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オバマの怒り(2009年01月31日)
「会社が経営破綻(はたん)の危機にひんして、国民の税金で救済してもらっている時に(高額のボーナスをもらうのは)あまりに無責任。恥ずべき行為だ」
今は一方的に批判ばかりされていますが、私はCDSなどの金融デリバティブ機能を高く評価しています。まぁ、株屋は政治家と違うので世の中の動きを決められるわけじゃないから、世の中の動きに合わせた行動を取らねばなりません。しかし近年、ものごとの価値観が大きく変わり、私には理解できないことがたくさん出てきました。信じられないでしょうが1989年に起きたバブル崩壊後の後遺症を、未だに引きずっている日本社会の異質性を強く懸念しています。だから単純平均株価がどんどん下がり続けるのです。この事は別の話なので今日は省きます。リーマンが倒産し、実体経済に悪影響を与えていますが、何故、金融不況の今、金融デリバティブを支持するのか? 理由は明白です。
日本は製造業を助ける国です。加工貿易立国で成長してきました。その反面、昔から「悪銭身につかず」との言葉のとおり、金融取引での不労所得を卑しいものと決め付けてきました。しかし実際の製造業も金融が支えています。金融が理想社会を創るのです。清貧思想では文化も進歩も生まれません。過去の歴史上の建造物は、全てバブル時代に生まれたものです。そのバブルが芸術家を支え宇宙ロケットのような冒険を支えたのです。スペインの時代も大英帝国の時代も欲が金融を支え人間は進化しました。近年の具体例を挙げればソフトバンクの存在でしょう。金融デリバティブ機能を駆使して、なしえない筈のボーダフォンの買収に成功しました。そのおかげでインターネット環境が整備され、携帯電話市場が栄え、日本はこの分野で世界トップの位置にあります。仮にあの時期に外資系金融機関が買収資金を提供しなければ、進歩も競争も生まれずに日本の現在の環境はなかったでしょう。
確かにオバマ大統領が激しき批判するように金融の世界には金の亡者がたくさんいます。しかし一部の目立った連中の為に、間違った政策を採らないでほしいと願っています。
人類史上のなかで金融デリバティブの開発は素晴らしい武器ですね。考えて下さい。挑戦できないことが金融デリバティブの発展で挑戦できるようになるのです。ITバブルが崩壊し、失っていた若者の心に勇気を与えたのは金融の力ですね。その為にライブドアのような批判もあります。しかし反面、多くの若者が力を手に入れて、日本を変えようとしたのです。残念ながら多くの若者は今回の試練で挫折しています。市場経済の波が試練となり経営者を鍛えます。金融デリバティブ機能を正しい方向に導くことが出来れば、やがて豊かな人類の未来が生まれるでしょう。今はその瀬戸際にありますね。何れはその道を歩むのですが、紆余曲折に道を歩むかどうか、今年の春頃までに判明します。
日本のGDP比率では、既に製造業の割合は低いのです。20%程度でしょう。豊かな日本を創ることは簡単なことですが、確実な結果が分からない為に、揺れる現象が至るところで生まれていますね。株価の方向性は政策で決まりますが、その政策は国民が決めるのです。ブルドック事件の最高裁の裁判官の今井功さん、今回のサラ金法の裁判官の泉徳治さんの判断は、私には理解できません。そもそもサラ金法の改正事態が市場原理を歪めるものなのです。一度決めた約束を、あとで変えるなんて…。こんな世の中を混乱させる法律を創る国だから、どんどん日本の地位は下がるのでしょうね。法律は国民生活の為にあると思うのですが…。
昔は一株辺りの純資産価値を割れないものでした。長いデフレ社会の継続がPBRと言う株式指標を歪めたのでしょう。清貧思想の極みが20年間の長期下降波動の現実です。今の株価は日本経済の没落を意味していますね。わが国の製造業を代表する日立が繰り延べ税金資産の評価減を計上しました。大企業が誤魔化しの経営をしていたのです。小さな会社ならいず知らず…。株価はある意味で正直に動いていますね。カラ売り筋はここを狙っていたのでしょう。2006年から2007年にかけて、私は復活を願ってそのシナリオにずっと賭け続けてきましたが、ここまで追い込まれるとは…。政治家にレクチャーするスタッフが果たして存在するのでしょうか?
一見してこのコラムを読むと弱気の流れに見えるかもしれませんが、今の金融市場は峠を越える位置にいます。丁度、峠を越えるすぐ前に分かれ道があって、どちらの道を歩むかどうか迷っているイメージですね。もう一つの道は紆余曲折のいばらの道を…。もう一つは直ぐに薔薇色相場への道です。方向性を決めるのは政策で国民が決めたのです。