に伸びており今期初の1兆円を越えるでしょう。インターネットショッピングの将来性は成長業なので株価も何れ新高値を目指すことがあるでしょうね。過去最高値は12万7千円です。しかし時間はかかるでしょう。
今回の敗因は昨年のデータの伸び率に目が行きすぎ、正しい株価評価が出来ずに夢を追いかけた結果でしょうね。残念です。昨年の数字を元に分野別の株価評価を実施していれば株価の評価は40732円だと分かっていたわけで…今四半期の決算数字は証券分の欠落が分かっていたわけだから、株を買わずに済んだのに…EC事業の伸び率68%、営業利益の伸び率51%に目が行き過ぎました。
しかし既に株価はこのマジックを調整したわけで、ここからの大きな下げは買いに歩があると思いますが…どうなるか…最近の低迷市場の雰囲気で次の決算数字を見ずに買えるかどうか…もう一つ、分かった事があります。この会社は第4四半期の数字がよくなる傾向があります。故に年末に毎年買って、決算発表日後に売る戦略が有効かもしれませんね。ごめんなさい間違いました。でも、いずれ新高値を目指す会社だと思います。