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ブルドックソース(2007年06月16日)

先週はTOCと言う会社のTOB価格について調べてみたんですね。
今回は話題のブルドック・ソースです。四季報からみると、何故、ブルドック・ソースがTOBされるのでしょうか? 成長性もない地味な食品会社、しかも扱っている商品はブルドックと言うソース一品だけ、最近、更生法適用を受けたイカリヤソースと言う競合メーカーを買収しましたが、株屋から見ると、あまり魅力のない会社に思うのですが…。そこスティール・パートナーズの狙いを探ってみたいとおもいます。

多くの買収ファンドは世界中から資金を集め、運用益を稼ぎ、それを出資者に配分しています。そうして預かったお金から信託報酬(1~2%)、成功報酬(10~25%)を受け取ると言われています。

r20070616a.jpg米投資ファンドのスティール・パートナーズのウォレン・リヒテンシュタイン代表は1966年生まれの41歳。ユダヤ系米国人で、現在は米コロラド州のリゾート地アスペンに住んでおり、息子が1人いるのだそうです。ルイジアナ州のチューレーン大学に入学し、その後、ペンシルベニア大学経済学部を卒業したそうです。

卒業後は、小規模の投資会社で経験を積み、当時、3億2000万ドル(約387億円)の企業買収を成功させたそうで、この成功で自信をつけ、野村証券の米国現地法人に勤務したことがあるトム・ニーダー・マイヤー氏とともに、1990年に20代で独立。ケイマン諸島に複数の投資ファンドを立ち上げたそうです。現在の運用資金は約70億ドル(約8400億円)、年率20%以上の利回りを稼ぐ凄腕のファンドだそうです。

先日、今年のG7(G8)の議長国であるドイツが比較的強いヘッジファンド規制を提案したのを、アメリカが拒否した経過があります。また中国がヘッジファンドへ投資することで、米中貿易の摩擦を緩和させたといいます。つまりヘッジファンドの存在は世界経済には必要だと考えているのでしょう。何故でしょう?

一般の方が「アクティビスト・ファンド」という言葉を聞けば、いわゆる「村上ファンド」のような、どちらかというと敵意のあるタイプのものを連想する方が多いかと思います。しかしながら、現実には近年友好的なタイプのアクティビストファンドが増えています。

フレンドリー・アクティビスト・ファンドとは、どういうものかを簡単に説明しますと、「ファンドの運用者が投資先の経営陣と協力して、経営面の向上や財務のリストラクチャリング等に取り組んで、投資先企業の企業価値を高めることによって、あるいはIR活動の改善等に取り組むことによって、その企業の株価を上げてファンドのリターンを追及する」といったようなものです。

ブルドック・ソースは配当性向も高く良い会社ですね。ソースの販売以外に不動産投資をしていますが、まぁ、許せる範囲のものでしょう。2億円程度のマンションの経営ですからね。どんな経緯か知りませんが、札幌に賃貸マンションを保有しています。此方に有価証券報告書があります。

負債総額は57億円ほどありますが、流動資産が70億円もありますから、実質的な無借金経営ですね。323億円のTOBです。総資産が238億円ですが、鳩ヶ谷工場、館林工場、そうしてイカリヤソースの西宮工場はどんな所なのでしょうか? 含み資産の価値は多くないと思いますが…
結構、財テクをやっているのかな? 株の保有が多いですね。兜町に本社があるからだね。

ヘッジファンドは時間を嫌います。限られた運用期間で成果を出さなければならないからです。あまり投資妙味はあまりないので、最終的にどうやって投資資金を回収するのでしょうか? 僕には詳しく調べてないので分からないですが、10億円程度の利益しか出ない会社を300億円で買収する。年率20%の運用益を出せるファンドがする仕事かな? 経営者は2000円なら売ると、株価を吊り上げて売ってあげれば良いのに…と思うのですね。ところが困った事に経営者は株を持ってないのですね。社長がたった3万株だからね。サラリーマン社長ですね。いかにも日本的な会社です。

それにしても、何故、狙われたのかな? 切っ掛けは安すぎた株価を放置していた資本政策の怠慢から生じたのでしょうね。そうして安定株主がいないように感じます。2003年当時の一株純資産は861円ですが、当時の株価は600円台でした。当時の市場環境では仕方ないでしょが、IR活動が不十分だったのでしょうかね。歴史的な背景を考えると、放漫経営をしているわけじゃなし、配当性向も高く、私が株主なら現経営陣を評価するものですが…、株式を公開している以上、買収されても仕方ありません。

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売上高営業利益率が5%程度の同社は普通の会社だと思いますが…コカコーラ(売上高営業利益率は26%)などを基準に考えると、もっとリストラや効率化を求めれば利益率が上がる可能性がありますね。他に良い方法があるのかもしれません。いつも思うのです。欲しいと言う奴がいるなら、どうぞ…と言って会社をくれてあげれば良いと思うのです。

どうしても拘るなら、何人かの仲間と共に新しい会社を設立して同じような商売をすれば良いと思うのです。ソース屋ぐらい自分で作れるよね。製品担当の工場長と販売担当の人間と最低2人居れば新しい会社を始められるよ。自信があるならね。どうも日本人は騒ぎすぎるように感じるのですが…僕の目から見ると、そんなに安いTOBではなく良い評価じゃないのかな?
興味がありますね。問題の行方に…しかし経済産業省の北畑事務次官は、アメリカ系の投資ファンド、スティール・パートナーズについて、株式を高値で買い取らせるグリーンメーラーだと疑われても仕方ないと批判したらしいですが、役人が口を出す問題ではないね。ここが日本的だな。自分が国を動かしていると思っている。

市場原理は市場が存続を決めるんだね。ひょっとすれば、自分が預金をしている銀行がスティール・パートナーズに投資をしているかもしれないね。やはり僕には良く分からない部分がたくさんあります。確かにフジテレビやTBSなどに比べれば、ずっと僕はブルドック・ソース側に考え方が近いですよ。

しかし原因があったのでしょう。上場している以上文句は言えないね。嫌なら上場などしなければ良い。調子が良いな。資金を借りる時だけ利用して自分達の具合が悪くなるとルールを変えるようなやり方を株屋として認めるわけにはいかないですね。東京市場は世界に門戸を開いているのです。事務次官が口を出す話しじゃないのです。嫌なら東京証券取引所を閉めれば良いのです。そうして鎖国政策をすれば良い。

株屋としては現経営陣側に同情はしますが、同時に非常に興味をそそられます。スティール・パートナーズがどんな経営をするのか? それが見たいですね。実験は必要です。その結果、ブルドック・ソースがコカ・コーラのような世界的な素晴らしい企業になれば市場原理は生き、皆がハッピィーです。従業員も株主も日本も…経営をやれせてみたいと考えるのは間違っているかな?