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株価の評価その1(含み資産)(2007年06月09日)

通常、株式の評価は一株利益が基準になります。一株利益に対し何倍まで買っているかと言う指標がPER(Price Earnings Ratio)です。しかしこの見方は収益に対する見方ですね。最近は地価も上がってきており、株価の評価の中で会社の持っている財産などに注目する人も居ます。TOC―8841と言う会社の経営者が800円でMBOをしようとしました。そうしたら、ダヴィンチと言う会社がMBO価格は安すぎるといって、さらに高い価格1100円でTOBを提案したのです。時代は面白くなってきましたね。

r20070609c.gifダヴィンチの金子さんは面白いですね。彼の主張によるとTOCの資産価値は2300億円から2800億円あり、300億円の借金を返しても2000億円から2500円の価値があるのに、有限会社オオタニファンドは800円の1094億円で買収しようと言うのだから、自分たちは1100円の1505億円で買収しようとしたのだそうです。

この経過は日経ビジネスに載っていますが、このような会社が日本にはゴロゴロしており、日本の上場企業の不動産の簿価価値は150兆円なのに、実際は400兆円の価値があり、250兆円が寝ていると金子社長は主張しています。

通常はこの会社の一株利益が20円なので、PERで評価すると1100円はかなり高い水準です。この会社の総資産は四季報によると、1117億74百万円なので、有限会社オオタニファンドのTOB価格800円は妥当に見えます。簿価と時価の違いは、自分で計算しないと分かりません。

そこで僕らでも簡単に計算できる方法があります。先ず、有価証券報告書を見ます。EDNETでみられます。先ず有価証券報告書を開き、主な設備状況と言う項目を見ると、会社の持っている土地や建物の簿価が分かります。詳しく書いてありませんが、だいたい見当はつきます。

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先ず、一番上の土地は21522.33平米ですからおよそ6521坪の土地があります。次に路線価格を調べます。IRNETのリンク先に全国の路線価が分かるホームページ先がリンクしてあります。国税庁のページですね。ここで四季報から本社の住所を入れると路線価が出てきます。この土地の1平米辺りの価格は路線価で1070千円です。この地域の最高価格で売れるでしょうね。公示価格はおよそ1.25倍ですから287億円の土地で、マンション業者の入札にかければ、物件が物件なので、およそ1.5倍程度で売れる可能性があります。400億円を超える試算が帳簿価格では27億77百万円です。

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ダヴィンチはこのような計算をしてTOCの時価評価が2500億円と査定したのでしょう。今日は会社の評価にも色々ある例として含み資産を採り上げました。しかし本来の会社の価値は未来に生み出す利益価値です。存続する事によって無から有を生む付加価値を株式は評価します。一株利益は損益計算書から表れた現状の評価ですね。商社が買われていますが商社の利益の質はあまり良くありません。一時的な利益の質なのですが、現在は信用力の乏しいBRICsなどの途上国と言うか新興国の勢いを買う相場なので高い評価が下される場合もあるのでしょう。