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空前規模の金融政策と財政出動(2008年12月13日)
何故、株価は上下するのでしょう?
基本的に業績の増減により株価は動きます。その業績を左右するのが景況感と言う人々の心の動きです。「景気は悪いとか、景気が良いとか…」個人によって異なるわけです。
一例を挙げると、今の為替相場です。円高によって景気が悪いと一般的に報道され信じられていますが、円高は望む現象だと私は思います。自動車・電機産業などの輸出企業は材料費より製品価格が下がるので業績は悪化し困るでしょうが…電力などの産業の電力料金は一定の価格で販売できますから、原油価格も下がり円高の恩恵で原材料費がさがりますから儲けが膨らみますね。食品も値下げのリスクがなければ、食糧依存率の低い日本にとって小麦もワインも肉も安くなりますね。利益が抜きやすくなります。最近、円高還元セールなどのチラシも見るようになりました。構造転換すれば日本は豊かな生活が送れます。内需を盛り上げれば良いのです。
話しが逸れましたが…全ての経済活動に拘るのがお金に掛かる金利です。自己資金で経済活動を営む人は稀で、多くの場合、借り入れを用いて経済活動をしています。自宅を自己資金だけで建てる人は少ないでしょう。多くの人は頭金を2割から3割入れて、残りは借り入れで家を買いますね。この自己資金の割合を自己資本比率と言います。残りの8割から7割の資金に対し住宅金利を払います。3000万円の住宅を買い600万円の自己資金で残りの2400万円を金利5%で借りた場合、年間120万円の金利が掛かります。月に直すと10万の出費です。ところが景気が悪くなり金利が下がり3%になると…年間の金利は72万円です。月の計算では6万ですみます。どうでしょう?
一月に4万円のお金が生活費にプラスされます。使うお金が増えれば消費が進み景気が良くなりますね。GDPの構成比はわが国では消費の割合は少なくなりましたが56%ぐらいあり一番です。やはりGDPを支えるのは消費なのですね。つまり金利低下効果により消費が増えるから、全般のGDPが増えて景気が良くなり個別企業の業績も向上します。だから株が上がりますね。これが金融政策の効果の一つです。他にも住宅が買いやすくなり、住宅を建てると大きなお金が動きますから…それに拘る産業の需要が増えるので、やはり全体の景気を刺激します。
一方、財政出動は政府部門の投資です。道路の建設や老人ホームの建設などを通じ政府系の支出が増えてGDPを押し上げます。此方のGDPに対するシェアは21%ほどで直接的な需要が増えますから、GDPを押し上げて景気が刺激します。日本は既に社会基盤が充実しています。既に道路も交通も他の生活インフラ(水道や電気、通信)も充実しており、昔のやり方を変える必要がありますね。借金が多いからPIF(Private Finance Initiative)などを使いやすくすべきでしょう。建設会社が図書館のサービスを担ってもいい筈です。何も公務員が図書館員をやらなくても建設会社の中でも本好きは居るでしょうから充分運営は出来るでしょう。老人ホームだって同じですね。雇用の形態を時代にあわせ変更すべきですね。法律や制度を変えれば民間の活力は生まれます。例えば建設会社の業態を変更する場合、将来の利益に対して、10年間とか税金を免除すれば良いのです。一大需要が起こりますね。農業も良いでしょう。農業の会社を興せば10年間の税制免除なら、進出する企業はたくさんあり、日本の食糧の自給率も一気に上がります。簡単なことですね。小さな既得権を保護するから、国全体としてみるとおかしくなります。
話は逸れましたが、基本的に金融政策と財政出動で景気は良くなります。今回の場合は金融不況なのです。GMの話しを、以前、「今日の市況」で書いたことがあります。
『GMの関連金融子会社であるGMAC(現在は投資会社のサーベライスが株式を51%保有)は10月に入り、個人の借金返済経歴などを数値化して「クレジットスコア」700以下の人には、基本的に自動車ローンを提供しないという方針を決めたのです。米国人の平均スコアが680と言いますから、多くの人が車を買うと決めてもローンが付かないのです。これでは車が売れないのが当たり前です。噂によれば40%の人が断られているという話しです。』
この事例のように金融が弱体化すれば車だけでなく、住宅などのローンにも銀行は慎重になり全体の需要が減ります。今回の景気悪化は日本の場合と全然違うのです。日本の場合は過剰債務、過剰生産設備、過剰人員の構造転換が必要で時間を要しました。覚えていますかね? 昔、パイオニアが正社員の解雇を実施しようとした時に社会問題になりました。終身雇用が前提だった為です。今では希望退職者を募集して雇用の転用は日常的になりましたが、認められない時代だったのです。
過剰債務の整理には会社同士の人的な派遣が障害になりましたね。大蔵事務次官が銀行に天下り、経営に失敗し最後はりそなが引き受ける。そのりそなに公的資金を注入したのです。銀行が役員を派遣した為に、切れない企業が沢山ありました。だから不良債権処理が長引いたのです。貸し手責任を問われたのですね。その後遺症を引きずっているから、今は逆に黒字倒産が増えているのです。労働コストの安い中国の台頭により、わが国の雇用形態は33%もの契約社員がいるようになりました。仕方がないのです。政策不況の為に…間違った思想の「加工貿易立国」の亡霊に脅え、円高恐怖でマスコミが世論を誘導していますから間違った政策が実行されています。情けない国ですね。株をすれば経済の動きが分かるのに…。その唯一の正しい教育を受ける手段を禁じているのです。何処の国に、官僚や政治家の株取引を禁じる国がありますか? 馬鹿らしい限りです。
日本の政策は兎も角、既にグローバル化なので…
中国は社会基盤整備が遅れていますからどんどん需要は拡大します。一時、デカップリング論争がありましたね。だからBRICs銘柄は上がるのだと言う話です。あの話しが復活しますね。だからBRICs関連銘柄のリバウンドが狙えます。世界中で財政出動をしています。ものが動くから海運株が上がるのが当然ですね。日本の政策は期待できませんが株は既にグローバル化しています。
常識で考えれば良いのです。
GMの倒産で日本株が影響を受けるのは部品を供給している会社ぐらいのもので、全体が大きく下がるほどの問題ではありません。既に米国では倒産企業扱いですよ。S&Pの格付けはCCですね。フォードもCCCプラスです。もうとっくの昔に倒産企業です。一般的にBBBまでが正常企業の扱いですが、BB格以下はジャンク債と呼ばれ、屑と言う意味です。マスコミ論調を自分で判断する力が必要です。私の意見も含め幅広い意見を総合的に判断しなくてはならないのです。他人の意見を鵜呑みにして行動するのは間違いですね。自分が、自分自身が生活をしているのです。このような基本的に教育が日本には欠けていますね。ディベート、討論する場が少なすぎますね。悲しいことです。中山大臣が日教組批判をしたら退任を迫られる。田母神俊雄前航空幕僚長の論文が批判され辞任に追い込まれる。何故なのでしょう?
何故、統一された考えが正しいのですか?
青い洋服を着ようが、赤い服を纏おうがいいじゃないですか? サッパリです。僕には何が正義か分かりません。株をやっていれば分かります。私は夏から三菱UFJ銀行に注目し800円を割れてから買い続けています。同じ会社なのに800円で買う人が500円になると買わなくなります。馬鹿じゃないかな? と思います。ただベンチャーリンクの例があるから一概に言えませんが、基本は株式の最大の好材料は株価が安くなることです。何が正しいか、将来のことは誰にも分かりません。しかし何か行動しなくてはなりません。現時点で一番正しいと思う行動を採り続けることは生きることだと考えています。株だけの話しではありません。恋愛もそうです。好きなのに…告白できずにひたすら想いつづける。結婚を前提に考えて男を天秤に掛ける。どちらか選択を迫られますね。自分がどう考えるか…なのです。自分の思うように行動すれば良いのです。僕は買い場だと思うけれど売り場だと思う人は売れば良いし…多様な考え方が世の中にあるのは当然のことですね。